Xbox
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マイクロソフトのゲーム事業責任者フィル・スペンサーが、クラウドゲーム専用の安価な新ハードウェアについて語りました。

クラウド専用Xbox(仮)は、ちょうどテレビでストリーミング動画サービスを楽しむための Chromecast や Fire TVスティックのようなもの。

最新世代ゲーム機やPCよりも大幅に安くできるため、ゲーム遊び放題サービス Xbox Game Pass の特典として提供することや、クラウドゲームを前提としたゲームパスの新たな料金プランの可能性にも触れています。

Xbox Game Pass
Microsoft

Xbox Game Pass (ゲームパス)は、定額で100本以上のゲームが遊び放題になるサブスクリプション式のサービス。ながらく「おま国」状態でしたが、2020年4月には日本でも展開が始まり、ライブラリには日本発の有名どころタイトルも含みます。

マイクロソフトはゲームパスをゲーム事業の柱として積極的に展開しており、2020年9月には加入者が半年で1.5倍増の1500万人に達したとのニュースもありました。

ゲームパスのゲームは従来どおり Windows PC や Xbox にダウンロード・インストールして遊べることに加え、この秋からはマイクロソフトのサーバ上で実行して、結果を映像としてプレーヤーの手元にストリーミングする「クラウドゲーム」機能にも対応しました (旧称 Project xCloud。現在は一部の国でベータ提供中)

クラウドゲーム機能で遊ぶにはゲーミングPCもXbox本体も必要ないため、手持ちのスマホやタブレットさえあれば、専用機と全く同じゲーム100本以上が月額料金だけで遊べることになります。(ただしある程度の高速インターネット接続は必須。一部のタッチ操作対応タイトル以外はXboxコントローラまたは市販のBluetoothコントローラも必要)。

マイクロソフトのゲーム事業トップ フィル・スペンサーがリンク先 Stratechery のインタビューで語った「より安価なハードウェア」はこうした文脈で、ゲーム専用機やゲーミングPCよりも低い初期費用で、テレビで Xbox ゲームパスのクラウドゲームを遊ぶ Chromecast的デバイスについての発言です。

スペンサーはスマホだけでなくテレビでXbox Game Passのクラウドゲームを楽しむための安価な新ハードウェアを「ゲームパスというエコシステムの一部として」提供することになるだろう、と語っています。

「マイクロソフトがストリーミング専用の安価な新型Xboxを開発している」説は数年前からたびたびうわさになってきましたが、マイクロソフト幹部が踏み込んで語るのは今回が初めて。

Casey Rodgers/Invision/AP
Casey Rodgers/Invision/AP

かつてのマイクロソフトは専用機 Xbox ありき、普及台数競争ありきのビジネスで、自社の看板ゲームもXboxを買わざるを得なくするための武器として敢えて独占にして、PCでは出せても出さない・遅らせるといったことが当然でした。

しかし現在のマイクロソフトは、自社のゲームサービスとコンテンツの利用者を増やせるならハードウェアは問わず、自社ゲームは可能なかぎりXbox とPCのマルチ展開とする方針に変わっています。

自社サービスやコンテンツの拡大と収益につながれば、PCでも他社のプラットフォームでも入り口は多いほど、手軽なほど良いという考え方です。買収したマインクラフトを Xbox 独占にせず多機種展開のまま統合を進め、PS4もスイッチも一緒に仲よく遊ぼう!(※要マイクロソフトアカウント)にしたのも同じ方針から。

この戦略では、独占タイトルが減って買う理由が減るはずのゲーム専用機が、ゲーミングPCよりも圧倒的に手軽に自社サービスを普及させ得る商品として、ゲーム機だけのビジネスではなくゲーム事業全体を後押しする武器として逆に重要になってくるのが面白いところです。

Xbox ゲームパスのクラウドゲーム機能は現在、PCもXboxも持っているゲーマー向けのUltimate プラン加入者限定でベータ提供中ですが、クラウドゲーム専用の安価な新ハードウェアがあれば、逆にもっと安い月額料金でクラウドゲームだけ遊べるプラン、Google の Stadia と直接競合するプランを用意する可能性もあります。

実際にマイクロソフトはサービス加入への障壁をできるだけ低くする方針から、Xbox Series X|S本体代金を分割して、Xboxゲームパス月額料金とセットで払えば初期費用不要でトータルでも安くなる割賦販売プラン Xbox All Access を各国の量販店や通信キャリアと組んで展開しています。

Xbox All Access の価格は、ゲームパスの全部入りプラン Xbox Game Pass Ultimate (15ドル)に 安価な普及版の Xbox Series S 本体代金を加えて合計25ドル/月、2年コミットなど。

「サービス料金と一緒のプランで本体を分割購入すると初期費用がお安く!」系のプランは、トータルだと一括より高かったりサービス料が相場より高かったりすることもありますが、オールアクセスでは2年コミットのかわりにトータルで本体代金が安くなっている点が特徴です。米国ではすぐに売り切れ、日本では展開していません。

このオールアクセスが本体セットで月25ドルからであることを考えると、本体代金が比較にならないほど安いと予想される スティック型 Xbox (XStick??)なりの新ハードは、Xbox ゲームパスの何らかのプランとセットでさらに安価に提供されることも考えられます。

これまでは友人とマルチで遊びたいゲームがあって「面白いからやろうよ」と誘っても、「やりたいけどうちのPCじゃ動かないし、ゲーム機は5万だっけ3万だっけ?ソフトは?……うーん……」となっていたのが、サブスクやクラウドゲーム、安価なストリーミングデバイスのおかげで、初期費用ゼロや初月100円でとりあえず試せる時代がすぐにやってきそうです。

An Interview with Microsoft Executive Vice-President of Gaming Phil Spencer – Stratechery by Ben Thompson