TSMC

台湾の半導体ファウンダリ(受託製造企業)であるTSMCは、世界最先端の3nmプロセス技術により、2022年末にはMac用「M3」チップなどアップル向けプロセッサの量産を開始すると噂されています。そんななか、同社が早くも2nmプロセス製造工場を増やす準備を進めており、約1兆台湾ドル(約4兆円)もの投資コストがかかる可能性があると伝えられています。

台湾の経済日報によると、台中市の盧秀燕市長は現地にTSMCの2nmプロセス工場が設立されれば、数千人の雇用が創出されると述べたとのこと。この工場はある企業グループが持つゴルフコースに建設予定であり、プロジェクト全体で約1兆台湾ドルの投資が必要になると話したと伝えられています。

この報道と並行して、TSMCの魏哲家CEOが台中市長の元を訪れたことも明らかとなっています。すでにTSMCは2nmプロセス生産の準備を台湾・新竹市で進めていますが、同社が生産拡大の必要性を感じた場合、すでに科学工業園区(サイエンスパーク)に施設がある台中市にも施設を作る可能性が窺われていました。

TSMCのCEOが台中市長のもとを訪問したのは、2nm半導体製造施設の建設に向けた協議を進めるためと見られていたわけです。台中市の側には新たな工場が環境に与える影響の大きさについて懸念があり、今回の協議でもその課題が中心となったものの、依然として解消されていないようです。

台中市長のコメントは、そうしたメディアの関心に対して答えたかっこうです。かたやTSMCもCNA(シンガポールの汎アジアニュースチャンネル)に、今回の訪問は単なる「礼儀」との声明を出しており(Focus Taiwan経由)、現時点では計画は決まっていないと示唆している模様です。

TSMCは物理学や材料科学の限界に挑戦するように、着々とプロセスルール(半導体の回路線幅)の微細化を進めており、すでに3nmの「パイロット生産」を始めています。とはいえ、一方でサムスンが2023年6月に3nm、2025年に2nmチップ製造を開始予定とも発表しており、TSMCは競合他社に対するリードを保つためにも2nmチップ工場の増設を急いでいるとも思われます。

日本でも「半導体大国の再興」を掲げて岸田首相が「官民あわせて1兆4000億円を超える投資」を打ち出していましたが、TSMCの「2nmプロセス工場」だけでも2倍以上の規模ということになります(TSMCの場合、水資源や再生可能エネルギーなど環境対策費が含まれますが)。わが国が半導体製造での遅れを取り戻すのは、かなり厳しいのかもしれません。

Source:経済日報

via:Wccftech