世界初のフォルダブル(折りたたみ)画面搭載ノートPCが、いよいよ市販という関門を突破しそうです。

公式での発売時期は「2020年中頃」とだけされていたレノボの『ThinkPad X1 Fold』の発売が9月中となりそうだ、という確度の高いウワサが出てきました。価格に関してはCESでの見通しと同じく、米国向けで2499ドルからの模様。

同モデルは2019年5月に開発発表されてから1年以上、2020年1月のCESで実機展示されてからも半年以上が経過していますが、ついに一般ユーザーも姿を見られる日が近そうです。

またこれとは別に、レノボの販売パートナー向けアカウントも、同モデルに関して数か月ぶりにツイート。「Coming soon……」と告知しています。これは定期的な告知ではないことからコピペ的ツイートではなく、少なくとも販売パートナーに対して何らかの告知ができるタイミングに入ったことを伺わせます(なお、ツイート内のリンクはパートナーアカウントが必要なため、一般ユーザーは閲覧できません)。

今回のウワサの震源地となったのは、各種OSのタブレットにフォーカスしたメディアである米Tabletmonkeys。紹介記事では、合わせて付属の小型キーボードにマイクロソフトが新しく提唱する“句読点キー”を搭載する点なども指摘されています。


▲典型的な持ち運び時の状態では、キーボードを中央に挟んだ“サンドイッチスタイル”に。厚みは公称でも27.8mmです

ThinkPad X1 Foldは、LGディスプレイと共同開発した13.3インチのプラスチック有機ELパネルを搭載するフォルダブルノートPC。開いた状態では解像度2048×1536、アスペクト比4:3となる画面を搭載した同モデルは、画面を内側にした状態で折りたため、面積を小さくして持ち運べる点がポイント。

本体サイズは開いた状態で約299×236×11.5mm(付属の革カバーを除けば7.8mm:幅×高さ×厚さ)、畳んだ状態では約158.2×236×27.8mm(こちらはカバー付きの数値)。

本体重量は約999g(付属革カバー兼スタンド含む)と、モバイルノートPCとして十分通用するサイズ・重量感です。

フォルダブル画面を採用した第1世代のスマートフォンでも問題となっていた「折りたたんだ際に隙間が空いてしまう」問題は、付属の小型キーボードを間に挟むことで解決できるという、トンチ的発想での解決を図っています(その代わり、この状態での厚みは相応にあります)。

▲画面をクラムシェル風に開き付属キーボードを底面側に載せると、狭い場所でも使えるスタイルに。360度ヒンジでもテントモードなどを推した、レノボらしい提案です

この小型キーボードはBluetooth接続で本体と連携。画面を開いた状態で使えるだけでなく、一般的なノートPCのような角度を付けた状態で底面側に乗せると、物理キーボードを備えた9インチ級の小さなノートとしても使えます。

当然キーボードの底に隠れた画面の表示面積とピクセルは犠牲になりますが、設置面積が取れない場所などでも柔軟に使えるというのがポイント。

360度回転ヒンジ搭載PCにおいて「テントモード」や「スタンドモード」といった使い方を提唱した――そして現在では他のメーカーにも広がって定着している――メーカーらしい使用法の提案となっています。

詳細に関しては下記のCES 2020での発表記事、および実機インプレ記事を参照ください。

参考記事:

レノボ、世界初の折り畳み画面ノートThinkPad X1 Fold発表。開いて13.3インチのフォルダブル

折りたたみ画面ノート ThinkPad X1 Fold 実機インプレ。仕掛け満載のマルチモード変形PC


▲「6」のキーが噂の? Punctuation key。Win 10Xでの絵文字入力パレットアイコンが印字されています。なお充電はなぜかマイクロUSB(Image Credit:Tabletmonkeys)

さてもう一つ注目されているのが、上述した付属キーボードに、「Punctuation key」――直訳すると「句読点(用)キー」が搭載されているという点。

実はこのキー、CESでのプレビュー時から搭載されていましたが、当時はその正体がわかりませんでした。しかし2020年8月に「マイクロソフトの新型キーボード」とされた写真に搭載されていたことで改めて話題となり、同じアイコンがWindows 10Xプレビュー版のソフトウェアキーボードでの絵文字入力となることから、Win 10X対応キーボードにおける絵文字入力機能を担うのでは、と目されています。

参考記事:

マイクロソフトの未発表キーボード、新たな絵文字キーを搭載か

X1 Foldの付属キーボードにもこのキーが搭載されている、ということは、同機におけるターゲットOSは、むしろWin 10Xのほうとなるのかもしれません。


▲持ち運び時(閉じた状態)での側面。パッと見で迫力がありますが、USB Type-C端子からもわかるように、実際の厚みは見た目ほどではありません

以下、若干の余談。そもそもX1 Foldの公式発売日が2020年夏や2020年中盤と、比較的長期スパンだったのは、その予定を公開したのが1月のCESと早かった点に加えて、X1 Foldが“新デバイス、新設計てんこ盛り”の機種であるためです。

わかりやすいところでは、やはりフォルダブル有機EL画面と、それを搭載するボディが挙げられます。これまでのノートPCでは見られなかったヒンジや筐体の構造も含めて技術的難度が高く、またスマートフォンの一部機種でも市販直前で紆余曲折もあったことなどから、X1 Foldでも開発難度を押し上げたのは想像に難くありません(なお、開発スタッフ側は堅牢性として、他のThinkPadシリーズと同様の“拷問テスト”にパスする点を紹介しています)。

さらに搭載CPUも、インテルの新製造技術により、Core i系(Ice Lake相当)とAtom系の2種類のCPUコアを統合し、さらにI/Oコントローラーや8GB RAMまでもを三次元的に集積する『Intel Core Processors with Intel Hybrid Technology』(開発コード名“LakeField”)という、新路線の省電力(TDP 7W版)CPUとなります。

LakeFieldを初搭載したモデルはSamsungの薄型ノートPC『Galaxy Book S』ですが、米国では7月の発売となりました。つまり厳しい表現をすれば、CPUもこれまでの設計ノウハウが通用せず、なおかつ比較的最近まで入手が難しかった……ということになるわけです。

OSも、初期モデルでこそWindows 10搭載ですが、後ほど新バリエーションとなる『Windows 10X』搭載版が追加されます。さらに(同社最初のモデルでこそないものの)5G通信対応構成の後日追加を表明していたりと、まさに“新しい基幹パーツ・ソフトウェアのオンパレード”と称すべきモデルとなっています。

▲フォルダブルノートPCとしての姿は、当然ですが他のPCでは味わえない魅力を醸し出します。『ThinkPad 701C』や『ThinkPad TransNote』と並べたい!! と思うのは筆者だけではないはず

ということでこのX1 Foldは、画面にCPU、そしてそれを搭載するボディの設計という、ノートPCの中心的な要素のほとんどが新開発であり、なおかつ技術的難度も非常に高い……という、非常に真新しい、またチャレンジ精神溢れる(筆者のようなThinkPad好きに言わせれば、いかにもこのシリーズらしい)モデルとなっているわけです。

「世界初のフォルダブル画面PCということで購入はマスト、問題は予算確保のタイミング」という方などにとっては正直待たされた感もあります。が、X1 Foldは遅れた理由が薄いタイプの製品ではなく、ここまで引っ張った理由はしっかりとある製品なのです(ただし個人的には、“待たされ感”要因の一つである「そもそも発売までが遠い製品をCESでプレビューする」手法自体が、昨今のPC情勢とは合わないのでは、とも思うわけですが……)。

Source:Tabletmonkeys