『The Last of Us Part II』先行プレビュー。リアリズムの新たな到達点、PS4円熟期を飾る大作(ネタバレなし)

超暴力ギルティプレジャー

Ittousai
Ittousai , @Ittousai_ej
2020年06月2日, 午後 03:44 in SIE
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The Last of Us Part II

6月19日に発売を控えるPS4期待の大作、『The Last of Us Part II』のネタバレなし先行プレビューをお伝えします。

The Last of Us Part IIは、2013年にPS3で発売され大ヒットしたサバイバルアクション『The Last of Us』の続編。

『アンチャーテッド』シリーズなど、ソニー傘下でも特に高い技術力を活かした大作で知られるスタジオ Naughty Dog が、プレイステーション4の限界に迫る最新技術と恐ろしいほどの作り込みで新たな物語を描きます。

The Last of Us の舞台は、人間に寄生し凶暴化させる病原菌のパンデミックにより荒廃した現代の米国。いわゆるポストアポカリプスものです。

前作はパンデミックの社会混乱のなか娘を失った経験を持つ中年男性ジョエルが、運び屋として護送することになった謎の少女エリーとともに、武装した生存者集団や感染者と戦い、ある目的のために旅をする内容でした。

今作The Last of Us Part II は前作から数年後。十代前半の幼い少女だったエリーは、前作ラストで辿り着いた生存者のコミュニティでタフに成長し、今作では19歳になっています。

The Last of Us Part II

今回のプレビューでお伝えできるのは、物語の序章が終わったあたりの1パートについて。予告編などで描かれている以上のネタバレはありません。

エリーがある人物を追ってシアトルの元隔離地域を探索し、前作よりさらに異形化が進んだ恐ろしい感染者や、互いに対立する2つの生存者集団WLF(ミリシア)およびセラファイト(カルト集団)と遭遇する内容です。

E3で公開された予告編や、つい先日の State of Play で紹介されたゲームプレイ動画で採り上げられた部分とおおむね一致する範囲です。

実際にプレビュー部分をプレイした印象は、

空気感や生々しさ、痛みまで伝わる高度なグラフィックとゲームエンジン

まず驚くのが、PS4の『アンチャーテッド4』や外伝でプレーヤーを驚かせたノーティードッグエンジンによるグラフィックや、敵AIを含む演出がさらに進化していること。

ノーティードッグはゲーム世界の「環境」を描く技術で定評がありますが、今作のシアトルは荒廃した建物ひとつをとっても気が遠くなるようなディテールまで再現されており、文明の痕跡を覆う植物や、空気の湿度まで感じさせる天気や水の表現など、たしかにそこに「ある」別世界として異様な説得力があります。

The Last of Us Part II

ゲームのグラフィックが高度だ、優れているという場合にもさまざまな評価軸がありますが、The Last of Us Part II は実写に近づくフォトリアル方面というよりも、膨大なディテールやリアルタイムの光源処理(光と影の効果)、主人公やNPCと環境の相互作用も含めて、総合的に「ゲーム世界でのリアル」を確立している点が出色。

エリーのキャラクターモデルひとつをとっても、服などはコストのかかる布の挙動シミュレーションを常時使っているわけではなく、汚れや凹凸をそれらしく焼き込んだ「ゲーム専用機なりに頑張った、リアルタイム用キャラクターモデル」の範疇です。実写と間違えるという意味での「リアル」ではありません。

The Last of Us Part II

しかしこのエリーが複雑な地形を矛盾なくよじ登り駆け抜け泳ぎ潜り、隙間に体を押し込み、障害物を押し引き運び、匍匐から流れるように敵を拘束し喉を割き、撃たれて倒れ込みつつも武器を構えて反撃するといった複合的なモーションを、プレーヤー操作との一体感を維持したまま流れるように続けるのは、実写とはまた別の生々しさ、リアルを感じさせます。

モーションキャプチャでありがちな、リアルだけれど周囲の環境とマッチしていない動き(例:何もない空間に軸足をおいて「おっとっと」モーション)や、一つの動きから次の動きへの中間が不自然にキャンセルされて飛ぶ、同じ動きの繰り返しで壊れた人形のようといった、ゲームだから当然とスルーされていた点が、すべてではないにしろ概ね自然に処理されているのは、純粋に技術の進歩として驚かされます。

