「どんなときもWiFi」に見る「完全無制限」の終焉

ギガどころかテラ使ってたユーザーもいた

Nobuyoshi Kodera
Nobuyoshi Kodera
2020年08月25日, 午後 04:01 in Softbank
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Wi-Fi

8月24日に筆者が受け取ったメールは、衝撃的なものでした。昨年末にベストバイ記事(https://japanese.engadget.com/jp-2019-12-11-wifi-2019.html)として筆者がご紹介した「どんなときもWiFi」が、無制限プランを終了、制限プランを含む別プランへの移行をお願いするというのです。

通常キャリアから提供されるSIMには、通信容量の上限があります。「どんなときもWiFi」はクラウドSIMという技術を使い、端末側が容量に空きがあるクラウド上のSIMを適宜掴み直すことで、事実上の無制限を実現するという方法をとっていました。

「どんなときもWiFi」を実際に利用している筆者ですが、今年に入ってトラブルが続きました。2月21日夕刻より通信障害が発生、一部のユーザーで不具合が発生したと報告が入りました。このとき筆者のほうでは2日ぐらい回線が遅いことがあっただけで、それほど大きな影響はありませんでした。事業者からは回線増強で解決できるとのアナウンスがあり、事実3月頭の回線増強により問題は解決したと思われました。

しかし3月半ば、今度は2月のトラブルとは比べものにならないレベルで、ガッツリ通信できなくなりました。3月18日の事業者からのメールによれば、2月のトラブルとは性質が異なっており、原因の特定が難航していると書かれてありました。

のちに原因や事業の仕組み等があきらかになっていくわけですが、「どんなときもWiFi」ではdocomo、au、Softbankの3キャリアのSIMを切り換えるとしつつも、事実上ほぼSoftbankの再販型SIMに頼っていました。このSIMは通信容量に上限があり、それを超えると低速化します。

「どんなときもWiFi」側では、大容量を使用する一部ユーザーに対して速度制限をかけるといった措置も行いました。しかし上記の低速化したSIMが特定できないため、そのほかのユーザーは遅いSIMを掴んでしまって身動きが取れない状況になる事態は解決しませんでした。

加えてSoftbankからの新規のSIM供給もストップしたため、ついに容量の空いているSIMを使い果たしてしまいます。SIMを提供するキャリア側としても、コロナ禍による自宅待機等で回線が逼迫し、他事業者へ貸しているSIMの通信上限を絞るなどして調整する必要があったのだろうと思います。

そして3月20日、「どんなときもWiFi」はついに回線休止という事態に追い込まれます。ちょうどこのとき筆者は引っ越しの荷造りのためにずっと自宅に貼り付いて仕事も休んでいたため、モバイルWi-Fiは使用せずに済んだのですが、ちょっとでもタイミングがズレていたら、荷物を積む前に筆者のライター生命が詰んでいたと思います。

休止後の紆余曲折

回線休止措置は3月31日に終了し、4月1日からサービスが再開されました。休止期間中の返金が行われ、4月以降も障害が継続しているユーザーに対しては、3月と4月分を返金、加えて希望者は解約手数料なしで解約可能という措置が取られました。また5月には、利用制限がかかったユーザーに対して、別サービスへの利用の補填として上限10,000円を負担するという措置も取られました。

しかし時は下って6月19日、総務省から「どんなときもWiFi」に対して、行政指導(https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban08_03000321.html)が行われます。内容としては、

1) 原則的に「無制限」をうたい利用者を不当に誘引しつつ、相当数の利用者の通信速度を制限した

2) 一定基準を超えた利用者への制限において、具体的な基準を示さず、問い合わせがあっても回答しなかった

3) 必要な情報を認識せず、必要な態勢の構築を行わずサービスを提供し、多くの利用者の利益が損なわれ、社会的にも極めて大きな影響を及ぼしたことは、電気通信事業法第1条の「利用者利益の保護」の趣旨に反する

というものでした。行政指導は刑罰や不利益処分ではないので、指導に従わなかったからといって不利な扱いをすることは行政手続法上許されません。ですが指導を受けた事業者は大抵、「この事実を重く受け止め」、改善措置をとる事になります。

現在公式サイトに掲載されている資料によれば、「想定を遥に上回るテラを超えるお客様もおり、結果上位5%のお客様で総容量の20%を占める状態」(原文ママ)とあり、こうしたサービスに典型的な「どエラいヤツに見つかっちゃった」パターンであることがわかります。加えて行政指導の内容を踏まえ、「無制限」の看板を下ろさざるを得ないという流れです。

Wi-Fi
公式サイトに掲載されている説明資料

総務省の指摘は「それはまあそう」というところですが、じゃあそんなにひどい事業者だったのかというと、個人的にはそうは思えませんでした。実際の利用者の立場からみると、障害について小まめに報告してくれるし、返金や損失補填なども十分だったように思います。そもそもテラ単位使うならモバイルルータじゃないだろ常考、という思いはあります。

これからどうなるのか

「どんなときもWiFi」ユーザーには、今後いくつかの選択肢が提供されています。これまでの無制限プランは「ライトプラン30GB」に変更され、月間30GBに制限されます。ただし回線はauとdocomo(MVNO含む)となっており、Softbankは外れました。このためか、1日5GBまでの制限も付きました。

またWiMAXへの乗り換えプランも提供されます。こちらは月額制限はありませんが、3日で10GBというお馴染みの制限があります。

Wi-Fi
サイトにしつこく表示される終了のお知らせ

家庭でのメイン回線も欲しいという方には、ライトプラン30GBにプラスして、SoftbankのモバレコAirを組み合わせたプラン、モバレコAirだけのプラン、いっそSoftbank光に乗り換えるプランも提供されます。他社乗り換えの場合は、事務手数料と初月料金の同等額を返金するとあります。

やはり無制限がいいという方には他の事業者をご紹介したいところではありますが、「どんなときもWi-Fi」の行き詰まりを見るに、ご紹介したとたんテラ利用勢に見つかり、サービスが潰れてしまいかねません。

そうでなくても今回の行政指導では、「極めて例外的な場合を除き」という注釈を付けても、「無制限」というワードが利用者を不当に誘引し、契約に至らしめると総務省は述べています。そうなると、そもそも回線を貸すキャリア側が無制限SIMを提供していないのに「事実上無制限」などとうたうサービスは、電気通信事業法上の利用者保護の観点から「アウト」と見られる可能性が高まったと言えます。

5Gが主流の時代になったらまた事情が違ってくるかもしれませんが、4Gにおいて「井戸が干上がるまで水をくみ出す5%」と私たち「自分が飲める分だけで十分」勢とのあいだで我慢できる程度の公平感を得るには、どこかに上限を設定するしかなさそうです。そもそもコロナ禍でモバイルもままならない生活になった今、「無制限」パーティは終わった、という事でしょう。


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