中国シャオミが2日連続で開催した大型新製品発表会。その2日目は、同社製の市販スマートフォン初となるフォルダブル機『Mi MIX FOLD』をはじめ、据え置き型エアコンや高性能加湿器をはじめとする各種スマートホーム製品や、電気自動車(EV)への参入予告するなど、非常に盛りだくさんとなりました。

そうした中で会場に赴いたファンから歓声が沸いた発表の一つが、新型ノートPC『Mi Notebook Pro 15』『Mi Notebook Pro 14』の2モデルでした。

Mi Notebook Proは同社製ノートPCの中でも最上位に位置する系列であり、本体デザインからも鮮明なようにアップルMacBook Proの直接対抗となる位置づけ。前者は15インチ/アスペクト比16:10画面で約1.8kg、後者は14インチ/アスペクト比16:10画面で約1.5kgという重量感のモデルとなっています。一見するとモバイルノート的にも見えますが、実はそれなり以上に重めです。

両機種は中国向けの発表であり、また現状で同社製PCは日本では販売されていないため、その意味では日本ユーザーにとって関連性は低いのですが、コンセプト的、また技術的には大きく注目できる点があります。

その理由は、ノートPCの“有機ELシフト”や、ゲーミングPC以外での高リフレッシュレート化を牽引しそうな存在となりそうなため。

詳細は後述しますが、Pro 15では約10万9700円からという価格で、3456×2160解像度/アスペクト比16:10の有機EL画面を搭載。Pro 14も、約8万9450円で2560×1600解像度/16:10/最高120Hzの液晶画面を採用します。

なお両シリーズとも、いわゆるOffice付き(Microsoft Office Home and Studentプリインストール)の構成です。

つまりこれら2モデルは、これまでノートPCでは採用例が少なく、また高価だった有機ELや高速液晶の敷居を大きく下げそうな――そしてライバルメーカーにも影響を及ぼしそうな――ノートPCなのです。

昨今のシャオミ製スマホでは、ディスプレイパネルの使い勝手や画質を強烈にアピールするようになっていますが、この2モデルはそういった競争を(発生してはいるものの、スマホほど活発ではない)ノートPCにも巻き起こしてくれるやもしれません。


Pro 15の価格は、Core i5-11300H/GPU内蔵/RAM 16GB/SSD 512GBのベーシック構成で6499人民元から。日本円に単純換算すると約10万9700円となります。そして注目すべきは、このベーシック構成でも有機ELパネルが搭載されるという点でしょう。

合わせて注目したいのが、最上位構成でも7999人民元(約13万5000円)と、価格差が小さめとなる点。と言ってもこれには理由があり、実際の構成はCore i7-11370H/GeForce MX450/RAM 16GB/SSD 512GBというもの。つまりRAMやSSDといった、一般的なノートPCで価格差の要因となる仕様が変わらず、強化点はCPUのグレードと単体GPU搭載のみというわけです。

Pro 14の価格は、ベーシック構成では5299人民元(約8万9450円)で、最上位構成では6999人民元(約11万8140円)。なおCPUやRAM、SSDといった構成はPro 15と変わりません。

そして隠れたポイントはRAM容量です。その理由は、Pro 15/14共通、なおかつ全グレードで16GBを搭載するため。このクラスの機種でも油断すると出てくるRAM 4GB構成はもとより、8GB構成もありません(ただし昨今となっては、32GB構成がないのは惜しいところですが)。


さらにCPUは、インテルの第11世代Core iの中でも最新の“Tiger Lake-H35”シリーズを搭載。TDP値(発熱と消費電力の目安)が35W(正確には28~35W)と高めで、一般的なモバイルノートPCに採用されるTDP 15~28WのTiger Lake UP3と比べて処理速度が高速なモデルです。

加えてそれぞれの上位構成では単体GPUとしてGeForce MX450も搭載し、グラフィックス速度をさらに向上させています。そもそもTiger Lake-H35の内蔵GPUは、現状でもCPU内蔵としては高速なIris Xeグラフィックスですが、MX450の搭載でさらに強化しています。

ただし同GPUは最新世代のFPSゲームなどには苦しい性能という程度なので、ゲーム向けというわけではありません(とくにPro 14は120Hz画面と聞くと勘違いしがちですが)。

