新型コロナウイルス対策は数多くありますが、中でも効果的なのがアルコールによる消毒・除菌です。手やドアノブ、身の回りの小物などの消毒・除菌に活躍してくれるため、お世話になっている人も多いでしょう。しかし、マメに消毒しているとすぐになくなり、結構バカにならない出費となります。

そのため、アルコール以外で消毒・除菌ができるものはないかと探す人が多いのでしょうか。Amazon.co.jpで見てみると、除菌グッズがわんさか出てきます。中でも目に付くのが、紫外線を使った除菌グッズです。

紫外線の殺菌効果は確かなもので、例えば理容店や美容室でハサミ、クシなどの消毒に使われているのもそのひとつ。また、飲食店向けの厨房器具でも、包丁やまな板の殺菌用として紫外線を使った器具が販売されています。

さすがにこういったプロ向けの機器を買うのはお値段的に厳しいですが、1万円以下で買える手頃な製品も多く販売されていますので、試しに購入してみるのもありです。ただし、紫外線は目に見えないだけに、本当に紫外線が出ているのか、ちゃんと殺菌効果があるのか、不安がないといえばウソになるでしょう。

まともなメーカーのまともな商品なら信用できますが、残念ながらAmazon.co.jp(のマケプレ)で扱われている商品の大半は、よく知らないメーカーの微妙な商品ばかりです。

そこで、紫外線殺菌(UV除菌)をうたっている商品のうち、1000円以下というとくに怪しい激安アイテムをピックアップ。この微妙というのも微妙な商品で、本当に殺菌できる紫外線が出ているのかを確認してみました。

紫外線殺菌の基礎知識:「殺菌力があるのは253.7nm(UV-C)」

ところで、殺菌効果があると言われている紫外線ですが、紫外線なら何でもいい……というわけではありません。

一般に紫外線といえば、波長が200~400nm程度の近紫外線になりますが、この近紫外線も波長の違いで特性が変わり、大きく3つに分類されます。

参考: 気象庁

ひとつは「UV-A」。315~400nmと比較的波長が長いものとなり、太陽から地球に届く紫外線のうち、そのほとんどが地表にまで到達します。可視光に近いことから生物への影響はほとんどなく、一般的に紫外線といった場合は、このUV-Aとなります。

製品としてお店で見かけるブラックライトや紫外線ライトは、大抵UV-A。紫外線に反応する特殊な塗料、ネイルなどで使われるUV硬化レジン用とされている製品が多いですね。当然ながら殺菌効果は望めません。

ちなみに、Blu-rayやHD DVDで採用されている青紫レーザーの波長が405nm。可視光ギリギリの光を使っています。

280~315nmとUV-Aよりも波長が短い紫外線が、「UV-B」です。大部分が成層圏オゾンで吸収されてしまいますが、地表にも僅かながら届きます。夏は届く量が多くなるため、浴びすぎると日焼けを起こすといった体への影響があります。とはいえ殺菌効果は乏しく、ゼロとは言いませんが、効果を期待して試すほどではありません。

このUV-Bは、殺菌目的よりもビタミンDの生成に必要となる、というほうが重要です。健康のために日光浴をしましょうというのは、このビタミンD生成のためというのがあります。

製品としてUV-Bを照射できる紫外線ライトはあまり多くありませんが、鳥類や爬虫類のペット用品として売られているのがメジャーでしょうか。室内飼いだと日光にあたる機会が少ないので、こういったライトで代用します。

更に波長の短い200~280nmの紫外線が、「UV-C」。そのほぼすべてが成層圏までで吸収されるため、地表には届きません。生物に非常に強い影響を与えるもので、殺菌で使われる波長となります。

パナソニックのサイトで公開されている、殺菌灯についての解説を参照すると、260nmが殺菌効果が最大となる波長とのこと。これに近く、人工的に作り出しやすい波長が253.7nm。殺菌灯などで放射される紫外線は、この253.7nmのUV-Cとなります。

参考: パナソニック

UV-Cは殺菌に使われるほど危険ではあるのですが、減衰も激しく、ガラスなどを通してしまうとそのほとんどが吸収されてしまいます。そのため、ガラスやアクリルのドア越しに殺菌ランプを見ても(純粋に光量が多いので目が痛くなる、というのはさておき)、体に影響ありません。

