シャープ傘下のPCメーカーDynabook(ダイナブック)が、2020年冬のノートPC新モデルとして5シリーズ23機種(本体色違いを含む)を発表しました。

中でもdynabook側のイチオシであり、またEngadget読者にとっても最注目モデルとなるであろうシリーズが、13.3インチの360度回転ヒンジ搭載2-in-1モバイル機となる、dynabook Vシリーズの2モデルです。

シリーズは、上位となる『dynabook V8』とベーシックモデル『dynabook V6』の、グレード別の2モデル構成。店頭予想価格はV8が22万円前後、V6が19万円前後(両モデルともMicrosoft Office Home & Business 2019搭載)で、発売予定日は11月下旬より順次となります。

製品の位置づけとしては「CPUにインテルTiger Lake-Uを搭載し、TDP 28W設定で使用。RAMとしてLPDDR4X-4266をオンボード搭載し、13.3インチのフルHD液晶画面を備えた、タッチ+ワコムAESペン対応の高級2-inー1モバイルノートPC」というところ。

本体重量は2モデル共通で約979g。本体サイズは約303.9×197.4×17.9mm(幅×奥行×厚さ)、バッテリー駆動時間は公称24時間(JEITA 2.0測定法)。

軽さとバッテリー駆動時間を両立した点、そしてタブレット兼用となる2-in-1タイプでは数少ない1kg切りモデルとなる点がポイントです。


小型本体ながらデュアルファン搭載

安定したTDP 28W動作を実現

▲360度回転ヒンジ搭載機ならではの柔軟な設置に対応。本機では「Monitorスタイル」と称する、いわゆるテントモードにも対応します

Vシリーズの現行モデルは基本コンセプトを同一とする12.5インチ画面仕様でしたが、その基本的な設計は東芝時代の初代機(2016年冬モデル)から引き継がれてきました。つまり本機は4年ぶりの大変更モデルとなるわけです。

そうした点もあり、改良点は非常に多数。まず外装(筐体)面では、液晶のナローベゼル化により、本体の軽量化と画面サイズ拡大、さらに奥行きの低減を並立。とくに重量は現行機の約1099gから約120gの計量化を果たし、同時に1kgを切っています。また画面サイズは12.5インチから13.3インチへと、実質的な1ランクサイズアップとなりました。

また基本性能の面では、CPU(SoC)にインテルのTiger Lake-U(開発コード名)こと第11世代Core iを搭載する点による基本処理とグラフィックスの大幅な高速化に加え、それを支える『エンパワーテクノロジー』の導入もポイントです。

▲TDP 28W設定のTiger Lakeを長時間安定させるため、1kg以下のモデルとしては異例となる2基のファンを搭載。強力な冷却で性能を支えます(dynabook社製品カタログより)

このエンパワー~とは、同社が持つ放熱技術などに対して新しく付けられた技術ブランド名。具体的にVシリーズでは、1kgを切るモバイルノートとしては非常に珍しいデュアルファンと幅広ヒートパイプを採用し、効率的かつ長時間安定した放熱環境を実現。

こうした冷却技術の強化やファームウェアレベルでのCPU性能と電力制御の細やかな設定により、新V7とV8のTDP(発熱と消費電力の目安となる値)は、Tiger Lake-Uの最大となる28Wの設定

従来のインテル製モバイルノート向けCPUでの(一応ではありますが)基準値となる15Wの2倍近い設定とすることにより、「今までないパワフルで安定持続する高性能をお届けする」(同社)とアピールします。

さらに、Tiger Lake搭載機の速度を大きく左右するRAMには、同CPUの最高速となるLPDDR4X-4266を採用。高速RAMのために拡張不可仕様となりますが、4266MHz相当という高速転送により、CPU側の性能を下支えします。

そしてこうした高性能を証明すべく、合わせて同社としては珍しく試作機によるベンチマーク結果も前面に押し出しているのも見どころ。

CPU部に関してはSYSmark2018総合スコアで1.49倍(Core i7-10510U搭載機との比較)、グラフィックス部は3DmarkのTime Spyテストで約2.9倍(同CPU搭載機比)との結果を公開しています。

なお、こうした性能重視のイメージを表現すべく、天板の企業ロゴやヒンジ部天面側、キーボードバックライトなどのワンポイントカラーには鮮烈な赤色を採用。ベース色は黒ベースの「プレミアムブラック」のため、ここだけ見るといわゆるゲーミングPC的な意匠にも見えるようになっています。

さらに、インテルが推奨する最新PC仕様である『インテルEvoプラットフォーム』にも準拠。Tiger Lake内蔵コントローラを活かしたThunderbolt 4端子の搭載や、モダンスタンバイによる高速なスリープからの復帰などのメリットも備えます。


