Surface Laptop Go」はお値段以上なのか?

今月発売が予定されているマイクロソフトの新製品「Surface Laptop Go」のレビューをお届けする。試用したのは「アイスブルー」のモデル。

今秋のSurface新モデルは小幅なアップデートだったが、Surface Laptop Goは低価格帯の戦略モデルと言える製品だ。従来、同社の安価な製品というと「Suerface Go」シリーズであり、2-in-1モデルである。2-in-1よりもクラムシェルという人にとってSurface Laptop Goは気になる製品だろう。早速、実機をチェックしていきたい。

メモリー 8GB・SSD 128GBの中位モデルでテスト

Surface Laptop Goには複数のモデルが存在するが、試用した評価機はメインメモリー 8GB、ストレージ 128GBの中位モデルに相当するもの。日本における一般モデルの販売価格は9万2800円(税別)。ほかのSurfaceシリーズと同じくOffice Home and Business 2019が付属する。教育市場向けはOfficeが付属せず、7万9800円(税別)となる。

Surface Laptop Goは、簡単にいえば「Surface GoとSurface Laptopの間を埋めるもの」だ。日本での一般モデルの価格は、Officeが付属するために多少高め。だが、他国では教育市場向けと6万円程度から始まる比較的安価なもの。一方で、デザインはSurface Laptop譲りの「クラムシェル」で高級感もある。要は、キーボードが必須な層に安価なPCを届けるための製品になったわけだ。

ちなみにSurface Go 2はキーボードが別売なので、その辺を加味しても安く感じる。Suface Go 2の最廉価モデルにキーボードカバーをつけると7万5200円(税別)。Suface Laptop Go 2の最廉価モデルが7万6800円(税別)なので、「パフォーマンスが上がった代わりに2-in-1じゃなくなった」と思えばお買い得だ。

ボディーのつくりは「お値段以上」

第一印象でいえば、外観は「実に」よく出来ている。Surface Laptopは13.5インチからだが、Surface Laptop Goは12.4インチのディスプレイになる。一回り小さいボディだが、ノートPCとしてのたたずまいはほとんど変わらない。底面こそポリカーボネート+グラスファイバーに変わったが、天面・キーボード面はアルミ削り出しのまま。重量は約1.1キロで「超軽量」とまではいかないが、十分に満足できる軽さだ。

▲底面はポリカーボネート+グラスファイバーの複合素材。この辺はコストダウンの要素も見えるが、見栄えは決して悪くない
▲天面とキーボードはアルミ削り出しなので、パッと見た時の印象は従来のSurface Laptopと同様。角の仕上げが美しい

キーボードもタイプしやすく、打鍵音も静かだ。12インチクラスになったことで右端のエンターキーやシフトキーが小さくなっているが、メインのキーはどれも13インチクラスと同じフルサイズ。タッチパッドのサイズも大きめで、精度もいい。

▲キーボードとタッチパッド。キーサイズやキーピッチは、両端の一部のキーを除き、13インチクラスと変わらないため、タイプしやすい。タッチパッドもかなり大きめで操作感は良好

スピーカーの音質も意外と思えるほどいい。低音に傾き気味だが、この価格でこの鳴り方なら合格だ。ただ、スピーカーをキーボードの下に配置している関係か、少々振動が気になるので、そこは好みが分かれるかもしれない。

トータルで見て、正直、この外観・操作感でこの価格というのは素晴らしいと思う。

なお、インターフェースはUSB(Type-A)とUSB Type-Cの2つ。Type-Cはもちろん充電に対応する。Surface Connectorもあり、平時の充電や拡張にはこちらを用いる。

▲本体左側奥には、USB Type-AとType-Cが1基ずつ。3.5mmのヘッドホン端子もある
▲本体右側。Surfaceシリーズ共通の「Surface Connector」は充電などに利用できる
▲ACアダプターは本体サイズに比べると大きめ。上位モデルと違い、USB充電用のコネクターはない