今回、微妙な紫外線除菌グッズの検証するにあたり、このUV-Cが放射されているかという点だけでチェックすることにしました。なお、あくまで「除菌・殺菌できる可能性があるか」を確認するのが目的なので、実際の除菌・殺菌能力は問いません。

計測器を使わず、間接的に観測することでUV-Cの存在を確認する

UV-Cが出ているのかを調べる確実な方法は、専門の紫外線強度計などを使い、強度を確認することです。しかし、UV-Cが測れる紫外線強度計は安いものでも5万円くらいからと高価なうえ、細かな波長別の強度まで調べようとすれば大規模な設備が必要となり、そうそう簡単に用意できません。

そもそも、今回の目的はUV-Cの存在が確認したいだけですから、こういった機器を用意するのはやりすぎでしょう。もっと簡単な方法で十分です。

ところで話は変わりますが、小学校の理科で習った「モース硬度」を覚えているでしょうか。念のため説明すると、ドイツの鉱物学者フリードリッヒ・モースが考案したもので、基準となる鉱物よりも硬いか、柔らかいかで硬度を表現するものです。

例えば硬度7の石英(水晶)は、それ以下の高度の鉱物に傷をつけることができますが、硬度8のトパーズ、硬度9のコランダム(サファイアやルビー)に傷をつけることはできず、逆に傷がつきます。このように、傷がつくかどうかで硬さがわかり、不明な鉱物の同定などに役立つわけです。

左がトパーズ(苗木)で、右が水晶(錫高野)。慣れると結晶の形で見分けがつきますが、結晶面がしっかりしていないと、悩むことも多いです。こんな時でも、どちらに傷がつくかという硬度の違いで、識別できます。もったいないのでやりませんが。

硬度1の滑石と硬度2の石膏の差が小さいとか、硬度9のコランダムと硬度10のダイヤモンドの差が激しいとか、色々突っ込まれることもあるモース硬度ですが、硬さの目安としては大変便利なものといえます。

モース硬度は鉱物の硬さに注目したものですが、鉱物には他にも色々な性質があります。そのひとつが、紫外線による蛍光。代表的なものとして蛍石があり、紫外線によって青や紫、白っぽく光るものが多数あります。

とくに蛍光性の強いロジャリー(イギリス)の蛍石は有名なので、持っているという人も多いのではないでしょうか。紫外線を当てると青紫っぽく光ります。

左半分にだけ紫外線を照射してみたところ。元の色は、右側の濃い緑。紫外線が当たっている部分だけ反応し、光っています。

蛍石は、製鉄・製鋼・アルミニウム精錬の溶剤、カメラのレンズ、フッ化水素の原料などとして幅広く利用されていて、今でも重要な鉱物となっています。国内でも蛍石は産出し、過去には採掘もされていました。

例えば手元にある福島県南会津郡の蛍鉱山産のものは、あまり強くはないものの蛍光性があり、紫色に光って楽しませてくれます。

結晶面がしっかししたものは採集できなかったとはいえ、紫外線にしっかり反応してくれるのはうれしいものです。

なお、紫外線で蛍光するから蛍石という名前になったわけではなく、加熱すると発光することにちなんでいます。加熱して光るというのも、なかなか面白いですね。

もちろん、紫外線で蛍光するのは蛍石だけではありません。ルビーやダイヤモンド、スピネル、方解石、琥珀、ベニト石、アウインなども蛍光しますし、燐灰ウラン鉱もとても美しく光ります。

全てではありませんが、ダイヤモンドも蛍光します。色の幅も結構広くて、この写真だと左から、青、黄、白で光っています。とても楽しい。

面白いのが、鉱物が蛍光するのに紫外線なら何でもいいというわけではなく、UV-Aでは蛍光してもUV-Cでは蛍光しないといったように、波長によって反応が変わることです。また、同じ鉱物であっても産地や産状などによってかなり個性があり、どの波長に反応するかが変わってきます。

そろそろ気づいたかと思いますが、そうです。高価な紫外線強度計の代わりに蛍光する鉱物を使い、激安殺菌グッズからUV-Cが出ているのかを確認できるのではないか、と考えたわけです。

