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2021年3月末、多数の新製品を発表したシャオミの衝撃的な新製品発表会から1か月以上が過ぎました。例年であればファーウェイがフラッグシップカメラフォンを発表する時期ですが、今年登場予定とされた「P50」は4月になっても発表されません。

例年、ファーウェイは「無印」「Pro」「Pro+」という3つのフラッグシップに加え、スペックを落とした「lite」モデルを投入しており、春先のスマートフォン業界を大いに沸かせていました。アップルを抜きサムスンのすぐ後を追いかけていた同社ですが、2021年は目立った動きを見せていません。

その一方で勢いを増しているのがシャオミです。3月の発表会ではMiシリーズのフラッグシップモデルを発表。シャオミ初の折りたたみとなる「Mi MIX FOLD」は9999元(約16万8000円)で登場し、早くも折りたたみスマートフォンの価格破壊を引き起こしています。

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Mi MIX FOLD

Mi MIX FOLDの発表後、サムスンは中国で「Galaxy Z Fold2」の価格を引き下げ、ファーウェイは「Mate X2」の廉価版として「Mate X2 4G」を投入。振興ディスプレイメーカーのRoyoleは業界唯一となった外折り式ディスプレイの「FlexPai 2」の価格を9988元(約16万8000円)から8788元(約14万8000円)に引き下げました。余談ですが、Royoletは新価格を中国の消費者が好きな「8」を並べて8888元にしたかったのではないでしょうか。おそらくシャオミの1万元を切る9999元というインパクトある価格には勝てないと考え、切りのいい数字ではなくぎりぎりまで下げられる価格にしたと筆者は推測しています。

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値下げされたFlexPai 2

とはいえ、折りたたみスマートフォンはまだまだ一般消費者向けの製品ではなく、最新機種を求める層など、特定ユーザー向けの製品です。Mi MIX FOLDはシャオミの技術力の高さとコスパ力の強さを誇示するために出てきた製品ではないでしょうか。

一方、真の本命といえるスマートフォンがMi 11 Ultraです。Mi 11 Ultraはファーウェイ不在の今のスマートフォン市場で、カメラフォンの地位をファーウェイから奪うべく生まれた製品でしょう。それはカメラスペックを見れば一目瞭然。Mi 11 Ultraのカメラは5000万画素、1 / 1.12インチのセンサーを搭載。発表会ではついにライバルとしてソニーのカメラ「RX100 VII」を比較に出してきました。それほどまでに、この大型センサーに自信があるのでしょう。

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発表会ではRX100VIIとカメラを比較

ちなみに5000万画素カメラのセンサーはソニー製ではなくサムスン製。多くのメーカーがソニーのセンサーを搭載しますが、シャオミはこれまでも率先してサムスンの1億800万画素センサーを搭載しています。「シャオミxサムスン」で、他のメーカー、特に打倒ファーウェイに力を入れていると考えられます。さらに超広角とペリスコープ方式の望遠も4800万画素。3つのカメラともメインカメラと呼べる高いスペックは、ファーウェイの最上位モデル「P40 Pro+」や「Mate 40 Pro+」に優っています。

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Mi 11 Ultraのもう一つの特徴は背面に配置されたサブディスプレイです。1.1インチ、296x126ピクセルと小型なものの、普段は時計やステータス、通知を表示。カメラ利用時にはファインダーとしても使えます。つまり自撮りをするときに、フロントカメラを使う必要がありません。

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大型カメラとファインダーを並べた背面上部のデザインは、左上にカメラを並べる最近のスマートフォンにはないルックスです。なお本体上部全体にカメラモジュールを配置したようなカラーリングは、実はシャオミのサブブランド「Poco」から2020年11月に登場した「Poco M3」で実施済み。Poco M3はMi 11 Ultraの反応を知るためにこんなデザインにしたのかもしれません。

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独特なカメラ周りデザインのPoco M3。今思えばMi 11 Ultraを意識していたかもしれない

Mi 11 Ultraのサブディスプレイはサイズが小さいために、SNSの通知本文を表示するといった使い方には向いていません。しかし実際に筆者がカメラを使ってみると、プレビューは小さいものの高画質なメインカメラで自分の顔を撮影できるため、フロントカメラを使う必要はないなと感じました。Zoomなどでもメインカメラを使うことができるので、ボケを利かせたライブ映像を流すこともできそうです。

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1.1インチディスプレイでも十分ファインダーとして使える

背面ディスプレイは2017年にMeizuの「Pro 7」シリーズが2インチ536x240ピクセルという、Mi 11 Ultraよりも大型、高解像度なものを搭載していました。しかしメインカメラが1200万画素、フロントカメラが1600万画素では、この背面ディスプレイをファインダーとしてメインカメラを使った自撮りをするメリットは無かったと言えます。通知表示も限られていたため、実験的なモデルに終わりました。Mi 11 Ultraは背面のサブディスプレイを有効活用できるだけの本体スペックもカメラ性能を有しているわけです。

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2インチ背面ディスプレイを搭載していたMeizuの「Pro 7」

また背面側もフルディスプレイにした両面スマートフォンはVivoやNubiaから登場したものの、そのディスプレイを生かすためのキラーアプリケーションが出てこなかったため、短命に終わっています。現在のスマートフォンの使い方であれば、背面に必要なのは通知などを表示できるサブディスプレイなのでしょう。

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背面も全面ディスプレイにしたVivo「NEX Dual Display」

Mi 11 Ultraの背面ディスプレイは確かに便利ですが、まだまさサイズが小さいと感じました。Mi 11 Ultraのユーザーフィードバックでサブディスプレイの存在が好調なら、次に登場するシャオミの「Mi 12 Ultra」には、より大きい背面ディスプレイが搭載されるかもしれません。あるいはディスプレイメーカーでもあるサムスンが、背面サブディスプレイを搭載したスマートフォンを出してくる可能性も十分あります。

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背面ディスプレイにアイコンを表示。1.1インチでは通知の表示には狭い

フロントカメラは顔認証用途にも使われており、マスクが必須の現代においては必須の機能です。しかしディスプレイの一部がかけているのはコンテンツを見るときに邪魔でしかありません。背面へサブディスプレイの搭載が今後、他のモデルにも進めば、スマートフォンのフロントカメラのあり方も変わってくるかもしれません。