UQ Junya Ishino

KDDIは、低中容量を担うブランドのUQ mobile向けに、新たな割引サービスを発表しました。夏以降は5Gに対応するほか、合わせてiPhone 12などの5Gスマホも6月10日に発売します。UQ mobileを取り扱う店舗も、auショップ、au Style全店に拡大する予定。新料金プランの導入で大きく伸びているユーザー獲得に、弾みをつけたい構えです。

一連の発表の中で、もっともインパクトが大きかったのは、やはり電気サービスとのセット割。KDDIは、auブランドで「auでんき」を、UQブランドで「UQでんき」を提供していましたが、セット割は、両方が対象になります。auでんき契約済みのユーザーがUQ mobileに移ってもいいですし、その他のユーザーがUQ mobileを契約するのに伴ってUQでんきをセットしてもいいというわけです。

UQ Junya Ishino
▲電気サービスとのセット割が発表された

UQ Junya Ishino
▲auでんきとUQでんき、どちらのサービスも割引の対象になる

割引額は「くりこしプランS/M」が638円、「くりこしプランL」が858円で、適用後の月額利用料は、それぞれ990円、2090円、2970円になります。データ容量が3GBのくりこしプランSは、1000円を下回る破格ぶり。UQ mobileと直接競合するワイモバイルの「シンプルS」はもちろんのこと、MVNOと比べても、そん色ない安さになります。参考までに挙げておくと、MVNOのOCNモバイルONEは、3GBコースが月額990円で、セット割適用後のUQ mobileと同額、同容量です。

UQ Junya Ishino
▲割引適用後の料金は、3GBのくりこしプランSで990円に。1000円を切る料金はMVNOと同水準だ

KDDIはau向けにauでんきを提供していますが、au回線の場合、割引を受けることはできません。毎月の電気料金にPontaがついてきたり、au回線、ガスとセットで還元額が上がったりと、元々お得なauでんきですが、その契約の有無でauの料金が変わることはありませんでした。その意味で、UQ mobileのセット割は、従来より一歩踏み込んできた印象があります。UQ mobileのくりこしプランには、家族割引や固定回線とのセット割がなかっただけに、驚きもありました。

電気とのセット割引は、ユーザーにとってメリットも大きいと考えています。家族割引と違い、1回線から適用されるため、単身の契約者でも適用可能。固定回線とのセット割のように、建物によって回線が引けない可能性も低くなります。これに対し、電気サービスは一家に1契約はほぼ必ずあります。オール電化にしている場合など、一部例外はありますが、切り替えも簡単なため、適用されやすい割引と言えるでしょう。

auでんきやUQでんきの料金プランは、基本的に東京電力や関西電力などの地域電力会社と同じ。市場調達価格に料金を連動させるようなアグレッシブさはありませんが、そのぶんリスクは低く、Pontaポイントでの還元を加味すると、地域電力会社から切り替えやすいサービスです。UQ mobileの料金がここまで下がるとなれば、魅力はさらに高まるはずです。

UQ Junya Ishino
▲契約を変えるだけでポイント還元が受けられてお得なau/UQでんき。契約数は3月時点で288万に達した

かく言う筆者も、自宅はauでんきを契約していますが、Pontaポイントの還元を加味すると、東京電力と契約していたときより、実質価格ではお得になっています。Pontaポイントはau PAYの残高にチャージできるため、ランチ代の足しに使っています。そんなポイント還元を受けつつ、回線の月額利用料も割引になるとくれば、契約しない手はないでしょう。しかも、家族で契約している場合、回線数ぶん割引額も増えていくことになります。

UQ Junya Ishino
▲東京電力を契約していたころとほぼ料金は同じだが、ポイント還元ぶんお得になっている

KDDIにとってのメリットは、囲い込みを強化できるところにありそうです。家族割引の場合、1人が抜けてしまうとほかの家族も五月雨式に他社に移ってしまうリスクがありますが、電気サービスの契約に紐づいていれば、全員の離脱は防げる可能性があります。電気サービスを契約してもらえれば、そのぶん収益源にもなるため、割引を提供するメリットは十分ありそうです。

2月に新料金プランのくりこしプランを導入して以降、UQ mobileは、急速に契約数を伸ばし、5月末時点で300万契約を突破したといいます。KDDIのパーソナル事業本部 マーケティング本部 副本部長の村本伸弥氏によると、「導入後3か月間の実績で見ると、前年(20年)と比べて加入者の伸びは約3倍」だといい、6月に入っても、この勢いは続いているようです。直接競合するワイモバイルは、すでに500万回線を突破しており、まだ開きはありますが、徐々にその差を詰めていることがうかがえます。基本料の安さを打ち出せたことが、功を奏したと言えるでしょう。

UQ Junya Ishino
▲新料金プラン導入で、ユーザー獲得に弾みがついた。5月には300万契約を突破

ワイモバイルやahamo、LINEMOといった他社のオンライン専用料金プラン/ブランドが5Gに対応する中、UQ mobileは5G導入に少々で遅れていましたが、対応端末は6月10日に発売予定。取扱店舗もauショップ、au Style全店に拡大し、少容量、中容量の市場で先行するワイモバイルを猛追する構えが整ってきました。でんきセット割の提供と相まって、その勢いはさらに加速することになりそうです。

UQ Junya Ishino
▲夏の5G対応に先立ち、iPhone 12、12 miniが6月10日に発売される