ということで、予備実験をしてみましょう。

UV-CとUV-Aの2種類のライトを使って予備実験

鉱物によって蛍光反応する波長が違うといいましたが、まずは確認用の(そこそこ信用できる)光源が用意できなければ話になりません。そんなわけで、使えそうなライトを道具箱から集めてきました。

UV-C:タニタの「EC-964」

まな板などの調理器具を殺菌するための製品です。外装が黄変するほど古いものですが、あまり使っていなかったおかげか、今でもちゃんとUV-Cが出ています。

UV-A:メーカー不明の紫外線ライト

365nmのUV-Aライトがこちら。Aliexpressで購入し、そこそこ強い紫外線が出せることからお気に入りになっているものです。

なお、どのライトでもそうですが、レーザー発振でもない限り単一波長の光が出せるわけもなく、異なる波長の光が多数含まれています。このライトは可視光も強く出ているようでジャマだったので、ZWB2(UG1)というUVバンドパスフィルターを装着しました。

フィルターの中心波長は365nm。透過の範囲が大体300nm~400nmとなるため、UV-Aをみるのにピッタリになります。

参考: Aliexpress

UV-Bに関しては、光源から分離するのが難しい事、また、実験条件が複雑になってしまうことから気にしないことにしました。本命はUV-Cですしね。以降、UV-Aとしている部分には、UV-Bも含まれていると考えてください。

さて、予備実験の方法です。今回用意しようと考えたのが、UV-AにもUV-Cにも反応する「α」と、UV-Aには反応するもののUV-Cには反応しない「β」、そして、UV-Aに反応せずUV-Cには反応する「γ」の3つです。

なぜ3種類用意するかは、以下の3つの項目を確認したかったため。

1.「波長はともかく、そもそも紫外線が出ているのか」

それっぽい売り文句だけで、実は紫外線が一切出ていない製品を見つけるため。これは紫外線の種類を問わないため、αが反応するかで判断できます。

2.「UV-A(もしくはUV-B)しか出ていない」

なんらかの紫外線が出ていればバレないだろう、という舐めた製品を見つけるため。αとβが反応し、γが反応しないものであれば、UV-Cが出ていないことが判断できます。

3.「UV-Cがちゃんと出ている」

紫外線の強さは別として、本来の目的であるUV-Cをちゃんと出している製品を見つけるため。これはαとγが反応することで判断できます。UV-Aも含まれるかどうかは、βの反応をみるとわかるはずです。

本来であればUV-Cの存在が確認できればいいだけなので、γが反応するかだけ見れば十分なのですが、UV-Aの状況も一緒に確認したかったことから、α、β、γの3種類使うことにしました。

ということで、手元の鉱物標本で色々比較検討した結果、αには玉滴石、βにはハックマナイト、γにはベニト石を選びました。

玉滴石はオパールの一種で、名前の通り水滴がついているかのような粒状、もしくはその集合体となっていることが多い鉱物です。UV-Aに強く反応、UV-Cに強く反応、全く反応しないなど、紫外線への反応も色々あります。

今回はαとして使うため、UV-AにもUV-Cにも強く反応してくれるものを選びました。どちらに対しても、明るい緑色に光ります。敏感に反応してくれるため、紫外線そのものの存在確認にピッタリです。

上から、可視光、UV-A、UV-C。UV-Aの反応が強く、UV-Cは若干弱めとなりますが、どちらもキレイな緑色で光ってくれます。

ハックマナイトは方ソーダ石の一種で、紫外線への反応が特殊な鉱物。通常時は無色~青紫といった色になっているのですが、紫外線を当てるとオレンジ~ピンクの蛍光反応を示すだけでなく、色そのものが変化し、着色するものがあります。

UV-Cにはほとんど反応しないので、βとして採用しました。

同じく上から、可視光、UV-A、UV-C。UV-Aはとてもきれいなオレンジです。UV-Cが真っ暗なのは、ほとんど反応しないため。

今回選んだのは、UV-Aへの反応が非常に強いタイプで、着色変化は弱いもの。弱いといってもあからさまに色は変わります。

上が着色する前の通常時、下がUV-Aを照射して着色した場合。強い可視光やら太陽光に当てると、色が褪せて元に戻ります。とても楽しい。

ベニト石は、米国カリフォルニア州サンベニト郡で発見された鉱物。日本でも、新潟県糸魚川市などで発見されています。結晶がシャープでとても美しいですが、小さいものでも結構高価です。

