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シャオミは2021年8月2日、日本市場専用のスマートフォン新機種「Redmi Note 10 JE」を発表。KDDIが「au」「UQ mobile」で独占販売することも、同時に明らかにされています。

速報:シャオミ初の日本特化スマホ Redmi Note 10 JE発表 防水FeliCaで2.8万円

▲シャオミが日本市場専用モデルとして投入する「Redmi Note 10 JE」。KDDIの「au」「UQ mobile」ブランドから独占販売される

Redmi Note 10 JEについて簡単に確認しておきますと、その名前の通り「Redmi Note 10」シリーズをベースに開発された日本専用のモデル。Redmi Note 10シリーズは既にSIMフリー市場向けに「Redmi Note 10 Pro」が投入され、5G非対応ながら1億800万画素のカメラを搭載し、3万円台というコストパフォーマンスの高さで注目されたことが記憶に新しいですが、Redmi Note 10 JEは5Gに対応しながらも、より低価格を求める人に向けたエントリーモデルという位置付けとなります。

ですがRedmi Note 10 JEは「JE」、つまり「Japan Edition」という名前の通り、FeliCaに加えIP68の防水・防塵性能を備えるなど、日本向けに独自のカスタマイズが施されているのが最大のポイントとなっています。シャオミはここ最近、ソフトバンク向けの「Redmi Note 9T」とSIMフリーの「Mi11 Lite 5G」でFeliCa対応を進めるなど、日本向けのカスタマイズに力を注ぐ傾向にありましたが、防水・防塵にまで対応するというのは国内向けとしては初ですし、世界的にもRedmi Noteシリーズでは初のことだそうです。

そこまでしてなぜ、日本専用モデルを提供するに至ったのでしょうか。製品発表に先駆けてシャオミの東アジア担当ゼネラルマネージャーであるスティーブン・ワン氏にグループインタビューで話を聞くことができました。

▲グループインタビューに答えるシャオミのスティーブン・ワン氏

スティーブン氏によりますと、シャオミでは日本でRedmi Note 10シリーズを発売するに当たってさまざまな形でリサーチを進めたそうですが、その際のフィードバックを見て「日本ではローカライズが重要と認識した」と話しています。ですが既存モデルに日本向けカスタマイズを施した従来製品とは異なり、Redmi Note 10 JEは日本市場専用モデルとして開発したというのが大きな違いとなっています。

シャオミはお膝元である中国市場に向けて独自モデルをいくつか投入してはいるそうですが、それ以外の市場でここまで踏み込んで独自のカスタマイズを施した例はないとのこと。なぜそこまでして日本専用モデルを投入したのかというと、理由の1つは「日本は重要な市場であり、調査の結果今回の機種に関してはカスタマイズすることが重要だと結論付けた」としています。

▲シャオミの日本市場向けカスタマイズの取り組み。日本向けの周波数帯対応だけでなく、2021年からはFeliCaの搭載にも積極的に取り組んできた

FeliCaや防水だけでなく、パフォーマンスより製品品質の高さを強く求める傾向にあるなど、日本は独自性が非常に強い市場であることから、これまで多くのスマートフォンメーカーがベンチマークの1つとして日本市場を重視する姿勢を見せてきました。シャオミの狙いもそれらと共通したものがあるといえますが、スティーブン氏はもう1つの理由として、「パートナーであるKDDIの販売チャネルに対して深く信頼を寄せている表れ」とも話しています。

シャオミは2020年にKDDIのauブランドから販売された「Mi 10 Lite 5G」を皮切りとして携帯大手向けの製品供給にも力を注いでおり、Redmi Note 9Tではソフトバンクへの供給も実現しています。それだけに、携帯大手のニーズに応え信頼を獲得してより多くの製品供給に結びつけ、日本市場でのシェアを拡大する上でも、日本独自のニーズに応えた製品開発が必要と判断したのでしょう。

▲シャオミは「Redmi Note 9T」でソフトバンク向け端末供給を実現しており、規模が大きいキャリア向けに製品供給する上でも独自カスタマイズが必要と判断した可能性も考えられる

