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太陽光発電するANCワイヤレスヘッドホン「urbanista LOS ANGELES」が11月26日に日本でも発売されました。この記事では、このヘッドホンをお借りして実際に使ってみての使用感などをお伝えします。

Urbanista Los Angeles ワイヤレスヘッドホン(Amazon)
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urbanista LOS ANGELESは、スウェーデンのExegerが開発したフレキシブルな色素増感型太陽電池素材「Powerfoyle」を採用しているのが大きな特徴。光を電気に変えて蓄えることで、ワイヤレスヘッドホンのエネルギー源である内蔵バッテリーを充電し、より長時間の再生を可能としています。

太陽電池で動作する電化製品はこれまでにもたくさんありましたが、その多くはあまり変形しない場所に太陽電池を搭載していました。Powerfoyleはフィルム状にプリントして作られるため、変形する部分に発電機能を付与できるのがその利点です。urbanista LOS ANGELESはそれを活用して、ヘッドホンのパーツでも最も面積が大きく光が当たるヘッドバンドに装備、十分に明るい環境条件さえあれば、「無限に音楽を楽しめる初めてのヘッドホン」と説明されます。

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urbanistaのコンパニオンアプリでは、LOS ANGELESのバッテリー放電量とPowerfoyleによる充電量のバランスがどうなっているかをリアルタイムにグラフ表示できます。たとえば屋内で使用中なら放電量のほうが多くなり、晴れた日中に屋外に出てみれば、充電量が放電よりも多くなるのがよくわかります。

お借りしたヘッドホンは、受け取り時点でそのバッテリー残量は38%でした。さっそく室内でPC作業をしながら1時間ほど使用してみたところ、バッテリー残量はわずかに減って36%になりました。Powerfoyleの効率やアプリ表示の精度がどれほどかはわからないものの、室内の明るさではそれほど充電効果がないだろうというのは予想どおり。むしろ1時間使ってこの程度の減り具合なら、日常的な利用においてバッテリー残量を気にする場面はほとんどなさそうです。

では、日の光の下で使えばどれぐらい充電効果は大きくなるでしょうか。幸いこの日は雲ひとつない好天だったので、雑草が生えてきた庭の草むしりをしながらLOS ANGELESで音楽を聴いてみることにしました。12月初旬とはいえ日向での作業なら、それなりに充電量も稼ぎ出せそうです。

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いつもは単純作業でつまらない草むしりも、音楽を聴きながらやれば飽きることなく黙々と続けられるものです。2時間ほどが経ち、ようやく庭も綺麗になったので作業を終了。さてLOS ANGELESの電池はどうなっただろうかとアプリを起動してみたところ、バッテリー残量は40%になっていました。外に出る前は36%だったので、4%の増加です。作業していた時間を考えると、10%ぐらいは増えるのかなと思っていたのですが、それは過度な期待でした。

アプリではリアルタイムに発電の状況を見ることができます。LOS ANGELESを手に持っていろいろと日光との位置関係を変えてみると、当たり前ながらヘッドバンド部分を太陽に正対するようにすれば、充電量はかなり高まります。一方で、太陽に対するヘッドバンド面の角度が大きくなるにつれ、充電量が大きく低下することがわかりました。これはPowerfoyleに限らず、太陽電池の特性として当然のこと。よく考えてみれば、作業中に常に太陽の方向に(ヘッドホンを装着した)頭を向けていたわけではなかったことも、思ったほどの充電効果に至らなかった理由と思われます。

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また、4%前後という充電量に関しても、もともとのバッテリー容量の大きさを考えると当然かもしれません。LOS ANGELESのバッテリーは、仕様ではフル充電で約80時間の駆動時間を持つとされています。とすれば「たった4%」の充電量も、時間にすれば3時間以上に相当します。つまり、2時間音楽を聴いている間に3時間再生できるだけの充電をしていたことになるわけです。

ちなみにLOS ANGELESのパンフレットには、自然光のなかに1時間置いておけば約3時間再生できるだけの充電量が得られると記されています。一方、室内の灯りや窓際の明るさでは、12時間置いても約1時間再生できる程度の充電量です。

したがって主に通勤や通学、その他屋外でこのヘッドホンを使うことが多い人なら、このヘッドホンをまったく充電せずに使い続けられる可能性はあります。また屋内での使用が大半なユーザーの場合は、日中のヘッドホンを使わない時間にできるだけ直射日光など強い光が当たる場所に置くようにすれば、残量が大きく増えることはなくとも、その日使うぶんぐらいの充電量は稼ぎ出せるでしょう。「バッテリーはフル充電してから使うもの」という意識を改めれば、残量が増えずともなかなか減りもしないLOS ANGELESヘッドホンを安心して楽しめそうです。