UV-Aだと弱いながらもオレンジ~赤、UV-Cには青白に反応するため、このUV-Cへの反応が分かりやすいことからγとして採用しました。

これも同じく上から、可視光、UV-A、UV-C。玉滴石やハックマナイトと比べ反応は弱く、うっすら光る程度。UV-Aで赤、UV-Cで青白に光ります。肉眼ならもうちょっと分かりやすいです。

結晶が小さく、欠けた部分も多いぐずぐずな標本ですが、紫外線への反応は強くないものの、そこそこ良好です。

この3つの鉱物を使い、除菌・殺菌グッズの波長を調べていきましょう。

確認方法は、玉滴石、ハックマナイト、ベニト石の3鉱物を照らすだけ!

対象とする除菌・殺菌グッズは、すべて1000円以下で手に入れたもので、今年の2月くらいからちょこちょこと買い集めていたもの。似たようなものが複数ありますが、形状が違うので別モノとして扱います。

見回してみると、光源の違いで大きく殺菌灯タイプとLEDタイプの2種類あることがわかりました。

予備実験で使ったタニタの「EC-964」が殺菌灯タイプで、従来から紫外線殺菌で使われてきたもの。それだけに、まともなものではないかと期待できます。殺菌灯タイプはボックス型の製品での採用が多く、中に小物を入れて照射するというのが主な使い方になります。

LEDタイプは、紫外線LEDの進化によって実現可能となったもの。とくにここ数年は高出力化、低価格化がものすごい勢いで進んでいて、以前では考えられなかった紫外線LEDを使った投光器型のライトまで登場しています。

LEDは回路が簡単で小型化しやすいため、ボックス型から手で持ってかざすハンディ型まで、大小様々に幅広い製品があります。このLEDの使いやすさが、廉価な除菌・殺菌グッズがわんさか増えた理由でもあります。

検証方法はシンプル。各グッズから出る紫外線を玉滴石、ハックマナイト、ベニト石に照射し、蛍光反応があるかをチェックするだけです。

なお、UV-Cが弱いとベニト石の反応も弱ってしまい、チェックが難しくなるため、アクリル板を併用しました。これはどういうことかというと、UV-Cはアクリル板で簡単に減衰するため、光源と鉱物の間にアクリル板を置いたり外したりすることで、光源をオン/オフするより微妙な変化に気づきやすくなるということです。

実際にUV-AとUV-Cが混在するライトで照らしてみて、アクリル板の有無で色がどう変わるのかチェックしてみましょう。

uvc

上がアクリル板なし、下がアクリル板がある場合です。見比べてみないと分からないほどのわずかな変化ですが、全体が紫がかっているというのは同じまま、アクリル板がある場合には青白く反応していた部分が消えています。

この消えた部分が、UV-Cで反応していた部分。つまりこの例では、ちゃんとUV-Cが出ていたことが確認できたわけですね。

なお、紫外線は目に見えないためまぶしく感じませんが、実際の光量はすさまじいことが多く、少なからず目への悪影響があります。実験中は念のためポリカーボネートの保護めがねをかけ、可能な限り光源を直視しないようにしています。

殺菌灯タイプ2つとLEDタイプ5つの合計7製品でチェック

ということで、ようやく本題です。製品ごとに、実験結果を見ていきましょう。なお、製品名は届いた製品に書かれていた名前としています。また、購入価格は私が実際に買った価格なので、セール価格だった可能性もあります。

製品名:「UVC Disinfection Bag」
購入価格:1000円
タイプ:殺菌灯
電源:USB
UV-C反応:★★★(強反応)

光源は殺菌灯で、ベニト石の反応も良好。アクリル板で遮らなくても、しっかりと反応しているのが分かるほどです。

仕様を見てみると、UVC Power 3Wとあるように出力が高めなこと、また、波長に185nm+254nmと書かれているように、2つの紫外線が放射されることが分かりました。

254nmはいわゆる殺菌線、185nmはオゾンを生成するためのものです。オゾンも殺菌によく使われるものなので、この製品の殺菌効果は期待できるんじゃないでしょうか。ケースの内側に保冷バッグのような反射材が使われているで、イイ感じに乱反射して、死角も少なそうです。

