Steve Jobs

今月5日はアップルの共同創業者スティーブ・ジョブズ氏の逝去から10年となる日でした。この節目を迎えたことで、アップルの元デザイン最高責任者ジョニー・アイブ氏が故人との想い出を語ったかと思えば、記者達の目の前で初代iPhoneのプロトタイプを床に投げ出したなどの逸話も寄せられています。

そうした流れのなか、DELLの創業者兼CEOのマイケル・デル(Michael Dell)氏が新著『Play Nice But Win: A CEO's Journey from Founder to Leader』を宣伝する一環として、ジョブズ氏が同社のPCにNeXTSTEPやMac OSをインストールすることを提案したと証言しています。


デル氏によると、まず1993年にジョブズ氏は米テキサス州にあるデル氏の自宅を何度か訪問して、DELL製のPCにNeXTSTEP(ジョブズ氏が設立したNeXt社のOS)を採用するよう説得しに来たとのこと。この年は、ちょうどNeXT社がハードウェア事業から撤退を始めた時期です。

そこでジョブズはNeXTSTEPは「MicrosoftのWindowsよりも優れているし、Sun Microsystemsが推進しているUnixワークステーション市場を弱体化させることができる」と主張したそうです。

それに対してデル氏は、NeXTSTEP用のアプリケーションがなく、顧客の関心もゼロだと伝えて断りつつも、初期のオンラインストア構築にNeXT社のWebObjectsを使うなど、少し協力しています(デル氏が15歳の時に25歳だったジョブズ氏と出会い、それ以来の交流もあったからでしょう)。

ちなみにNeXTSTEPは最終的にはMac OSに組み込まれるような形となり、その流れは現在のmacOSにも引き継がれています。


またジョブズ氏は1997年にアップルに復帰したときも、再びデル社を訪問。その際はデル氏にMac OSをWindowsと一緒にインストールして、デュアルブートにしてほしいと提案したそうです。


しかし、デル氏いわく問題は2つありました。

ひとつはDELL側が「Mac OSがインストールされた全てのPCにつきライセンス料を支払う」と提案したのに対して、ジョブズ氏がWindowsとのデュアルブートにしたいと言った案そのものにあります。

すなわちこれは、「WindowsとMac OSの両方を入れて、顧客に選ばせよう。ただしライセンス料は販売されたPC全てに対して支払ってほしい」ということ。

要因としてはDELLのPCは価格が安く、ライセンス事業自体がアップル自体のMac販売を邪魔しかねないためということもあるのでしょうが、そんな提案をデル氏が飲むわけもありませんでした。


もう1つは、ジョブズ氏が将来的なMac OSのアップデートを保証しなかったということ。もしもDELL製PCユーザーがMac OSを選んだ場合、ソフトウェアの進化に付いていけない恐れもあり、こちらも同意しにくい条件でしょう。


アップル復帰後のジョブズ氏の業績の1つは、他社にMacintoshのライセンスを供与するビジネスを打ち切り、アップルが潤うどころか、安い「Macintosh互換機」がMacintoshのシェアを脅かすという危機を終わらせたこと、と言われます。

その意味で相反するようにも思える今回のエピソードは意外にも思えますが、実はジョブズ氏は「Mac互換のVAIO」をソニーに提案していた(が断られた)ことを、アップル関連の権威と言える林信行氏も証言しています


ともあれ、この時にデル氏がジョブズ氏の提案をきっぱりと断ったからこそ、アップルは結果的に初代iMacやiPod、やがてiPhoneというハードウェアとソフトウェアの一体化路線に絞り込み、現在に繋がる大成功を収められたのかもしれません。


Source:CNET

via:iMore