一方で、性能的にビハインドとなりそうな点が、搭載メモリの種別です。Pro 15/14ともに搭載されるのは、3200MHz相当のDDR4-3200。Tiger Lake搭載PCで一般的なLPDDR4X-4266(4266MHz相当)と比べると低速になるため、内蔵GPU時のグラフィックス速度などではライバル機と比べると不利になりそうです。


さて、注目となるPro 15の画面仕様に関しては、良い意味で高級スマートフォンのような数値が並ぶもの。

まず蛍光材料(実質的に有機ELパネルの世代を示します)は、Samsung Display(SDI)のE4世代。そのためシャオミ側は『E4 OLED』と呼称します。これはSDIが外販している有機ELパネルの中では最新世代に相当します。

また、HDRを中心とした総合的な表示品質に関しては、VESAの規定する『DisplayHDR 500 True Black』認証をパスします。HDR映像ソースで重要となる最大輝度も600nitと高め。

色域はDCI-P3を100%カバーし、色差(色の正確度合)はデルタE≈1以内と、ノートPCとしては非常に優秀。さらには出荷時に一台ずつのカラーキャリブレーション(色較正)も行っているとアピールします。

そして解像度は3456×2160で、アスペクト比16:10。長辺側こそ4Kに足りませんが、短辺側は4Kと同じ解像度になる……という数値です。

最大コントラストは有機ELらしく100万対1、最大輝度も600ニトと、このあたりもノートPCとしては高水準。もちろんデザインは、4辺ナローベゼル仕上げで、左右ベゼル幅は3.6mm。画面占有率は昨今にあっても非常に高い、93%を達成します。

Mi Notebook Pro 2021

対してPro 14の液晶も、色域こそsRGB 100%に、標準輝度は300ニト、最大コントラストは1000:1といったところ。といってもこのあたりは、昨今にあっては並の水準。ですが一方で、リフレッシュレートは最高120Hz、解像度は2560×1600でアスペクト比16:10、色差はデルタE≈1.5以内と、かなり優秀な値が並びます。

またナローベゼル設計という点でも、左右ベゼルは4.3mmで画面占有率は88%と、Pro 15ほどではないもののかなり優秀です。


Mi Notebook Pro 2021

その他の性能に関しても昨今のノートPCの水準以上で、バッテリー容量はPro 15が66Wh、Pro 14が56Whと昨今の水準で見ても大き目なもの。本体素材は業界標準とも呼べそうな航空機グレードのアルミ合金を使ったユニボディ構造です。

セキュリティは電源ボタン兼用の指紋認証センサーを搭載し、拡張端子はThunderbolt 4×1基にUSB Type-C(詳細仕様は不明)×2基、そして3.5mmヘッドセットジャックを搭載。無線LANはもちろんWi-Fi 6対応です。

加えて、Intelが定めるEvoプラットフォーム認証も獲得。蓋を開くと同時のスリープ復帰や長時間バッテリー駆動など、普段使いのノートPCでこそ重要な使い勝手にも配慮がなされています。

また、付属のACアダプタはUSB PDの上限である100W出力に対応するという、本体に対してオーバースペックな仕様のモデル。これは本体だけでなく、他のUSB PD機器でも使い回せるようにとの配慮でしょう。良い意味でシャオミらしいサービス精神と感じるところです。


このようにMi Notebook Pro 15/14は、シャオミがノートPCのディスプレイと価格のトレンドを作るべく(と言ってしまってよいはず)、非常に力を入れた製品。外観デザインなどはいろいろな意味でベーシックな印象も受けますが、開いて画面を見れば良い意味でガラッと印象が変わるかのようなモデルとなっています。

▲冷却に関してもデュアルファンに幅広ヒートパイプによる熱輸送システムと、水準以上の装備。Ryzen版のTDP 45Wにも十二分に耐えられそうです

なお、Pro 15に関しては、5月上旬予定でAMDのRyzen 5000 Hシリーズを搭載するモデルの追加を予告しています。こちらはTDP値が45Wと、TigerLake-H35よりさらに高くなりますが、CPUコア数が多く、処理速度ではそれ以上の価値があると評価の高いCPU。

ヘビーユーザーからはこちらのほうが注目度が高くなりそうで、楽しみなところです。

日本での投入などは未定ですが、昨今のスマートフォンでの攻勢を見るにつけ、ぜひともこちらも投入してほしいものです。

SourceMi Notebook Pro 15 製品ページ(中文版)、Mi Notebook Pro 14 製品ページ(中文版)