Apple Watchのスリープトラッキングを試す。watchOS 7で今秋実装予定(本田雅一)

次期Apple Watchに向けた隠し球もありそう

本田雅一
本田雅一, @rokuzouhonda
2020年08月11日, 午後 04:00 in apple
0シェア
FacebookTwitter

watchOSに関してこれまでAppleは、一般向けのパブリックベータ版を配布してこなかった。その理由は定かではないが、watchOS 7ではその禁を破り、初となるパブリックベータ版の提供が始まっている。

watchOS 7には様々な改良が施されている。ただ、年末商戦向けに投入されるであろう新しいApple Watchと連携した機能が(秘密裏に)設定されていても、現時点ではそれを確認することはできない。

しかし発表されているアップデート内容を見る限り、watchOS 7は極めて熟成されたスマートウォッチ向けOSになるようだ。

ちなみにパブリックベータ版watchOSをインストールするには、ペアリングするiPhoneにも、最新のiOSパブリックベータ版が導入されている必要がある。

関連記事:

watchOS 7パブリックベータ配信開始。睡眠追跡や手洗いなど新機能をおさらい

''記録"よりも"アドバイス"や"行動への影響"にフォーカスした睡眠追跡

スリープトラッキング、つまり睡眠追跡の機能は以前から望まれていたが、watchOS 7ではそれが初めて搭載された。同様の機能は主にフィットネス記録向けバンドなどで提供されてきており、スマートウォッチ向けにはサードパーティーがアプリとして提供してきた。

Appleの動きはそうした動きに追従したように見える。しかし、実際にはApple自身が睡眠記録のデバイスメーカーなどを買収するなど、この動きには以前から熱心だった。これまで睡眠記録の機能をApple Watchに搭載してこなかったのは、機能を熟成してきたからなのかもしれない。

多くの場合、ウェアラブルデバイスの睡眠追跡機能は、睡眠状態を加速度センサーで推測し、入眠時間や起床時間、その間の睡眠状態を記録し、起床時には睡眠が浅くなった瞬間の狙ってアラームを出すと言ったものだ。watchOS 7においても、この基本的な仕組みは変わらない。

ただし、切り口が少しばかり異なる。watchOSの睡眠に対するアプローチは、睡眠の記録とそのビジュアライズ、分析よりも、日常的な習慣の改善にフォーカスしている。睡眠の深さなどは記録されず、その代わりに規則正しい入眠時間や起床時間に対するアドバイスや睡眠目標の立案を提案する。

時間通りにベッドに入る、さらには就寝前のルーティンを作るなど、睡眠の目標を達成するためのノウハウを伝授することが特徴という点で、従来からある深呼吸やアクティビティリング完成のための通知メッセージなどと同様の実装になっているのだ。

ビジュアルライズの面でも、1日ごとの睡眠の様子を細かく表示するよりも、過去の記録から問題の発見や改善の糸口を見つけるための統計データや、そこから得られる傾向と対策を示す形となっている。

"おやすみモード"に自動移行、起床時間は状態を見計らう

また、睡眠追跡機能はApple Watchの中核機能とも連携している。例えば入眠したことをApple Watchが検出すると自動的に"おやすみモード"に入り、設定されたアラーム時間までは通知機能で起こしてしまうことがなくなる。

従来はApple Watchを手首に巻いて就寝していると偶然の動きを検出して画面が光ってしまう問題があったが、これについても入眠後はおやすみモードとなるため、手元が煌々と明るく光ることもない。この際、Apple Watchは就寝時であることを考慮し、薄暗く光って眩しくない範囲で時刻を確認できる表示モードに自動的に移行する。

さらにHome Kitに対応する家電製品と連携し、自動的に就寝を促す音楽を流したり、照明を暗く落として就寝すべき時間を知らせる機能だったり、逆に起床時に気分をあげる音楽を流したり、照明を明るくしたりといった連動が行える。

起床時には睡眠状態をモニター、気持ちよく起きられると推察されるタイミングでアラーム音あるいは、ハプティックエンジンの振動で起こしてくれるのだ。その際、Apple Watchには睡眠履歴を記録、その日の天候情報が自動的に表示される。この起床時情報には充電状態も含まれる。

就寝時にApple Watchを装着していると、当然ながらその間、電力を消費することになる。Appleはバスタイムなどに充電すれば十分というが、充電を忘れた時などのために、起床時にバッテリ残量のチェック機能を入れたのだろう。