同時に、アクションゲームらしくリアルタイムのレスポンスを最優先しており、ヌルヌル挙動すぎて操作が重く不快に感じることがないバランスは高く評価できます。

(そもそも現実にあり得るかでいえば、エリーはものすごい量の武器弾薬を同時に持ち歩きつつ機敏に飛び回ることができ、背に負ったバックパックや飛び出た弓矢が地形に引っかかることはなく、屈強な兵士も容易く制圧します。あくまでアクションゲームファーストです)

The Last of Us Part II

リアルタイムに操作する部分と、いわゆるカットシーンの繰り返しで物語が進むのは、前作をはじめ多くの「映画的な」ゲームと同じ。しかしリアルタイムで操作できる状態のままNPCとの長い会話でキャラクターを描いたり、カットシーンを使う際でも導入とプレーヤー操作への復帰が非常にシームレスなのは特筆すべき点です。

カットシーンなのについ主人公との一体感を引きずったまま、コントローラを握りしめて見入ってしまうことも珍しくありません。

Naughty Dogで The Last of Us Part II 共同ディレクターを務める Kurt Margenau氏によると、このシームレスなストーリーテリングは今作で非常に拘った点。極力プレーヤーに操作を委ねたまま、イマーシブに物語を体験できるようにし、カットシーン演出になる際も絶対に必要な状況以外では操作をとりあげず、その場合でも切れ目なくリアルタイム操作に戻すことを意識したとのこと。

確かにカットシーンの終わりに暗転読み込みが挟まって分かりやすくゲーム再開、ではなく、主人公がじっと立ち止まっているので「あ、もう動けるんですね」となるパターンです。

意思と知性、感情が伝わるNPC

The Last of Us Part II

プレビューで体験したシアトルの場面では、冬虫夏草のような菌類に寄生され異形化した人類である「感染者」に加えて、崩壊した政府にかわり秩序を再建すると謳い苛烈な軍政を敷く武装集団(ミリシア)の「WLF」(ウルフ、ワシントン開放戦線)、 パンデミック後に出現したカルト集団の「セラファイト」(顔に儀式的自傷の跡があることから「スカーズ」)という、3つの勢力が登場します。

前作にも登場した感染者は、人間とは比較にならない耐久性で突進してきたり、酸性の体液を吹き出して爆発するなどあからさまにホラーなモンスター。映画マタンゴの恐ろしさです。

WLFは軍から奪った近代兵器を装備し、(いちおうは)軍隊的な規律で動き、身を隠したプレーヤーも匂いを感知して追ってくる番犬を使うのに対して、セラファイトは森に潜み隠れたまま不気味な口笛で互いに通信し、どこからともなく放たれる弓矢で侵入者を追い詰めるなど、それぞれ個性が違うのは、純粋にアクションゲームとして非常に楽しめます。

驚いたのは、この人間のNPCたちがエリーやお互いに対して見せる反応や挙動の自然さ。あくまでステルスゲームとしてクリア不能にならない程度の歯ごたえではありますが、WLFの兵士はお互いに声をかけあい「まだ近くにいるはずだ。中庭を探せ」や「車の後ろにいる!」「ジェシーがやられた!」など、実際に状況に即した会話をし、そのとおりに動きます。

単純な決め打ちやトリガーではなく、実際にプレーヤーが見つかった場所を名指ししたり、状況に応じて手分けして捜索するなど、NPCの挙動も手に汗握る臨場感を与えてくれます。演出の範疇とはいえ、ステルスゲームにありがちな木偶の坊ではありません。

スクリプト会話で驚いたのは、いわゆるモブといわれるNPCの兵士どうしも互いに名前を呼んで声をかけあったり、倒れた味方の名前を叫ぶこと。ノーティドッグの開発者によると、これはゲームのAIエンジン側が敵を生成する際、モブにも自動的に名前を割り振って実現しています。

