Xperia 1 III

ソニーがXperia 1 IIIXperia 10 III、さらにXperia 5 IIIを発表した。

Xperia 1 IIIはNTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、Xperia 10 IIIはNTTドコモとKDDIがそれぞれ扱う。Xperia 5 IIIの国内展開はいまのところ未定だ。

筆者は撮影のできないモデルを触りつつ、音響周りのデモを体感しただけだが、正直言って、Xperia 1 IIIが欲しくなってしまっている。

Xperia 1以降、Xperiaシリーズは方向性がブレていない。Xperia 1の直前はブレブレで見ているこっちが不安にさせられるほどだった。Xperiaはかつて「One Sony」を謳い、ソニーの技術を結集しました的なアピールをしていたのだが、どうもXperiaのチームがソニーをうまいことまとめきれておらず、「One Sony」のかけ声ばかりで、現場がうまくいっていない感が、製品にも現れているようであった。

Xperia 1以降、One Sonyとは言わないのだが、中身やメッセージがしっかりとひとつのSonyを具現化している。

日常で使える望遠カメラを追求

Xperia 1 IIIで注目しているのが、可変式望遠レンズだ。70mmと105mmの撮影が可能で、16mmの超広角と24mmの広角レンズを組み合わせることで、4つの画角を選ぶことができる。

これまでもペリスコープ(屈曲光学系カメラ)を搭載してきたスマホは数多くある。ただ、ほとんどの場合、無理やり超望遠を実現することで倍率の数を大きく見せるところが多かったように思う。最近でもズームをアピールするスマホが多いが、仮に何十倍で撮影できたところで「ガビガビの画質で使い物にならん」というものばかりだ。

Xperia 1 III
engadget

Xperia 1 IIIは可変式望遠レンズでありながら、105mmでの撮影にとどめている。いたずらに焦点距離を追うことなく、日常シーンで使いたくなる焦点距離にこだわっているのだ。

本来であれば、16mm、24mm、70mm、105mmという4つのカメラを搭載するというアプローチもできたはずだ。だが、センサーはできるだけ同じものを使った方がいい。そこでセンサーを3つにしつつ、可変式望遠レンズで2つの焦点距離を実現させたというわけだ。

可変式望遠レンズを内蔵し、バッテリーを大型化し、スピーカー部も見直しながら、本体サイズはXperia 1 IIとくらべて厚さが0.3mm増えただけだ。幅と高さがそれぞれ1mm、小さくなっているのには驚いた。実際に触ってみても、Xperiaらしさはそのままだ。

Xperia 1 III

ユーザーに指名買いされるスマホに

Xperia 1以降、ソニーは「好きを極めたい人々に想像を超えたエクスペリエンスを」というビジョンを掲げている。まさにXperia 1 IIIはその路線をさらに極めたように思う。写真、映像、ゲーム、音楽など、それぞれが好きな人には申し分のないスマホに仕上がっている。

実際、自分も5Gを極めたくてXperia Proを購入し、Xperia Proを極めたいが故にカメラをα7cに買い換えてしまったほどだ。取材で撮影することも多く、その環境を極めようとするための「道具」として選びたくなってくるのだ。

Xperia PRO

この原稿で社名をソニーと書いてきたが、実はソニーモバイルコミュニケーションズは2021年4月1日にソニーに社名変更している。

ソニーエレクトロニクス株式会社、ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ株式会社、ソニーホームエンタテインメント&サウンドプロダクツ株式会社及びソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社の4社が統合され、ソニーグループのエレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション事業を担う会社となったのだ(これまでのソニー株式会社はソニーグループ株式会社に社名変更)。

ガラケー時代はソニーであったが、2001年にエリクソンとの合弁会社であるソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズが誕生。2012年にエリクソンが持つ株式を買い取り、ソニーモバイルコミュニケーションズに生まれ変わった。そして、今年、再びソニーとひとつになったのだ。

スマホを手がける家電メーカーといえば日本でいえばシャープ、韓国ではサムスン電子とLGエレクトロニクスがある。そのLGエレクトロニクスは今年、スマホ事業から撤退する予定だ。

ソニーも販売台数的にみれば、いつ撤退してもおかしくないほど落ち込んでいたのは間違いない。しかし、Xperia 1以降、販売台数を追うことはなく、メーカーとしての個性を出し、「ユーザーに指名買いされるスマホ」になりつつある。

今後、会社としてソニーと一体化し、さらにソニーらしさを製品に詰め込むことができるか。5Gスマホも価格競争になりつつある中、歯を食いしばって、ソニーらしさを維持し続けることが、Xperiaに求められることだろう。