なお、バッテリーの減り具合を確かめるため、暗い室内で連続再生する実験もしてみましたが、9時間ほど続けて再生したあとのバッテリーの減り具合は十数%程度でした。

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urbanista / MSC

LOS ANGELESは、Powerfoyleを備えるという点を除けば、urbanista MIAMIヘッドホンとほぼ同じものと思って良いでしょう。その仕様も40mmのドライバー径や20Hz~20kHzの再生周波数帯域、32Ω±15%のインピーダンス、107dB±3の感度などはいずれも同じで、Bluetooth 5.0(Class 2)にSBC/AACという組み合わせはすべてMIAMIと共通です。ただし、MIAMIにある3.5mm端子の入力端子は省略され、完全にBluetooth専用のヘッドホンになっています。

イヤークッションはオーバーイヤータイプで、低反発なクッションをわりと高めの側圧で耳に密着させるようになっています。とはいえ、装着し続けても耳が痛くなったりするようなことはなく、やや激しく頭を動かしたりしても、軋み音もしません。重さは、装着した瞬間はやや感じはするものの、音楽を何曲か聴いているうちに気にならなくなり、全般的な装着感は良好でした。

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右のイヤーカップ内には近接センサーがあり、ヘッドホンを取り外すと音楽の再生が自動的に停止する仕組み。また再生せずに一定時間放置すると自動的に電源をオフにし、バッテリー消費を防止します。右のハウジングにあるボタンは音量調節と電源オン/オフ用。左は機能ボタンでアクティブノイズキャンセリング、アンビエントサウンドモード、通常モードを押すたびに切り替えます。

AACコーデックを使用するiPhoneとのペアリングで試したサウンドの方は、原音忠実というよりは低音を強く押し出しつつも全体に引き締まった音、というのが第一印象。ピアノや弦楽器などのアコースティックなサウンドはナチュラルに奥行きを伴って響き、ドラムスやエレクトリックベースなどの低音は強調されていながらも輪郭がくっきりして聴こえます。もちろん良い音のヘッドホンを探したいのなら上には上がわんさかとありますが、価格帯を考えれば、LOS ANGELESは期待値以上の音と利便性をユーザーに提供しています。

音楽以外、たとえばiPadでApple TV+など動画ストリーミグサービスを視聴した場合でも、わりと細かい音までしっかり聴き取れ、快適な視聴ができました。Bluetoothによる音声再生はエンコード/デコード処理のためわずかに遅延が発生しますが、動画再生の場合は不自然に感じるほどの遅延は感じられませんでした。一方、ゲームをプレイしようとするのなら、ある程度の音ズレは避けられないと思っておくのが良いでしょう。タイミングに厳しい音ゲーなどはおそらく快適にはプレイできません。

LOS ANGELESは、周囲の騒音を相殺して音楽を聴きやすくするアクティブノイズキャンセリング(ANC)機能や、逆に周囲の音を取り入れるアンビエントサウンドモードも搭載しており、その場の状況に応じて利用することができます。ANC、アンビエントサウンドモードともに効果はそれほど強烈というわけではありませんが、密着性の高いイヤーパッドのおかげでもとから高い遮音性があり、ANCはさらに音楽を快適に聴くために役立ちます。またアンビエントサウンドモードも音量控えめで使用しているときは誰かとの会話などは可能でした。

バッテリー容量が大きく、さらに周囲が十分明るければ知らぬ間に充電もしてくれるurbanista LOS ANGELESは、電池残量や充電にかかる時間を気にせず日常的に音楽を楽しみつづけたい人に最適なヘッドホンとしておすすめできる製品です。

ヘッドホンとしての仕様は以下のとおり。

ワイヤレス機能 :Bluetooth 5.0(Class 2)

対応プロファイル :A2DP1.3/AVRCP1.5/HFP1.6

対応コーデック :SBC/AAC

再生時間 :約80時間

周波数帯域 :20Hz – 20,000Hz

インピーダンス :32Ω±15%

感度 :107dB±3

ドライバーユニット :40mm

通信範囲 :10m

総再生時間 :約80時間以上

バッテリー容量:750mAh

urbanista LOS ANGELES ワイヤレスヘッドホンは国内ではエム・エス・シーを代理店として、11月26日に発売されました。 希望小売価格は税込2万9480円。ヘッドホン本体のほかに、キャリングケース、専用のUSB-C充電ケーブルが付属します。

カラーラインナップは海外向けにはBlackとSand Goldの2種類がありますが、Sand Goldの日本発売は未定とのことです。

Urbanista Los Angeles ワイヤレスヘッドホン(Amazon)

余談ですが、urbanisa LOS ANGELESと同じくPowerfoyleを使用したヘッドホンとして、JBLは2019年に「Reflect Eternal」という商品を企画、Indiegogoでクラウドファンディングを実施していました。しかしReflect Eternalは新型コロナの影響で製品化が中止され、プロジェクトも解散してしまいました。そのためPowerfoyleを搭載し、製品として発売に漕ぎ着けたヘッドホンはurbanisa LOS ANGELESが初となります。

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