ソニーが26日に発表した「Xperia PRO-I」は、イメージング(撮影)に特化したスマートフォン。像面位相差センサーを内蔵した1インチセンサーを採用しており、高い画質と素早いフォーカス合わせを両立させているのがうたい文句です。

業務用の“機材”として投入された先代の「Xperia PRO」とは異なり、こちらは同じPROでも一般ユーザーまで含めたカメラ好きがターゲット。普段使いには欠かせない、おサイフケータイにも対応しています。そんなXperia PRO-Iの実機を、いち早く触れることができました。そのレポートをお届けします。

▲1インチセンサーを搭載したソニーのXperia PRO-I

Xperia PRO-Iという名称や、「THE Camera」(日本語では「カメラ、極まる」)というキャッチコピーから、いかにもカメラ風で本体もゴツゴツとしたイメージを持たれるかもしれませんが、同モデルはれっきとしたスマートフォン。

実機を見たときの第一印象は、「思ったより普通」というものでした。それは、もちろんいい意味でです。スマホとしての薄さが犠牲になっておらず、ポケットに収まるポータビリティは健在。手に持ったときにも、操作はしやすく、正面から見たときの姿はこれまでのXperiaと大きく変わりません。

▲「Xperia 1 III」などよりはやや厚いものの、スマホとしては十分なスリムさ

一方で、側面の仕上げはXperia PRO-Iならでは。光沢感があり、ツルっと手からこぼれ落ちてしまいそうな通常のXperia 1シリーズに対し、サイドにはスリットが入り、持ったときのホールド感が上がります。シャッターボタンの押し心地も、これまでのXperia 1シリーズとは別物。ボタンのサイズも大きくなっているため、指でしっかり押すことができます。

▲右側面にはシャッターボタンや電源ボタンなどが並ぶ

▲大きくて押しやすいシャッターボタン

▲シャッターボタン横のショートカットキーには、任意のアプリを割り当てることができる

背面は、よりカメラを強調したデザインになっています。もっとも目立つのが、24㎜の1インチセンサー。このカメラを中心に、16㎜の超広角カメラと、50㎜の“標準”カメラを備えています。

一般的にスマホのカメラは24㎜前後が標準で、50㎜ぐらいの焦点距離のカメラは“望遠”と呼ばれることが多い印象ですが、カメラの世界では50㎜が標準と呼ばれることが多く、24㎜はむしろ広角。各カメラの呼び方からも、PROっぽさが伝わってきます。

▲1インチの広角カメラが真ん中に鎮座。カメラは他のXperiaとは異なり、本体端ではなく中央部に並ぶ

撮影時のユーザーインターフェイスは、「Xperia 1 II」以降のユーザーにはおなじみの「Photography Pro」。ソニーのデジカメ「α」シリーズのUIを、スマホに落とし込んだデザインになっており、一般的なスマホに搭載されるプロモードよりもカメラ寄りで、狙った設定をしやすいのが特徴。

Xperia PRO-Iでも、そのUIは踏襲されていますが、24㎜の広角カメラに絞りを2つの値から選択できる機能が搭載されたため、そのメニューが1つ加わっています。

▲Photography Proでαのように凝った撮影を楽しめる

▲絞りはF2.0とF4.0から選択できる仕組み

絞りはF2.0とF4.0の2つから選択可能。これによって、明るさや背景ボケの量を簡単にコントロールできます。論より証拠ということで、以下に実機で撮った写真を掲載します。まずは人物撮影。こちらの場合、背景ボケはあまり変わりませんが、F2.0の方が明るく撮れています。

▲F2.0で撮った人物写真

▲こちらはF4.0。やや写真が暗くなっているのが分かる

ボケの違いがよりはっきり出るのが、花に寄って撮った写真。F2.0の方は花の後ろ側からすでにボケ始めているのに対し、F4.0で撮った写真は壁に張り出された作例の写真まで、ボケずに写っていることが分かります。スマホのカメラは、明るくするためにF値が小さくなっているため、どうしても意図していない場所がボケてしまうことがありました。Xperia PRO-Iの可変絞りであれば、そのような失敗は防げそうです。

▲F2.0で撮った写真。花の後ろ側からボケが始まっている

▲F4.0に切り替えると、背景に飾られた作例の写真まできちんと描写された

1インチセンサーを搭載したことで、必要とする処理能力が上がり、オートフォーカスの速度が下がったり、シャッターラグが発生したりといったことにならないかは心配でしたが、それは杞憂でした。センサーに像面位相差を採用したことで、素早いフォーカス合わせは健在。瞳AFにも対応しているため、人の目にバチっとピントの合った写真を撮ることができました。

▲瞳AFに対応。像面位相差AFのため、ピント合わせも速い

また、Xperia 1 II以降の売りだった秒間60回のAF/AE演算をしながらの20コマ連写にも、引き続き対応しています。シャッターボタンを押しっぱなしにするだけで、自動的にピントや露出を合わせながら1秒間に20コマの写真を撮れるため、動き回る被写体を撮るような場面で重宝します。実際にこの機能を試してみた動画は以下のとおり。シャッターチャンスを逃がさない、このレスポンスのよさはまさにXperia。スマホだけでなく、カメラの開発も行っているソニーならではと言えます。

▲秒間20コマの超高速連写は健在

「Videography Pro」も、Xperia PRO-Iからの新機能。簡単に言えば、これはPhotography Proの動画版で、Vlogを分かりやすいUIで撮るためのアプリです。

これまでのXperiaは「Photography Pro」を搭載していた一方で、動画撮影となるといきなり「Cinematography Pro」にジャンプアップしていました。

名前のとおり、これはシネマ撮影用の機能。映画のようなクオリティの映像が撮れるというのが売りでしたが、反面、専門知識が求められるため、操作の難易度は爆上がりしていました。ここまで本格的じゃなくていいのに……と思ったユーザーは少なくないはずです。

▲本格的なビデオ撮影を可能にするVideography Pro

対するVideography Proは、Vloggerを中心としたコンテンツクリエイターに焦点を当てた機能。ISOや露出、ホワイトバランスなどの変更ができたり、ズームバーが搭載されていたりと、一般的なスマホの動画撮影アプリとはUIが異なりますが、直感的に操作することができます。

特にズームは、バーを動かしていくと段階的に映像が大きくなっていく仕様。一般的なスマホのカメラアプリは、このコントロールが難しかったため、Xperiaならではの売りと言えそうです。

▲ISOやホワイトバランス、シャッター速度は手動で変更できる

この「Videography Pro」を生かすための周辺機器として、「Vlog Monitor」が発売されるほか、市販のグリップと連携させることもできます。モニターは金属製のホルダーにマグネットで装着する仕組みで、背面に張り付けると、1インチセンサーで自撮りができるようになります。発表会レポートのような動画を撮るときにうってつけの機材で、プロ用をうたうXperia PRO-Iらしいアクセサリーです。

▲Vlog Monitorとグリップを装着したところ

▲1インチのセンサーを使って自撮りができる

発売が12月とまだ先になるため、一部試せない機能はありましたが、Xperiaが培ってきたカメラの操作性に1インチセンサーの画質が加わったXperia PRO-Iは、非常にポテンシャルの高いスマホだと感じました。ここまで高性能なカメラを搭載しつつ、サイズ感などをスマホとしての許容範囲に収めてきたところも、高く評価できそうです。

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