LONDON, ENGLAND - JULY 11: A customer plays on an Xbox xCloud device at the Microsoft store opening on July 11, 2019 in London, England. Microsoft opened their first flagship store in Europe this morning, August 11. (Photo by Peter Summers/Getty Images)
Peter Summers via Getty Images

米マイクロソフトのXbox事業トップであるフィル・スペンサー氏が、Xbox Game PassのストリーミングゲームサービスxCloudをiOS向けにブラウザベース(Safari経由)で提供する点や、App Storeや自社ストアにおける手数料などについて幅広く語っています。

前者に関して、アップル側はストリーミングゲームサービス全般につきApp Storeを通じて提供を「容認」したものの、「個別のゲームごとに(ストリーミング用クライアントの)アプリをApp Storeでダウンロードさせること」「個別のゲームごとにApp Storeの審査を通すこと」などの条件を課しています。つまり事実上、「iOS/iPadOSアプリとして」ストリーミングゲームサービスを他社が提供することは非現実的となっています。

この事態に対して、以前スペンサー氏はWebブラウザ経由でiPhoneやiPadに提供したい考えだと述べていました。本アプローチはアマゾンの独自ストリーミングゲームサービスLunaでも採用されており、Google Stadiaでも同じ選択肢が取られています。ブラウザ上のPWA(プログレッシブWebアプリ)ならば従来の意味での「アプリ」ではないため、App Storeの厳しい制約を回避できるから、と見られています。


さて、今回のスペンサー氏発言は、海外テックメディアThe Vergeのインタビューに応じたもの。同氏はまず、MSとアップルとの対話状況についての質問を受けています。

これに同氏は「我々が人々に見てもらいたいと思うユーザー体験には依然としてオープンです」と回答。さらにブラウザベースのソリューションを使うことは、長期的には専用アプリよりもシンプルで、より多くのデバイスでのアクセス提供にも繋がると説明しています。

さらにスペンサー氏はApp Storeの制限に関するアップルの立場に、反発どころか理解を表明。そしてアップルの定額ゲームサービスApple Arcadeに対しては「Xbox Game Passに匹敵する競争力を持ったゲームがあります」と高い評価を示しています。

もっとも「彼らは自らの携帯電話(iPhone)上で唯一のゲームサブスクリプションとしてApple Arcadeを維持することを気に入っているんでしょう。私たちは、お客さまが望まれるオープンアクセスを、大規模なコンピューティング機器で展開したいのです」とも述べており、アップルのクローズドな姿勢に少し皮肉を込めている感もあります。


またxCloudをiOS/iPadOS機器に提供する上で、安全性やセキュリティなどの広範な問題についてアップルと協力する意欲も述べています。「我々は非常に慎重に安全性とセキュリティを扱うプラットフォームを運営しています。それはXboxでも非常に重要なことであり、その話題は私たちにとっても異なるものではありません」とのことです。

そしてインタビュアーからは、アップルがApp Storeや自社の支払いシステムを使うよう開発者を誘導するために、意図的にSafariの機能を制限しているのではないか? と、際どい質問を向けられる一幕も。そこでもスペンサー氏は「(Google Stadiaの提供ベースになっている)Chromeにないのと同じように、今のところ見たことがありません」とかわしています。


概してアップルと協力を進めているなかで事を荒立てない配慮がうかがわれるスペンサー氏ですが、興味深いのは話題がXboxのゲームストアでの販売手数料に及んだときのことです。アプリストア手数料率の相場は30%であり、これはXboxシリーズのゲームも例外ではありません。

App Storeの30%もの手数料はたびたび批判の対象とされますが(中小開発者にかぎり15%に引き下げたものの、大半の売上を占める大手業者は対象外)Xboxストアにも火の手が及ぶ可能性があるわけです。

これにつきスペンサー氏は、App Store手数料とXboxの料金体系との比較は、異なるデバイスの性質的に不公平だと述べています。

すなわちiOSデバイスは地球上に10億台以上もある一般的なコンピューティング機器だが、ゲーム機はビデオゲーム専用であり、しかも本体は赤字で売られており、コンテンツやサービスを販売することで辛うじて利益を得ている。

さらにゲーム機は1世代で2億台しか売れないが、これはスマートフォン販売台数の1年分にも満たない……ということで、比較的小規模で本体からは利益が出にくいXboxとiPhoneのアプリストアを一緒に扱ってもらっては困る、と訴えている模様です。


MSは以前公開した、事実上のApp Storeへの批判を表明した発言においても「ゲーム機のビジネスモデルはPCや携帯電話と大きく異なる」ことを強調していました

ゲーム専用機が製造コストが売価を上回る逆ザヤ状態が長く続きやすいことはソニーのPS3でも明らかにされていましたが、App Storeへの矛先が自社にも向かってきかねない情勢に対しては、本気で当惑しているのかもしれません。

Source:The Verge