[名称] SyJet
[種類] HDD
[記録方法] 磁気記録
[サイズ] 3.5インチ
[容量] 1.5GB
[登場年] 1997年頃~

今や淘汰された懐かしの記録メディアたちに光を当てるこの連載企画では、ゆるっと集めているリムーバブルメディア・ドライブをふわっとご紹介していきます。

連載:スイートメモリーズ

「SyJet」は、SyQuest社が開発したリムーバブルHDDのひとつ。個人向けとして本格的に投入した135MBの「EZ135」(1995年)、容量を230MBに増やし、ドライブを使いやすく改良した「EZFlyer」(1996年)に続く製品です。

EZ135は「Zip」対抗として登場しましたが、接続にSCSIが必要で導入のハードルが高く、苦戦を強いられました。続いて開発されたEZFlyerでは、廉価に使えるパラレル接続モデルを用意し、さらに、ボタン1つでメディアを取り出せるよう改良されたことから、使い勝手が向上。これでZipと互角以上に戦える……ハズだったのですが、ライバルのIomegaは1GBの「Jaz」を発売しており、容量面で見劣りしてしまいました。

このJazに対抗して投入されたのが、SyJetです。ドライブの価格はJazと同等の500ドル前後(内蔵は400ドル前後)、カートリッジも125ドル前後と互角となっており、容量が1.5倍あるぶん魅力的な製品となっていました。

ただし、1GBクラスの容量が欲しい人は、先に登場していたJazを導入済み。また、SyQuestは数年に渡り矢継ぎ早に製品を投入していたため、スグに次の製品が出るのではないかという警戒感もあってか、一気に市場を奪うほどの力はありませんでした。

ということで、カートリッジを見ていきましょう。

ほぼ正方形で中身が透けて見えたEZ135やEZFlyerとは違い、一辺が弧を描いているカートリッジを採用。デザインをJazに寄せてきているあたりからも、あからさまにライバル視していたというのが分かります。

プラッターを守るシャッターは横にスライドするタイプで、側面にあるタブを引くと開く仕組みになっていました。

こちらが引っ張ってみたところ。シャッターが紐で引っ張られて開く、みたいなシンプルな構造です。紐みたいにブラブラしててのかなと、少々困惑しますが……。

とはいえ、アルミのカバーが回転してプラッターを守っていたEZ135やEZFlyerよりシンプルなので、機械的な故障は少なそう。また、製造コスト面でもメリットがありそうです。

中のプラッターは2枚。従来は1枚での構成となっていましたから、大きく変化した部分です。といってもJazも2枚でしたし、容量で見劣りしないよう追従した……と考えるのが自然ですかね。

ただし、やはりコスト高となってしまうのか、後継として1997年11月に登場した「SparQ」では、プラッターを1枚に減らしてコストダウンを図っています。容量こそ1GBに減っていますが、ドライブは半額以下、カートリッジは3分の1の価格になっているので、低価格路線としてはなかなか魅力的でした。

左がSparQで、右がSyJet。ちなみにこのSparQのカートリッジ形状は、SyJetと同じですが、互換性はありません。わずか10か月ほどで旧製品にされたSyJetユーザーは、面白くなかったでしょうね……。

SyQuestは個人向けリムーバブルHDD市場でなんとか生き残ろうとしていましたが、CD-Rの台頭もあって、市場そのものが縮小気味の中では厳しいものがありました。残念ながら業績の悪化が続き、1998年11月に破産しました。

連載:スイートメモリーズ

参考:

SYQUEST SHIPS HIGHLY ANTICIPATED SYJET 1.5GB REMOVABLE CARTRIDGE HARD DRIVE Company Ships First Volumes of Fastest, Highest Capacity Drive Ever, Syquest, WaybackMachine
PC MAGAZINE MAY 6 1997 P166, Google books