製品名:「Multi-Function Sterizer」
購入価格:699円
タイプ:殺菌灯紫外線LED
電源:USBバッテリー
UV-C反応:☆☆☆(微反応)

光源は殺菌灯ですが、玉滴石の反応も弱く、ベニト石に至ってはギリギリまで光源に近づけるとわずかに反応しているかもしれない……と思える程度。

波長は253.7nmとあり、一般的な殺菌灯と同じになっていました。仕様にはDisinfection Powerが2Wと書いてありましたが、正直、それに見合う出力があるとは思えません。

左右2ヶ所から紫外線が照射される作りですが、ケースの底が浅く紫外線の届く範囲が狭い事、また、紫外線そのものも弱いことから、効果はほとんど期待できないと考えられます。

製品名:「Handheld Disinfection Stick」
購入価格:1000円
タイプ:紫外線LED
電源:バッテリー(USB充電)
UV-C反応:★☆☆(弱反応)

光源は紫外線LEDで、3つ搭載していました。玉滴石とハックマナイトの反応は強いですが、ベニト石は1cmくらいまで近づけて、ようやく反応しているのがわかる程度でした。

仕様を確認するとPower consumption 1Wとあり、なるほど、出力は弱めです。ただしUSB充電式となっていて、電源を確保せずに単体で照射できるというのは便利といえるでしょう。UV-Aがえらい事強く、「なんとなく殺菌してる気分になれる」という点ではよくできた製品かもしれません。

少々問題だと感じたのは、「UVC TEST CARD」というものが付属していたこと。UVCを照射すると紫色にマークが浮き出るというもので、最初は親切だなと思ったのですが……。実は、UV-CよりもUV-Aに強く反応します。UV-Cにもわずかに反応するので嘘ではないですが、さすがにこれはどうなのか。

上から可視光、UV-A、UV-Cを照射した場合の変化。UV-Cでも一応は反応してますが、UV-Aが混じるとそちらに反応してしまうため、UV-Cのチェッカーとしては使えません。

製品名:「MINI KILLER」
購入価格:444円(2個セット)
タイプ:紫外線LED
電源:USB(Lightning、microUSB、USB Type-C)
UV-C反応:★★☆(中反応)

光源は紫外線LEDで、LEDは1つだけ搭載。それでも玉滴石、ハックマナイト、ベニト石の反応は良好で、LEDを3つ搭載していたHandheld Disinfection Stickよりも優秀です。

仕様を確認するとLED Power 1Wと書かれており、LEDを1個で照射するものとしては高めとなっていました。コネクターはLightningとmictoUSB兼用となっており、スマートフォンやタブレットに直結して使えるようになっています。そのため、2台以上の機器がないと、スマートフォンの消毒ができません。

USB Type-Cへの変換アダプターが付属していたのは、ちょっとうれしいですね。また、本体が金属製なのか重量感があり、放熱も考えられていそうなところに好感がもてます。マニュアルを確認すると、1cm以下の距離から1cm2あたり10秒照射しろとあり、この手の製品としてはかなり誠実だと感じました。

製品名:「MINI KLLER PRO」
購入価格:333円
タイプ:殺菌灯紫外線LED
電源:USB(Lightning、microUSB、USB Type-C)
UV-C反応:★★★(高反応)

光源は紫外線LEDで、MINI KLLERからLEDの数を2つに増やしたモデル。そのおかげで鉱物の反応もMINI KILLERより強く、10cmくらいの距離からでもベニト石の反応がわかるほどでした。

仕様を確認するとLED Power 2Wとなっており、LEDが2個に増えていることがちゃんと反映されていました。Type-C変換だけでなく、さらにUSB Type-A変換まで付属していたので、こちらもお得感があります。

なかなか明るく反応してくれるので、鉱物の観察用にすごく便利だなというのが素直な感想です。USBのモバイルバッテリーがあれば使えますし、なんだったらスマートフォン直結で光ってくれますからね。ミネラルショーに持っていきたい。

製品名:「Mini Portable UVC Sterilizer」
購入価格:499円
タイプ:紫外線LED
電源:Lightning
UV-C反応:☆☆☆(無反応)

