NEW YORK: LAUNCH OF WINDOWS 95  (Photo by Rick Maiman/Sygma via Getty Images)
Rick Maiman

マイクロソフトのWindowsは、もともと文書作成や会計処理など文字ベースの実用アプリが中心でした。そこに音声や映像を利用しやすくするDirectXをもたらし、ひいてはゲーム機Xboxへの道を切り開いた功労者のひとりEric Engstrom氏が、今月初めに55歳の若さで亡くなったと報じられています。

Engstrom氏は、Alex St. John氏やCraig Eisler氏とともにDirectX開発の中心者として活躍した人物です。1990年代初頭のWindowsはオフィスアプリではシェアを伸ばしていたものの、コンピュータゲームの世界では敗者でした。当時のWindowsはプログラムとハードウェアの間にあってグラフィック処理の速度を低下させるとして、ゲーム開発者はそれ以前のDOSをプラットフォームとして選ぶ傾向がありました。

そこにゲーム向けのAPIであるDirectXを持ち込もうとしたのが、Eric氏ら3人の男たちでした。MS社内で過激な言動が嫌われた彼らは「ビースティ・ボーイズ」(野蛮な若者)と呼ばれてクビの圧力がたびたび掛かりながらも、上司に秘密でDirect Xの開発を進め、マスコミに情報をリークしてプロジェクトを上層部に認めさせ……といったドラマは『Renegades of the Empire』(邦訳は『マイクロソフト帝国の反逆者たち』)という本にまとめられています。

1995年に世に出たDirectXはゲーム開発者を驚かせ、Windows PCに新作ゲームの洪水が押し寄せることに繋がりました。この成功はやがてXbox開発の基礎ともなり、1年間で116億ドル(約1兆2070億円)もの収益を上げるビジネスへと成長を遂げました。

そして日本のゲーマーにとってはセガのドリームキャスト、すなわちDirectXが使用できるWindows CEベースのOSを搭載したハードに縁があることも(DirectXはほとんどのゲームに使われなかったとの証言もありますが)覚えておきたいところです。

Source:The Wall Street Journal