Tom Brenner / Reuters
Tom Brenner / Reuters

トランプ前大統領が、フロリダ州の連邦裁判所に対しTwtterやFacebook、Googleとそれら企業のCEOを相手に訴訟を起こすことを発表しました。トランプ氏はこれらハイテク大手が自身を含む保守派の意見を検閲し、言論の自由を侵害していると主張しています。


トランプ氏は1月、支持者らが暴徒化して米国連邦議会を襲撃するに至った際、暴力を煽動する投稿をしたことで、各SNSのポリシーに違反したとしてアカウント停止措置を講じられました。

最も厳しい対応を取っているのはTwitterで前大統領を永久追放とし、Facebookはこの6月、アカウント停止処分を次の米国中間選挙が終わる2022年まで延長することを決定しています。またYouTubeは「暴力行使を煽る危険性が減少したと判断した場合に限り」トランプ氏のアカウント回復を認める方針です。ただ、前大統領やその支持者らはこれらの措置が検閲行為にあたると主張しています。

今回の訴訟はトランプ氏を代表とする集団訴訟として申し立てられ、トランプ氏の政策を支持する非営利団体America First Policy Institute(AFPI)が設立したConstitutional Litigation Partnershipなる法人が支援しています。ちなみにAFPIの会長兼CEOブルック・ロリンズ氏、理事長のリンダ・マクマホン氏はトランプ政権の元幹部でした。


トランプ氏はSNSが投稿内容に制限を設けることで、もはや民間企業ではなく「国家機関のよう」に振る舞い、憲法修正第1条の権利を侵害していると主張。自身のSNSアカウントの迅速な利用再開のため即時の差し止め救済のほか、上記3社に対する「懲罰的損害賠償」を課すことを求めています。

さらに、訴えにはSNSなどのサービスがユーザーの投稿した内容については法的責任を負わないとする通信品位法第230条を違憲とするよう求めることも盛り込まれています。

トランプ氏は大統領在任中にも、230条の修正を求める大統領令を出していましたが、これは今年5月にバイデン大統領によって取り消されました。トランプ氏はニュージャージー州のゴルフクラブで会見を行い「ソーシャルメディア企業による米国民への違法な検閲を直ちに停止するよう要求する」と述べています。


ただ、米公共ラジオ(NPR)は、この訴訟に関して法律の専門家からは、そもそも宣伝行為以上の効力がないとの意見が相次いでいると伝えています。ニューヨーク大学の非常勤法学教授でビジネスと人権センター副所長のポール・バレット氏は「憲法修正第1条は、政府が言論の自由を制限することを禁じるものであり、(上記3社など)民間企業の行動には適用されない」と指摘、非営利のリバタリアン系シンクタンクCompetitive Enterprise Instituteのジェシカ・メルギン氏は「SNSプラットフォームは公共地でなく私有地として考えられるため、第三者の言論の掲載を拒否することは憲法修正第1条の権利範囲から逸脱するものではない。この原則は全ての市民の憲法上の権利だ」と述べたとのこと。

またCNBCは、ゴルフクラブでの会見後すぐにトランプ氏の政治団体が支持者らに対して訴訟を含めたトランプ氏への金銭的支援を求めるメッセージを送り始めたと伝えています。あたかもトランプ氏本人が綴ったかのように書かれたメッセージ文には、トランプ氏の資金調達団体Save Americaへのリンクがしっかり記されています。


ちなみに、これまでにもSNSプラットフォームのコンテンツ・モデレーションの判断を検閲行為だとして訴える試みはいくつもありました。しかしそれらは皆、裁判所によってすぐに却下されてきました。最新の例では先週にも、フロリダ州が定めようとした「ソーシャルメディア企業が政治家のアカウントを追放や停止処分にすれば罰金」という内容の法律が、憲法修正第1条を根拠に却下されています。

また通信品位法第230条に関しては、共和党だけでなく民主党からもSNSへの保護範囲を削減すべきとの批判が上がっています。

ただ両党の立ち位置は若干異なり、共和党が検閲と受け取れる部分に対する対応範囲の修正に矛先を向ける一方で、民主党は誤情報や有害コンテンツの拡散に対して企業責任をより協力に問えるよう修正を求めています。


Source:Axios

via:CNBC, NPR