βの時点では(今後改善される可能性はある)就寝時に装着するとバッテリ持続時間が気になると感じたが、watchOS 7では電池切れや満充電など様々な状態でバッテリの状況をiPhoneに報告するよう設計することで充電忘れなどを防ごうとしている。

本質的には"もっと長時間のバッテリ駆動"を実現すべきだが、技術的な制約のある中で最大限に配慮しているという印象だ。

これは邪推になるが、カツカツのバッテリを睡眠時にも使うこと、すなわち睡眠追跡機能を入れてきたということは、次期Apple Watchではバッテリ持続時間を高める技術や工夫などを盛り込んでくるのかもしれない。

細かなディテールまで完成度が増したwatchOS 7

WWDC 2020で発表されていた"手洗い検知"機能も、ベータ版でしっかりと機能している。この機能は新型コロナウィルスの流行に対し、Appleが追加した機能だ。

Apple Watchをはめた状態で手洗いを始めると、水の音や手の動きから判断し、自動的に手洗いモードへと移行し、(規定値では)20秒以上手洗いを続けるよう促す。20秒はWHOが推奨している手洗い時間だ。

このように生活の端々をサポートしてくれるwatchOSでは、派手な機能よりも生活に密着した細かな機能改善、機能追加が多い。

たとえば今回、新たに追加された文字盤は"クロノグラフプロ"のみ。加えて"特大"にコンプリケーション表示が可能になった程度だが、文字盤に使えるコンプリケーション(各種アプリのカスタム表示機能)をアプリ開発者が開発しやすくなっている。

設定した文字盤は、iMessageやメール、SNSなどで簡単に共有可能になったほか、ウェブ上で機能やデザインを紹介しながら文字盤のダウンロードを可能にしたり、あるいはApple自身がカスタマイズした文字盤がAppStoreから供給されたりするようになる。

アクティビティやワークアウトの表示も、より充実したわかりやすい表示へと調整されているが、大きな機能追加というわけではない。

ワークアウトの種類追加に関しても、ダンスや体幹トレーニング、ファンクショナルトレーニング、クールダウンなどが追加されているが、対応するワークアウトの種類だけならば、他製品にはもっと充実したものもある。

Apple Watchの良さは、スポーツやアウトドアなど特定分野に特化しない生活に密着した製品であること加え、さらに掘り下げれば(特定分野に特化した製品ほどではないにしろ)自らの行動や運動の履歴を振り返るには十分な情報を記録しているところにある。浅過ぎず、されど深過ぎず、日常を常にサポートしてくれるのがApple Watchの良さだろうか。

より完成度が増したwatchOS 7。しかし隠し球はきっとある?

一方で現時点で発表されている機能強化などは、従来から提供されてきたApple Watchの進化をさらに高めたものという印象が強い。納得感のある進化ではあるが、目新しさは感じられない。

ハードウェアとしてのApple Watchを振り返ると、Series 4と5ではメモリが2倍になっているものの処理能力には変化がなかった。3年続けてハードウェアプラットフォームが大きく変わらないとは考えにくい。

言い換えればSeries 6では、いよいよ処理能力なり追加センサーなり、ハードウェア基盤の刷新が盛り込まれる可能性が高いと予想される。そして新しいハードウェアに関連したOSの新機能は、製品が発表されるまで明かされないことが多い。

誤解を恐れずに言うならば、スマートウォッチというジャンルにおいて、特定分野での優れた製品はあっても、オーバーオールで納得感のある全方位の製品はApple Watch以外にない、というのがここ数年の状況だった(スポーツならポラール、アウトドアやゴルフなどはガーミンなど特定用途では別の選択肢もある)。

watchOS 7は、この状況をさらに強化してApple Watchの牙城をさらに盤石なものにする保守的なアップデートだ。しかし、新しいハードウェアとの組み合わせはその限りではない、かもしれない。成長分野だけに、プラスアルファの市場拡大案が新製品に盛り込まれていることに期待したい。

※パブリックベータ版watchOS 7の画面は、取材に基づく特別な許可を得たうえで掲載しています。

 
新型コロナウイルス 関連アップデート[TechCrunch]

 

関連キーワード: apple, Apple Watch, applewatch, watchOS, watchos7, iphone, ios14, smartphone, news, gear
0シェア
FacebookTwitter

Sponsored Contents