もちろん、価格を抑えるためにやっていることがいくつもある。

まず、ディスプレイの解像度が「1536×1024 ドット(148PPI)」と、かなり変則的で解像度も低めになっていること。1920×1080ドットが基準となっているPCがほとんどのなか、それよりも縦横ともに狭くなっている。

とはいえ、「狭い」という印象は受けない。3対2という縦横比ではウェブ閲覧も文書作成もやりやすいからだ。体感上、そこの数字にこだわる必要はあるまい。

ただ、正直な話、解像度は厳しい。筆者は普段、SurfaceやMacといった、解像度が高めのデバイスを使っている。そのほうが文字表示が美しいからなのだが、その目で見ると、148PPIでドットが目立つのは厳しい。1920×1080ドットの製品に慣れているならあまり変わらない……と言えるが、形がSurfaceだけにちょっと違和感がある。

また、ディスプレイパネルの角は「角丸」になっている。最近のPCとしては珍しい。そこに美観以外の意味があるか、というとないのだが、これもまた狙う層に合わせた工夫なのかもしれない。

▲ディスプレイの角を接写で。解像感は低めでファイル名などにドット感がある。それよりも、ディスプレイの角が丸くなっている点に注目

解像感さえ許せるなら、発色を含めほかの要素は悪くない。指先のタッチにも対応しており、滑らかな操作性が維持されているものの、Surfaceならばこれまで必ず対応してきた「Surface Pen」には非対応。この点は割り切るしかない。

突如、導入された [A] [あ] キーの正体

外観に関する点で大きな新しい要素が「漢字変換用キーボード」にある。一般的な日本語キーボードでは、スペースの両隣は「無変換」と「変換」だが、Surface Laptop Goでは、[A] と [あ] になった。これがなにかというと、[あ] は日本語入力オン、[A] は日本語入力オフを示す。

▲スペースキーの周囲を拡大。「無変換」「変換」があるべき場所が [A] キー・[あ] キーになっている点に注目

日本語キーボードにおける日本語入力ソフト(IME)の切り替えは、Windowsでは「半角/全角」キーで行うのが基本だった。だが、キーが遠くてわかりにくいということもあり、「無変換」「変換」にIMEのオン・オフを割り当てられるようになってきている。

だったら、最初からそうしてしまえばいい──ということなのか、Surface Laptop Goの表記は [A] と [あ] に変わったのだ。

これは別の言い方をすると「Macと同じ」になったとも言える。Macはスペースの隣が「英数」「かな」で、それぞれIMEのオフとオンになっている。

確かに操作を教える上ではこちらのほうがシンプルだ。筆者もMacとWindowsを行ったり来たりする関係もあり、Windowsでは「無変換」「変換」にIMEのオン・オフを割り当てている。

だが、まさかマイクロソフトが率先してキーの扱いを変えてくるとは思わなかった。

最初は「無変換」「変換」の印刷変えかと思ったが、そうではなかった。[A] [あ] キーはいわゆるトグル動作ではなく、[A] を押せば必ずオフ、[あ] を押すと必ずオンの状態であるようになっている。

仮想キーコードを調べると、[A] は「22(0x16)」、[あ] が「26(0x1A)」になっている。多くのPCでは使われておらず、従来「未定義」とされることが多かった。

マイクロソフトによるWindowsに関する最新の開発者向け情報では、当該仮想キーコードの定義は「IME On」「IME Off」になっている。これに従って実装されたのが [A] [あ] キー……ということのようだ。

キーコード自体が違うので、標準搭載のMS-IME以外ではけっこう問題が大きい。実際、ATOKでは標準設定では働かず、設定変更によって [A] [あ] を有効にできない。「変換」「無変換」での操作に慣れた人がキーの機能を入れ替えたい場合も、別途キー入れ換えソフトなどを使い、無理矢理割り当ててやる必要がある。

マイクロソフトは「他機種に広げるかは反響次第」としているが、今後のSurfaceでこの設定が使われる可能性は高い、と筆者は予想している。となると、この点については混乱が生まれそうにも感じる。

