2月下旬、お友達がいつもダラダラとYouTubeでライブ配信している番組を、これまたダラダラと拝見しておりましたところ、途中(具体的には12分20分ころ)からVRChat(その名の通りVR空間で、自分がつくったアバターをまとい、自分やほかのユーザーがつくった世界で会話を楽しめる)のライブ配信が始まり……実際にはPCにミラーリングした2D画面の共有を見ただけなのですが、その世界観や盛り上がりに異様な高揚感を覚えたのでした。よろしかったら、アーカイブをぜひ。

私個人としてはVR機器はゲームなど閉ざされた世界を体験するので十分な感動を得ていましたが、みなさんスマホを置いて、こんな楽しそうな異世界で楽しんでいたのですね。そう思うと、これはなかなかゲームチェンジな出来事のように思えてきました。

3月25日、エムディエヌコーポレーションが発売した本「仮想空間とVR」(1980円)は、こんな楽しいVRの世界への入門書。以下の5つのパートで構成されています。

  1. VRとxRの歴史を振り返る

  2. VRに触れてみよう

  3. VRビジネスの動向

  4. VRからメタバースへ

  5. VRの先駆者に聞く

仮想空間とVR 単行本(Amazon) 仮想空間とVR Kindle版(Amazon)

本の執筆に携わっている2名お友達が、桜舞い散る弊社前を偶然通りかかったので、マスク越しに声をかけ、少しお話をうかがいました。

著者のひとり、岩佐琢磨さん(Shiftall代表取締役CEO)。VRメタバース・ビジネスへいち早く参入を果たしている

Engadget
東智美さん(RAKUNI代表)。VRChatにハマり、xRメタバースマーケティングを生業とする株式会社往来を立ち上げた

──昨晩2時までかけ読了しました。タイトルはビジネス書っぽいですが、全然違いますね。

岩佐 帯にある「メタバース」は、本当はタイトルに入れたかったんですけど、大人の事情で入れられなかったんですよね。

──VRChat、初期にかじり、そのあとはゲームしかしてなかったのでVR界がこんなことになっていたとは知りませんでした。

岩佐 表現プラットフォームとしてのVRは、2008年のツイッターに似ていると思います。ツイッターの匿名性から、オタクの人たちがたくさん表舞台で表現するようになって。ニコニコ動画も近いかな。なので興味のない人が、はたから見たら何が楽しいのか全然わからないでしょうね。VRはコミュニティーの集合体で、従来つながってなかった人とつながれるようになったのです。

──著者名にある株式会社往来(おうらい)の由来は?

 VR総合プロデュース会社を立ち上げました。「往来」という社名には、現実と仮想空間をシームレスにつなぎたいという意味合いを込めています。VR機器に特化しているわけではありません。

──本にもVR=ゴーグルというわけではないとありましたね。私も「ゼルダ」や「あつ森」をやってVR的なものを感じました。

岩佐 体験ですから。仮想空間って日本人にはとても居心地がよく、とくに相性いいように思います。アバターづくりもすごい盛り上がってますよ。

──キャラクリ(アバターづくり)ハマってる人いますね。

岩佐 それで1冊、書きたいくらいですよ(笑)。

──堀さんパートで、VRは新しい価値観で生きれる場所とありました。同時に法的に解決することがたくさんあるし、倫理・経済の問題も残っていると。

岩佐 「あつ森」は秩序と制限のバランスを任天堂がうまくコントロールしてますが、VR空間は無秩序な部分も多く、著作権など課題は山積みの状態ですから。いまはいい人たちばかりですけどね。

 VRに限らずコミュニティーは、日本人が集まると独特なものになりますね。みんな実生活に近いんですよね。

──岩佐さんパートの広告コンテンツのエンタメ性(プロダクトプレースメント)も興味深かったです。テレビのCMなんて、もう誰も見なくなりますよね。

関連: パナソニック製品の3Dデータ、VRアバター向けに販売(Shiftall)

岩佐 現時点ではアバターが身につけられるモノしか売ってませんが、全商品データベース化したいくらいに考えていますよ。

本書はお二人のほかに堀正岳さん、武者良太さん、田中奈緒さん、滝川洋平さん、大屋友紀雄さん、吉田尚記さん(一翔剣さん)らVRの最先端をいく8名による共著となってます。たとえ現時点でVR機器に関心がない方も読んでおくことをオススメします。

個人的には、VRの歴史がこんなに深かった(古かった)ことも驚きでした。読み物として、たいへん楽しめますので、週末ぜひ。