とりわけ最近では、直接の競合となるオッポが日本市場向けの開拓に注力して日本独自の「Reno A」シリーズを展開して好評を得ているだけに、シャオミとしても既存モデルのカスタマイズを超えた領域に踏み込む必要があったといえそうです。

ただ独自モデルの開発には時間とコストが少なからずかかるのもまた確か。特にIP68の防水・防塵性能はRedmi Noteシリーズとして初搭載となるだけでなく、シャオミ全体でもフラッグシップの「Mi 11 Pro」「Mi 11 Ultra」(いずれも日本未発売)くらいしか対応機種がなく、実績豊富な訳ではありません。

それゆえスティーブン氏も、Redmi Note 10 JEの防水・防塵対応に当たっては「開発にはかなりのコストがかかった。内部アーキテクチャの再開発が必要で、開発時間もかなり要した」と話しており、かなり苦労があった様子が伺えます。ですがそれでも一連の日本向けカスタマイズが、シャオミが強みとする世界規模のサプライチェーンを阻害することにはならないと判断し、独自モデル開発に踏み切ったとスティーブン氏は話しています。

▲Redmi Note 10 JEはRedmi Noteシリーズ全体を通して、IP68の防水・防塵性能に初めて対応したモデルとなる

それに加えてスティーブン氏は、チップセットにクアルコム製のエントリー向け5G対応チップセット「Snapdragon 480」を搭載したことも、「日本専用モデルのみで使用する。シャオミが使うのは今回が初めてだ」と、日本向けのカスタマイズであることを示しています。ですがSnapdragon 480は他国向けのモデルに用いても別段問題ないものだけに、なぜそれが日本向けのカスタマイズなのか?という点は気になる所です。

▲Redmi Note 10 JEにチップセットに「Snapdragon 480」を採用したことも、日本向けの独自カスタマイズだとしている

その理由についてスティーブン氏は「日本のユーザーが求める品質や安定性の観点から、クアルコム製のチップセットが好まれると認識している」と答えています。日本で販売されるスマートフォンの大半はクアルコム製チップセットを積んでおり、携帯各社のネットワークもそれに合わせて構築されていることから、ネットワークとの相性を考慮してクアルコム製のチップセットを採用し、エントリー向けでも高いネットワーク品質を確保する狙いがあったといえそうです。

その一方で、Redmi Note 10 JEに採用されていないのが超広角カメラです。Redmi Note 10 JEの背面カメラは約4800万画素のメインカメラと、約200万画素の深度測位カメラ、約200万画素のマクロカメラの3眼構成ですが、最近のスマートフォンで一般的な超広角カメラが入っておらず撮影シーンの広さという意味ではデメリットにも見えます。

▲カメラは約4800万画素のメインカメラと、約200万画素の深度測位・マクロカメラの3眼構成。超広角カメラは搭載されていない

その理由についてスティーブン氏は、「ウルトラワイド(超広角カメラ)はセンサー、レンズに対する要件が高く、サイズに影響を与えるという問題が出てくる」と話しています。超広角カメラは構造上歪みが出やすくなるだけに、低価格重視のエントリーモデル向けに質の低い超広角カメラを採用してしまうと「事実上ほとんど使えないものになってしまう」(スティーブン氏)と判断。低価格でも品質確保を重視した結果、このようなカメラ構成になったようです。

「どの機種であれ、どの価格帯度のチャネル通じて販売するものであれ、全ての機種に最も高い価値をユーザーに提供すること」がシャオミの最終目標だとスティーブン氏は話していますが、Redmi Note 10 JEは従来以上に、シャオミが低価格モデルながらも高い品質を確保することに重点を置いている様子が伺えます。裏を返せばそれはシャオミが日本市場、とりわけ携帯大手向けの市場攻略に本気を出してきた証といえ、Redmi Note 10 JEが消費者からどこまでの評価を得られるかが注目されるところです。