Joe Skipper / Reuters
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ボーイングが先日試験飛行を実施しようとしたCST-100 Starliner宇宙船は、打ち上げ直前になって「推進システムに含まれるバルブの開度が予期せぬ値を示したため」延期されていました。しかしその問題は思ったより根が深かったようです。

ボーイングは8月13日、アトラスVロケットの上で点検作業を続けていた宇宙船をいったん降ろし、ケネディ宇宙センター内にあるボーイングの商用クルー・カーゴ処理施設(C3PF)に戻して、より詳細な問題解析を行うとNASAに伝えました。NASAはこの決定について「チームはこの問題を解決し、準備ができたら飛行する」予定だと述べています。

Starliner宇宙船に見つかった問題は、打ち上げ直前の状態で推進システムを構成する13個のバルブが予期せず閉じてしまうという現象。アトラスVロケットは宇宙船の点検を可能にするため発射台からロケット組み立て用の垂直統合棟へ移動していました。

ボーイングは8月12日の時点で13個のバルブのうち9個を「電気的および熱的技術を用いて」”開”の状態に戻すことができたとしているものの、他の4つのバルブは閉じたままで作業を完了できていないとしていました。ボーイングの商用有人飛行プログラムプログラムマネージャー兼VP、John Vollmer氏は、問題の原因は主にスラスターの酸化剤に用いられる四酸化窒素(NTO)がバルブをシールするテフロン素材に浸透してしまい、これが弁の反対側の水分と反応して硝酸になり、弁を腐食させ、その結果固着してしまったと説明しました。

そして、なんとか弁を開くことができた9つのバルブは正常動作できるようになったものの、残り4つのバルブはロケット上では手を入れることができず、いったんC3PFに戻すしか方法がないと判断したとのこと。

ボーイングは5月に実施した事前テストでは問題が発生しなかったものの、打ち上げ時は、宇宙船の組み立て中もしくは発射台上で高い湿度に晒されたせいでバルブに水分が入り込み、腐食の原因になったことが考えられます。試験打ち上げ予定日の前夜には現地で雷雨があり、センサー値が狂う問題も発生していました。

原因が何であれ、ロケットから宇宙船を降ろすとなればそれは月単位での計画の遅れが発生することを意味します。Vollmer氏は「有人宇宙飛行ミッションを成功させるには、幾多の要素が適切なタイミングで適切に組み合わさる必要がある」「我々は工場でこの問題の解決に取り組むことにしたが、他にも国家的に優先されるミッションがあるため、今回の打上げ枠は見送ることを決めた」と述べています。

Source:Boeing

via:SpaceNews