ThinkPad Z 2021

米国で開催されるCES 2022に合わせ、大手PCメーカーであるレノボが、ビジネス向けノートPCであるThinkPadの新シリーズ『ThinkPad Z』を発表しました。

シリーズは、13.3インチ版の『ThinkPad Z13』と、16インチ版の『ThinkPad Z16』の2モデル構成(上写真はZ13です)。

米国での発売予定時期とスタート価格は、Z13が2022年5月で1549ドルから。Z16も5月からで、2099ドルからです。

本体カラーは、Z13が革張りとなるビーガンレザー(とブロンズ)、グレー系のアークティックグレー、そしてブラックの3種類。Z16はアークティックグレーのみとなります。

ThinkPad Z 2021
▲ThinkPad Z16。本体カラーは1色のみの構成

ThinkPad 30周年記念モデルの一つとしても位置づけられたこれら2モデルは、新規シリーズであり、なおかつ(価格からもわかるように)比較的高級機なだけあって、外観デザインや筐体は新規設計に。

とくに外観デザインは、昨今のYogaシリーズ(コンシューマー向け高級ノートPC)に似た印象を与える加工が施されるなど、かなり大胆な変化を主張するものとなっています(Z16にThinkPad伝統のブラックが設定されていない点もそうでしょう)。

またCPU(APU)には、AMDの最新世代であるRyzen PRO 6000シリーズを搭載。とくにZ13では特別モデル『Ryzen 7 6860Z』を採用します。

さらにそれぞれの上位モデルではディスプレイパネルに有機EL(OLED)を選べる(解像度は、Z13が「2.8K」、Z16が「4K」)など、ThinkPadヘビーユーザーにとって注目できる仕様が導入されています。

なお、ThinkPad Z○○という名称は、2005年10月に発表された『ThinkPad Z60t』『ThinkPad Z60m』などに採用された名称。厳密に言えば「シリーズ復活」となるわけです。


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さて、非常に特徴の多い両モデルですが、レノボ側が強くアピールするのは、いわゆるサステナビリティへの配慮――大幅なリサイクル素材の採用です。

例えば、本体の外装素材に採用されたアルミニウム合金は70%がリサイクル由来となっており、Z13に用意されたビーガンレザーもリサイクル素材を多く導入しています。とくに付属ACアダプタは、90%が再利用素材となる点をアピールします。

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さらに目立つのは、外箱です。竹やサトウキビをベースとした、リサイクルが容易な素材を採用し、また塗装も控えめとする点などにより、いわゆる「リサイクル素材の風合いを活かした」系統に。従来のThinkPadとはひと味違ったテクスチャーとなっています。

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昨今、ThinkPadを含む大手メーカーの企業向けPCでは、当然こうしたリサイクル素材の導入は行われておりましたが、製品ベースではあまり変化を見せない風潮でした。ThinkPad Zシリーズはそうした路線をある意味で一転し、前面に見せる路線を取った、という趣向です。


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技術的な特徴でまず目立つのが、上述のようにAMDのRyzen 6000シリーズを搭載する点。

今回のノートPC向けモデルではとくにGPUの強化が図られており、現行世代のRADEONシリーズでも採用されている『RDNA 2』設計を基本とし、現行世代から最高で2倍の性能に。

CPU側の設計も最新世代である『Zen 3+』を採用し、AMD側は同クラスの現行製品と比べて最大1.3倍の性能向上を謳います。

さらに、セキュリティチップとして、現在使われているTPM 2.0よりも高い効果をもたらすMicrosoftの最新仕様『Pluton』に準拠。今後OS側で導入される、より高度なセキュリティ機能にも対応が可能です。

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また、ディスプレイ周りのベゼルは「ThinkPadシリーズ中、最もナローベゼル設計」とアピール。実際に画面占有率はZ13で91.6%、Z16で92.3%と、他社モデルを含めても高めとなっています。

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合わせてWebカメラ部は、『コミュニケーションバー』と名付けられた、独立したかのようなデザインに。Yogaシリーズ高級機で採用された「天面側に飛び出した」意匠も導入されています。

カメラ自体もフルHD解像度に対応し、画素ピッチ1.4μmの(Webカメラとしては)大型のセンサーが導入されるなど、テレワーク時代への要求に応える仕様です。

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また目立たないながらも大きな変更は、キーボードとポインティングデバイス。キーボードはキー配置が(高級ThinkPadとしては)大きく変更されており、なんと指紋センサーは矢印キーの隣にレイアウトされるなど、大胆な更新がなされています。

