Switch OLED
Nintendo

新型スイッチこと「Nintendo Switch(有機ELモデル)」の日本向け定価は3万7980円となり、従来モデルと比べれば約5000円(北米価格では約50ドル)の価格差となりました。しかし部品コストの上昇は10ドル(約1100円)程度に留まり、任天堂の利益率が向上するとの推測が伝えられています。

今回のウワサの発信源は、Bloombergの望月崇記者による記事です。まずディスプレイ業界のサプライチェーン業界情報誌DSCCの共同設立者である田村喜男氏いわく、新型スイッチに搭載されるサムスン製の7インチ有機ELディスプレイは1台あたり3~5ドルの追加コストがかかるとのこと。

また英調査会社オムディアの南川明氏によると、内蔵ストレージを64GBに増やすことで3.5ドルのコスト増。ほか新たな背面スタンドや有線LANポートなどの追加コンポーネントにより数ドルが上乗せされ、合計すれば10ドル程度と見積もられているしだいです。

新型スイッチにつき、任天堂は「新しいCPUもRAM増量もない」と正式に表明しており、ディスプレイに有機ELパネルを採用したほかは、性能が向上したわけではないことが確定しています。Bloombergの推測も、既存のモデルと製造工程がほとんど同じと思われるため、単純にパーツのコスト増を積み上げていると推測されます。ただしゲーム機のようなハイテク機器一般では組み立ての工程が外部に明かされているわけではなく、あくまで「推定」に過ぎません。

要は「性能向上がないのに実質的な値上げ」と見られる新型スイッチにつき、Bloombergは既存のゲーム機の価格がPS4 ProやXbox One Xのように高性能なモデルが発売されたときのみ値上げされたことに対して、極めて異例だと示唆しています。

従来のゲーム機のビジネスモデルは、広く普及させるために赤字で販売を始め、その投資をソフトウェアの販売やライセンス料、製造効率の向上などで時間をかけて回収するというものでした。しかしエース経済研究所の安田秀樹シニアアナリストは「任天堂の戦略変更により、価格を上げてもスイッチの販売台数が伸びれば、業界全体にとって値上げの前例を作ることができる」と述べています。

スイッチは過去に前例が稀なほど成功したゲーム機であり、他社のゲーム機が後に続くというのは極論とも思えます。ともあれBloombergの記事では「ソニーはPS5の需要が供給をはるかに上回っており、再販市場では小売価格の2倍で取引されていることから、最新世代のプレイステーションの価格を高く設定することができたはず」との思惑から、ソニーは任天堂の最新機種に対する市場の反応を注視しているとのプレイステーション関係者の証言が伝えられています。

任天堂は今年5月の決算発表で、スイッチの販売台数が前年同期比で44%増だったと報告しており、発売から4年目を迎えながらもスイッチは衰えを見せるどころか勢いを増しています。

Bloomberg記事でも、ゲーム市場コンサルタント会社カンタンゲームズ代表セルカン・トト氏が新型の有機ELディスプレイは、これまでのスイッチ人気を考えると「消費者からあと50ドル搾り取る」のに十分だと述べつつ「このモデルが失敗する理由は見当たらない 」とコメントしています。つまり値下げをする理由がないどころか、実質的に値上げする好機ということでしょう。

任天堂にとっては有機ELモデルの投入で利益増を加速させつつ、さらにスイッチのライフサイクルを延ばす絶好のビジネスチャンスといえそうです。とはいえ、新型モデルも売れに売れたとすれば、噂の機能強化モデル登場はますます遠ざかっていくのかもしれません。

Source:Bloomberg