美しい「指紋センサー」は一見の価値あり

SurfaceはWindows Helloによる顔認証に対応しているモデルが多いが、Laptop Goは未対応。顔認証に必要な赤外線センサーを搭載していないためだ。もちろんカメラは搭載しており、ビデオ会議はできる。720pまでで解像度は高くないものの、映像は比較的明るめで、ここも「この価格としては悪くない」感じだ。

顔認証には非対応だが、指紋認証によるWindows Helloには対応している。ただし、今回使用した中位モデル以上での搭載となり、最下位モデルには搭載されない。

▲認証が必要になると、指紋センサーを兼ねる電源キーの周囲が白く光る。これはわかりやすいし美しい

これが非常に美しくできている。センサーそのものは特段違いがないように思えるが、仕上げが美しい。認証が必要な時にはセンサーの周りが光るようになっていて、わかりやすさと美しさがうまく両立している。電源ボタンに指紋センサーを搭載する例は多いが、この仕上げはアイデア賞ものだと思う。こういうところにこだわるのは、いかにも「パノス・パネイ印のSurface」らしい。

この指紋センサーがあること、メモリーが8GBである点も含め、「買うなら中位モデル」という印象を強く感じる。

Core i 5になり性能は向上したが……

さて、パフォーマンスはどうだろう? Surface Go 2とSurface Laptop Goの最大の違いはここだ。Surface Go 2はPentium Gold 4425Yもしくは第 8 世代 Intel Core m3で、性能的にはさほど差はない。

例えばPentium Gold 4425Yの場合、ビデオ会議でバーチャル背景を実現する「Snap Camera」を使うと、それだけでCPUを常に50%くらい使う。マルチプラットフォームのベンチマークソフト「Geekbench 5」のデータでは、Core m3モデルでもシングルコアのスコアは900前後、マルチコアのスコアで1600前後である。

ちなみに、一般的なCore i5のノートPCの場合、性能が低めな製品でも、スコアはシングルコアで1100オーバー、マルチコアで3000オーバーとなり、だいぶ差が大きい。

それに対しLaptop Goは、CPUが「第 10 世代 Intel Core i5-1035G1」になり、パフォーマンスはかなり上がった印象だ。Geekbench 5のスコアはシングルコアで「1170」、マルチコアで「3309」。Core i5としてはそれなりのものになった。「Snap Camera」利用時の負荷も30%前後になったので、だいぶ普通になった……といっていい。

▲システム表示を見ると、CPUは「Intel Core i5-1035G1」になっている
▲Geekbench 5のスコア。第10世代Core i5搭載機としては標準的なものになり、Surface Go 2からはかなり向上している

だが、気になる点がひとつある。

それは、負荷が高まった時のファンの音が甲高く、耳障りであるということ。特に「ハイパフォーマンス」設定に切り替えた場合、電源ファンが強く回り始める頻度が上がり、音が際立つようになる。ここについては、もう少し設計を考えても良かったのではないだろうか。ボディーへの発熱はさほど気にならなかったが、音はかなり大きめなので注意が必要だ。

なお、冒頭でも述べたように、本テストはメモリー 8GBのモデルを使っている。そのため、4GBの最廉価モデルではスコアが下がる可能性が高い。ストレージがeMMCとSSDで、容量が64GB・128GBという違いもある。「多少待ち時間が増えるだけ」という見方もできるが、精神衛生上は中位モデルのほうがいいし、長く使えると思う。

価格相応の部分もあるが高コスパであることは間違いない

これらの点を考慮し、Surface Laptop Goは「値段以上の外観だし、処理能力も十分だが、価格なりの部分も多い」と感じた。上位モデルのSurface Laptopを考えていた人は、その差をよく考えた上で選んだほうがいいだろう。

一方、市場全体で見た場合、Surface Laptop Goは「デザインが良くコスパがいいノートPC」であることに違いはない。特に中高生から大学生までの子供が、自分専用の「キーボード重視のPC」として選ぶには良い製品だ。マイクロソフトの狙いもまさにそこにあり、そういう意味では非常にうまくまとまっていると感じる。