光源は紫外線LED。UV-A/UV-C照射用に1つ、UV-A照射用に2つの合計3つのLEDが搭載されています。玉滴石とハックマナイトは反応するものの、ベニト石の反応は確認できず。くっつくくらいまで近づけてみたのですが、やはりわかりませんでした。

仕様を見るとPower 0.4Wとなっており、今回試した中では最弱。UV-AのLEDが明るいので、ブラックライトに反応するようなものを見るにはいいですが、殺菌の効果はまず見込めないでしょう。

出力の小ささから発熱も少ないためか、本体はプラスチック製で軽量。デザインはよさそうですが、MINI KILLERのような作りのよさはありません。

製品名:「Portable LED Germicidal Lamp」
購入価格:390円
タイプ:紫外線LED
電源:USB
UV-C反応:☆☆☆(無反応)

光源は紫外線LED。275nm+395nmと書かれており、UV-AとUV-Cのどちらも照射可能なLEDが8つ並んでいます。テープ状のLEDストリップを貼っただけ、といわれると身も蓋もないですが、実際、そんな感じの製品です。玉滴石、ハックマナイトは反応するものの弱め。ベニト石に至っては反応が確認できませんでした。

紫外線LEDの形状は他と変わらなかったため、LEDが多いぶん有利かと思ったのですが……。製品不良も疑ったのですが、念のため買っていた2個とも同じ症状でしたから、こういう製品だと判断しました。

なお、もしかしてカバー部分がUV-Cを減衰させてしまっているのでは?とも考えカバーを外してみましたが、結果は変わりませんでした。

そもそも使い方が難しく、あまり意味がない商品かも

紫外線の殺菌効果は確かですが、それはあくまで十分な紫外線を十分な時間、確実に照射できた場合に限ります。また、影になる部分は殺菌できませんので、マスクなどの折り目、布の内側などの殺菌は、かなり難しくなります。

ちなみに、コロナウイルスの不活性化に必要な線量を調べてみたところ、5mJ/cm2で99%、22mJ/cm2で99.9999%というのが、シグニファイジャパンのリリースにありました。

参考: シグニファイジャパン

また、岩崎電気のサイトで公開されている紫外線殺菌についてのページでは、代表的な微生物の99.9%不活性化に必要な線量がまとめられています。こちらも参考にしてみると、大体10mJ/cm2ほど照射できれば殺菌には十分そうだと考えられます。

参考: 岩崎電気

紫外線LEDの仕様はどうなっているのか探してみたところ、Aliexpressで色々とデータを載せているショップがありました。製品が異なるのであくまで参考値としてですが、レンズのないタイプだと1cmの距離で2.8mW/cm2となっています。

参考: Aliexpress

線量は照射する紫外線の強さに時間を掛け合わせたものなので、この光源で10mJ/cm2を実現するには4秒ほど必要となる計算です。ちなみに、3cm離れると0.33mW/cm2となるので、30秒ほど必要ですね。MINI KILLERのマニュアルに、1㎝以下の距離で10秒以上と書かれていた理由が分かります。

マスクのサイズを9cm×16cmとして計算すると、144cm2。1cmの距離で2cm2くらい照射できるとして、単純計算で288秒。裏表両方やるとすれば、10分近くも必要となります。

まとめると、紫外線LEDを使った製品でもUV-Cが確認できるものはあるものの、殺菌用途で使うにはどれも出力が小さすぎです。使うとしてもUSBメモリーとか、鍵くらいの小物が限界で、マスクくらいのサイズの殺菌には適さない、というのが結論でしょうか。

長時間じっくり殺菌するならともかく、ちょっとした照射では効果はないに等しいです。「出先でテーブルの上を殺菌したいから、ハンディタイプでサッとひと撫で」みたいなのは、まず無理。心理的に安心できるという効果はあると思うので、無意味とまではいいませんが……。

小物の殺菌に使うとしても、今回試した中で実用性がありそうなものといえば、「UVC Disinfection Bag」くらいでしょうか。長時間の照射に向いたケース型、出力も高めになる殺菌灯を採用しているというのがその理由です。殺菌したいものを入れて10分、ひっくり返してさらに10分とやれば、効果はありそうですね。

ということで、手早く確実に殺菌したいのであれば安いグッズで何とかしようと思わず、消毒用アルコールで拭くのが一番です。紫外線LEDは、鉱物観察に使いましょう。