HDMI端子を搭載し、カメラのモニター兼ルーターとして使えるミリ波対応スマホの「Xperia PRO」は、ソニーモバイルがその名の通り、“プロ用機材”として送り出す、最上級のスマホです。発表時には、税込みで約25万円という価格も相まって、大きな話題を集めました。そんなXperia PROを、短い間ですが、実際に使ってみることができました。Engadget日本版には、すでに本機の“機材”としてのレビューは掲載されているため、ここでは、Xperia 1 IIと比較しつつ、スマホとしての実力をチェックしていきたいと思います。

Xperia PRO Junya Ishino
▲プロ用機材として開発されたXperia PRO

スマホとして見ると、Xperia PROは重量級です。それは、物理的にも、財政的にもですが、実際手に取ってみると、ズシリとした重さが伝わってきます。普段からXperia 1 IIを使っているためか、厚みも気になりました。一方で、Xperia PROは、フレームや背面が樹脂になっているため、金属とガラスのXperia 1 IIより、手に触れたときの優しさがあります。樹脂製のため、ピカピカのXperia 1 IIより指紋が付きづらく、頻繁に吹かなくてもいいので、扱いが楽だと感じました。

Xperia PRO Junya Ishino
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▲フレームや背面はXperia 1 IIなどと違い、樹脂できている。電波感度を考慮したためだ
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▲Xperia 1 IIと比較すると、存在感のある厚み

フレームの違いは、操作性にも影響を与えています。Xperia 1 IIとXperia PROは、どちらも21:9の6.5インチディスプレイを搭載していますが、Xperia PROは、その周囲を太めのフレームが取り囲む仕様。ディスプレイ自体のベゼルはどちらも同じように見えますが、Xperia PROはどちらかと言うと、フレームの中にディスプレイが埋まっているような印象です。そのぶん、全体が大きくなっているため、画面上部に指が届きにくいのは難点。操作してみると、感覚の違いに戸惑うことがありました。

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▲ディスプレイサイズやベゼル幅は同じだが、フレーム部分の厚みがあり、操作感は異なる

一方で、ミリ波に対応しているXperiaは、Xperia PROだけ。実際に、ミリ波の基地局がある都内のスポットを訪れてみましたが、確かにXperia PROはミリ波の電波をしっかりつかみました。ただし、幸か不幸か、その場所はSub-6でも5Gエリア化されていたため、通信速度はあまり差がない結果に。Sub-6エリアでの通信品質も、Xperia 1 IIと大きくは変わりませんでした。ただし、スピードテストの平均値を見ると、わずかながらXperia PROの方が高い数値が出ていたため、この点は電波の入りやすさを重視したアンテナ設計が効いている可能性がありそうです。

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▲ミリ波を受信しながら、スピードテストした。ベストな環境ではなかったためか、速度は400Mbps強
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▲Sub-6のエリアでは、Xperia 1 IIより速い900Mbps強の速度を記録した

残念ながら、現時点では、5Gエリアが限られているうえに、ミリ波となるとさらに限定的なスポットでしか使えません。エリアマップを事前に確認して、その場所に行くといった使い方が中心になります。施設によってはミリ波が入る場所もありますが、筆者の周辺では、一般のユーザーが気軽に入れる場所はほとんどありませんでした。ミリ波の場所がもっと増えないと、Xperia PROは宝の持ち腐れになってしまいかねません。キャリアのがんばりにも期待したいところです。

ミリ波に対応したことを受け、Xperia PROには、「Network Visualizer」というアプリが内蔵されています。このアプリは、ミリ波の電波をどこで受信しているかを可視化するためのものです。アンテナまでは表示されませんが、Sub-6をつかんでいることもアプリ内で分かります。他のアプリを使いながら電波状況をチェックできるよう、Network Visualizerは、ピクチャーインピクチャ—での表示にも対応しています。

Xperia PRO Junya Ishino
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▲ミリ波の受信方向まで分かるNetwork Visualizerを搭載
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▲Sub-6受信時にも、その旨が表示される

個人的には、このアプリを高く評価しています。ミリ波非対応のXperia 1 IIにも、ぜひ搭載してほしいほど。5Gを受信していることが可視化され、高速通信可能な場所が一目で分かるからです。「そんなものはアンテナピクトを見ればいいだろ」と思われるかもしれませんが、そう単純な話ではありません。NSA(ノンスタンドアローン)の5Gは、仕様上いったん4Gをつかんでから5Gに接続していますが、現状のSIMフリーXperiaでは、5Gに接続できる可能性のある4Gの基地局に接続した段階で、ピクトが5Gに切り替わってしまいます。

5Gに接続する前につながる4GのことをeLTEと呼びますが、必ずしもその周囲に5Gの電波が飛んでいるわけではありません。一言でまとめると、4Gにしか接続できない場所でも、アンテナピクトが5Gになってしまうことがあるというわけです。少々紛らわしい表示ですが、標準化された仕様の1つになっているため、受け入れざるをえないのが現状。一方で、Network Visualizerがあれば、アンテナピクトに惑わされることなく、本当に5Gをつかんでいるのかどうかが分かります。欲を言えば、どの周波数でつながっているのかまで表示できるとベターですが、第一弾としては非常にいいアプリと言えるでしょう。

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思わず力が入って長くなってしまいましたが、仕様面でのXperia 1 IIとの違いはほかにもあります。側面に搭載されたショートカットキーは、その1つ。ボタンをワンクリックするだけで、上記のNetwork Visualizerやユーザーが指定したアプリが起動して便利。同じソニーモバイルの端末では「Xperia 5 II」にも似たようなボタンがありましたが、あちらはGoogleアシスタント専用で、いまいち使いどころがありませんでした。アプリを指定できるXperia PROの方が、利用頻度は高くなりそうです。

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▲側面に搭載されたショーカットキーには、アプリを自由に割り当てることが可能だ

とは言え、キーの実装方法はもう少し考えてほしいところ。これはXperia 5 IIもそうですが、右側面がキーだらけで非常にゴチャゴチャしています。上から、音量キー、電源キー兼指紋センサー、ショートカットキー、シャッターキーと並びますが、4つもサイズや高さの違うキーがあるのはシンプルな全体のデザインと相反している印象を受けます。左右に散らせば誤操作も減るため、配置については、今後の端末で再考してほしいと感じています。

その他のスペックや機能、使い勝手はXperia 1 IIに近く、カメラは単体で使ってもキレイに撮れます。普段使いであれば、あえてαと合体させる必要なく済ませられるシーンも多いと思います。動作もサクサクで、Xperia 1 IIの完成度の高さは受け継いでいます。ストレージが512GBと大容量なのも、プロ用としてはいいと思います。Xperia 1 IIと同様、Xperia PROもデュアルSIMとmicroSDカードは排他になっているため、内蔵ストレージは多いに越したことはありません。

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▲Xperia PROで撮った写真。Photography Proを使えば、単体でもある程度凝った撮影を楽しめる

もっとも、冒頭で述べたように、このスマホはあくまでプロ用機材。機材として使わない一般のユーザーが、約25万円払って買う価値は低いと思います。ただ、Network Visualizerやショーカットキーのような機能、仕様は、今後のXperiaに生かせるはず。Xperia PROに対して集まったフィードバックは、ぜひ次機種以降のXperiaに反映させてほしいと感じました。