コロナ禍で完全デジタル化したCESですが、例年通り、開幕に先立ってプレスカンファレンスが開催されています。昨年までは、MWCを控えた1か月後に控えていることもあり、スマホをはじめとしたモバイル関連製品は例年よりも少な目。バルセロナでのMWCが7月に延期になった2021年も、その傾向は続いているようです。そんな中、中国メーカーのTCLは、格安5Gスマホやローラブルスマホのコンセプトモデルを発表し、注目を集めています。

TCL Junya Ishino
▲TCL 20シリーズを一挙に発表したTCL。内2機種は、発売も間近だ

代理店のFOXが取り扱う形で、日本市場にも参入しているTCL。1年前のCESでは、「TCL 10」シリーズを発表し、そのうちの何機種かは日本でもSIMフリースマホとして発売されています。元々、TCLはAlcatelやBlackBerry、Palmなど、他社から借りたブランドでスマホを展開していましたが、2019年に登場した「TCL PLEX」以降、TCLブランドのラインナップを強化しています。そのフルラインナップを発表したのが2020年のCES、そして、2021年のCESではその後継機をズラリと披露しています。

CESのプレスカンファレンスで発表したのは「TCL 20」シリーズ。ラインナップは全5機種で、「TCL 20 5G」「TCL 20 Pro 5G」「TCL 20 SE」「TCL 20 L」「TCL 20 S」の5つ。このうち、発売が近いTCL 20 5GとTCL 20 SEは、詳細なスペックまで明かされています。スライドをよくよく見ていくと、インカメラの実装方法やディスプレイの形状も異なるため、シリーズの統一感がそれほどあるわけではありませんが、いずれの端末にもTCLが得意とするディスプレイ技術の「NXTVISION 2.0」を採用しています。

TCL Junya Ishino
▲テレビで培ったイメージを武器に、「DISPLAY GREATNESS」をコンセプトにしたスマホを展開

TCLが「もっともお手頃な5Gスマートフォン」と呼ぶのが、TCL 20 5Gです。プレスカンファレンスで明かされた欧州向けの価格は299ユーロ。日本円にして、3万8000円弱といったところ。4万円を下回る価格設定を打ち出してきました。TCL 20 5Gは、Snapdragon 690を搭載したミドルレンジモデル。4800万画素のカメラや、6.67インチのフルHD+ディスプレイを採用しており、側面には電源キーと一体になった指紋センサーも搭載します。

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▲TCL 20 5GとTCL 20 SEは、価格も発表。5Gスマホながら、4万円を下回る低価格を打ち出した
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▲メインカメラは4800万画素。超広角やマクロカメラも搭載する

もう1つのTCL 20 SEは、4Gオンリーながら、価格はさらにリーズナブル。欧州では149ユーロ(1万9000円弱)と、TCL 20 5Gの半額程度の価格を打ち出しています。こちらは、Snapdragon 460を搭載。この価格ながら、背面のメインカメラには4800万画素のカメラを内蔵しています。ディスプレイはHD+で、TCL 20 5Gより一段落ちますが、5000mAhのバッテリーを搭載しているなど、価格以上に充実したスペックと言えるかもしれません。

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▲TCL 20 SEは4Gスマホだが、メインカメラは4800万画素。バッテリーも5000mAhだ

TCL 20シリーズは、2021年に発売が決まっているスマホですが、将来に向けた布石として、TCLはローラブルスマホの試作機も発表しています。おもしろいのは、縦横両方のスタイルを想定しているところ。縦に伸びて7.8インチの縦長スマホになる端末と、巻物のように横に伸びて17インチになる端末の2つを披露しています。

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▲縦に伸びるローラブルスマホ。考え方としては、縦折りのGalaxy Z Flipに近い
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▲巻物のように左右を引っ張ってタブレット大のサイズにできる端末も披露

フォルダブルでも、サムスン電子は縦に開くGalaxy Z Flipと、横に開くGalaxy Z Foldの2シリーズを展開していますが、ローラブルでも同じことが言えるのかもしれません。前者は、持ち運びのときだけコンパクトになるスタイル。後者は逆に、ガッツリ利用するときにディスプレイを拡大できるのが特徴になります。同じCESでは、LGエレクトロニクスもローラブルスマホを発表していました。また、2020年にはOPPOも、同様の技術を披露しています。

フォルダブルは、コンパクトさと大画面を両立させる形状ですが、ディスプレイに折れ目がついてしまったり、サイズが固定されてしまったりといった難点があります。ローラブルであれば、巻いている途中で使うこともでき、ユーザーがある程度サイズを自由に決めることが可能。厚みやディスプレイの強度など、商用モデルのスマホに落とし込む際に解決すべき課題はまだまだありそうですが、“フォルダブルの次”として注目しておいてもいいかもしれません。

もっとも、フォルダブルスマホでもまだ10万円台後半からといった価格設定。いずれもハイエンドモデルのさらに上といった価格で、特殊なモデルに位置づけられています。よりリーズナブルな廉価版を投入するウワサも出ていますが、一般にどこまで広がっていくのかは未知数です。スマホに先立って投入された、LGのローラブルテレビこと「LG SIGNATURE OLED R」は、韓国での価格がなんと1億ウォン(950万円弱)。実際に目にしたときのインパクトは絶大でしたが、同時に価格にも驚かされました。スマホでは、もう少しリーズナブルになることを期待しています。