あの「東芝・ワコムAES」を引き継ぐペン対応

細かな使い勝手も隙なく強化

▲ファンからは「AES方式の中でもこれだけは別格」とも評されたdynabookチューニングのペンを継承。大きく強化された基本性能や軽量化と相まって、ペン対応タブレットとしての完成度も向上させています

もう一つの特徴は、2グレード共通で、ワコム社ベースのアクティブ静電(AES)方式のペンが付属する点。筆圧感知は4096段階で、ワコム側のFeel仕様に準拠します。

……と紹介しただけでは、2-in-1タイプのWindows機で一般的なペンのようにも思えますが、本当の特徴は仕様からは見えないところ。同機のペンは、東芝時代の『dynabook Tab』や『DynaPad』シリーズで評価の高かった、独特のファームウェアチューニングがなされた仕様。

上に挙げた東芝時代のAESペン対応機種は、愛用するイラストレーターなどの間で「AES搭載機として出色の完成度」という評価を受けてきましたが、そうしたノウハウを受け継ぐ仕様です。

また手書きノートアプリも、DynaPadシリーズから導入された独自開発の『TruNote』を継承。メモ書きなどの実用面で評価の高い同アプリが使えるという点も、他社製品にはない魅力となっています。

▲キーボードユニットも新開発。大型化し、四隅にアールを付けたキートップなどで現行機とはイメージを一新しています

さらにタブレットモードでの画像メモ用には、キーボード奥(天)側に約800万画素のカメラを搭載。画質などに関しても、Windows PCとしてはかなり配慮された仕様となっています。

さらにキーボードユニットはキートップのサイズを拡大した新設計仕様、スピーカーはハーマンカードンブランドとのコラボ+ドルビーアトモス対応、Webカメラ(Windows Hello顔認証対応)には物理シャッターを新搭載するなど、細かなところでも新設計モデルならではのアップグレードを施しています。

▲左側面にはThunderbolt 4(兼USB-C、電源端子)×2基とフルサイズHDMI、ヘッドセット端子を搭載。現行モデルでは非搭載だったHDMIが隠れたポイントです
▲右側面にはUSB 3.1 Type-Aと電源ボタン、マイクロSDカードスロットを備えます

拡張端子では、上述したThunderbolt 4(兼USB Type-C)×2基に加え、現行モデルでは非搭載だったHDMI(フルサイズ、4K/30Hzまで)も搭載。さらにUSB 3.1 Type-Aを1基備えます。

もちろん、本体の堅牢性にも配慮。100kg重の圧力試験や高さ76cm/26方向もの落下試験を含む同社独自の耐久テストをパスするのはもちろんのこと、米軍調達仕様(MIL-STD-810G)準拠のテストも実施予定です。


▲性能のみならず本体カラーのワンポイントも、良い意味で同社のイメージを覆す、鮮烈なレッドを採用。ゲーミングPCのような黒+赤の組み合わせで、その実力をアピールします

なお、V8とV6の違いは、CPUのグレードとメモリ、ストレージ容量です。

V8はCPUに『Core i7-1165G7』(4コア8スレッド、基本クロック2.8GHz/ターボ時最高4.7GHz)を搭載。GPU部は「G7グレード」ことIris Xeグラフィックスです。RAMは16GBで、SSDは512GB(接続はPCI Express/NVMe)。

V6はCPUに『Core i5-1135G7』(4コア8スレッド、基本クロック2.4GHz/ターボ時最高4.2GHz)を搭載。GPU部はこちらもIris Xeですが、実際にはi7-1165G7に比べて実行ユニット数などが減少するため、性能は低下します(Tiger Lake世代で新しく付いた差です)。RAMは8GB、SSDは256GBです。

このように2020年版のdynabook Vシリーズは、現行機で(基本設計の年月的な問題で)ライバルとの間に開いていた差を一挙に挽回し、さらに良い意味でこれまでのdynabookのイメージとは離れた性能重視設計をアピールしたモデル(同社のパブリック的な印象は、東芝時代より引き継ぐ「どちらかといえば性能よりも安定性重視」というところが多かったはず)。

2020年冬の高級モバイルノートPCは、Tiger Lakeの登場や市況の変化などによる大変革が訪れつつある状況ですが、新Vシリーズはそうした中にあっても大きな魅力を備えた機種として仕上がっています。

とくにガジェット愛好家兼イラストレーターなどにとっては、「dynabookのワコムAESペン機が大きく高速化され、しかも1kg切り」となれば、刺さる方は確実にいるはず。ピンと来た方は、ぜひ店頭でチェックしてみてほしい存在です。


source:Dynabook