暴力はこのゲームの特徴ですが、単に流血の有無といった表層にとどまらず、主人公に容易く始末される雑魚のひとりひとりに名前があり、死に際して苦悶の表情を浮かべ、動揺した味方が名を叫ぶという生々しさを備え、アクションゲームとしてのリアルさと、「復讐と暴力の連鎖」というテーマの表現を両立しているのは見事です。

戦術アクションの楽しさ x 感情に訴える演出

The Last of Us Part II

このNPCの勢力はお互いに対立しており、侵入者であるエリーは正体を隠しつつ介入することで、敵同士や感染者が争うように仕向けたり、対立勢力のしわざと勘違いさせて漁夫の利を得ることもできます。

シアトルのこの場面に至るまでの進行で、エリーはライフル、ショットガン、弓、リボルバーにオートマチックとそれぞれの強化(6xスコープ、サイレンサー、爆薬付き矢)、さらに火炎瓶、近接検知爆弾、スタン爆弾などを装備しクラフトできる、歩く武器庫かプレデターかという状態になっています。

こうした多彩な装備と、今作で新たに加わった匍匐前進などトラバーサルの技術を組み合わせ、「聞き耳」スキルで状況を読み、NPCのどうしの会話やリアルタイム進行する出来事を観察しつつ戦略を練るのは、上述の歯ごたえあるNPCのAIとあいまって、純粋なアクションゲームとして夢中になる楽しさです。

ただ、それだけで終わらせてくれないのがこのゲームの恐ろしいところ。ただのアクションゲームとしてサクサク楽しく遊ぼうとしても、上述の「名前と感情がある敵」や、今作から登場するパトロール犬の存在など、生々しい手応えと痛みの演出でプレーヤーの感情をも動かします。

軍犬は多くのゲームに登場しており今更ではありますが、ラスアス2ではたとえば近接武器で犬を攻撃しても、かんたんに「キャンと叫んで倒れモーション」程度で退場してはくれません。手斧が食い込んで止まり、エリーが足で蹴って抜くと血が吹き出すといった、実にすばらしい後味の悪さを残してくれます。

多くのゲームで人間に対する暴力表現があっても動物は忖度した描写だったり、人間やゾンビや宇宙人やドラゴン殺しは平気だけど犬だけはダメ、というプレーヤーも多いなかで、敢えてリスクをとってまで残したのはなぜなのか、ノーティドッグの開発者に尋ねてみたところ、こちらもプレーヤーの感情に訴えることで、「(復讐といった)目的のために、人間はどこまでやれるのか、どんなことをしてしまうのか」を表現することを狙ったとのこと。

なお、ゲームの設計としてはほとんどの場面を戦闘なしで切り抜けることができ、犬を倒すのはあくまでオプションのひとつです。気を逸して逃げることも可能。念のため。

プレビューでの個人的な経験を述べれば、普段はゲームの暴力表現に悪い意味で慣れすぎて技術的にばかり見てしまうはずが、パトロール犬は最初に軽い気持ちで斧攻撃してエグいアニメーションに恐れをなし、次からはできるだけ迂回したり、仕方ないときはサイレンサーつきオートマチックで距離をとって始末することで精神的なダメージの軽減を図るようになりました。

しかし数回ステルスに失敗して敵に追い込まれ、犬に噛み殺されるエンドを繰り返してからは、むしろ犬を見かけたら積極的に近づき貴重な火炎瓶を消費して「オーバーキルだし若干もったいないけどいいか。ムカつくし」と確実に焼いてゆく残虐プレーヤーが爆誕。

どうかと思いますが、主人公エリーが幼い少女から、世界の残酷さと怒りで感情を鈍麻させキルマシーンになる過程までプレーヤーのなかで再現したノーティドッグすげえ!、といえないこともありません。ないかな。

The Last of Us Part II は6月19日発売。このプレビューでは触れませんでしたが、トレーラーで分かるとおり、本編はシアトル編以外にもさまざまな場所を舞台に、多数の人物の思惑と感情が交差する長大な物語です。

直接つながっているPart IIである以上、もちろん前作プレイが推奨ではありますが、今作から始めても過去の回想シーンなどで筋は補完されるため、まずPart IIだけ、気に入ったら前作リマスターでも十分楽しめます。

 
 

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