なおInsertキーは、ThinkPad X1 Nanoなどと同様、Endキーとの兼用タイプです。

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▲こちらはZ13のUS配列キーボード。キーの左右フレームも、画面に合わせて本体の幅いっぱいにまで広げた設計です
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▲こちらはZ16のUS配列仕様。こちらは余裕のある本体幅を活かし、左右に大型スピーカーを配置します

そしてもう一つ目立つのはタッチパッド。幅120mmと大型化し、触感フィードバック対応となりました。ただし一方でスティック型ポインティングデバイス『TrackPoint』の独立ボタンは(再び)消えている模様。実際の操作感とともに、気になるところです(裏を返せば、このぐらい大きな変化を恐れないシリーズ、ということでもあるでしょう)。

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一方で、TrackPointのドライバ側には新機能が。スティックを「ダブルタップ」するとカメラとマイク設定が可能となる『Communication QuickMenu』が呼び出せる機能を装備します。


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ThinkPad Z13は、13.3インチ/アスペクト比16:10画面を搭載し、本体重量1.25kgからの、準モバイル的な位置づけの製品。本体サイズは294.4×199.6×13.99mm(幅×奥行×厚さ)です。

ディスプレイは、上位が2.8K解像度(おそらく2880×1800)の有機EL(OLED)、標準が1920×1200解像度のIPS液晶。オプションでペン入力対応モデルも用意されます。

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選択可能なCPUには、本機用の特別構成となる『Ryzen 7 6860Z』が選択可能。他にもRyzen PRO 6000Uシリーズから選択可能となる予定です。なおGPUは、CPU内蔵の『Radeon 600M』。

RAMは最大32GB(LPDDR5、増設不可)、ストレージはSSDで、最上位は1TB/PCI Express 4.0接続のNVMe仕様となります。

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ThinkPad Z 2021

公称バッテリー駆動時間は最大15時間で、バッテリー容量は50Wh。

拡張端子はUSB4 Type-C×2基(電源兼用)と、3.5mmヘッドセットジャックのみと、かなりのシンプル設計です。


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ThinkPad Z16は、16インチ/アスペクト比16:10画面で、重量1.97kgからのパワー重視モデル。本体サイズは354.4×237.4×15.8mmです。

CPUには、ゲーム向けノートPCにも採用されるRyzen PRO 6000Hシリーズを採用し、上位モデルには単体GPUとしてAMD『Radeon RX 6500M』が加わります(下位構成はCPU内蔵グラフィックス)。

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ディスプレイは、上位が4K解像度の有機ELで、標準が1920×1200解像度のIPS液晶。タッチもオプション設定されています。

RAMは最大32GB(LPDDR5、増設不可)、ストレージは最大2TBまでのPCI Express 4.0-NVMe仕様のSSD。バッテリー容量は70Whと大きく、パワフルなCPUやGPUを搭載しつつ、公称バッテリー駆動時間は最大12時間とアピールします。

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インターフェイスは、USB4 Type-C×3基にフルサイズSDカードリーダー、ヘッドセットジャックを搭載と、こちらもZ13より強化された構成です。


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このように新生ThinkPad Zシリーズは、基本性能を強化しつつも、各所に新しい、時代に合わせた意匠を取り込んだモデル、という印象を受けるもの。

実は2005年の初代Zシリーズは、ThinkPadにおいてワイド画面(横長画面)が採用された(そして現在ではスタンダードとなった)初のモデルともなりました。

今回の2モデルも、リサイクル素材の採用という点などにおいて、そうした「将来のスタンダードとなる仕様を先取りする」コンセプトから、Zシリーズという名称が付けられたのでは? とも思わせる特徴付けになっています。

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キーボード周りの配列やTrackPointボタンなど、古くからのThinkPadファンからすると、正直なところ議論の対象となりそうな要素もありますが、そうした点も含めて「変化し続けるThinkPad」を体現する、新たな挑戦的モデルとも呼べそうなところ。

その挑戦が果たしてどんな結果となるのか、実際に触れられるのが楽しみなモデルであるのは確かでしょう。

Source:レノボ ニュースリリース(米国版)