「カラー電子ペーパー搭載スマホ」を検証。視認性はどう?(山根博士)

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山根博士 (Yasuhiro Yamane)
山根博士 (Yasuhiro Yamane), @hkyamane
2020年08月15日, 午前 09:00 in smartphone
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アマゾンのKindleに代表される電子ペーパーの表示はテキストを読むのに最適なモノクロ表示です。しかしハイセンスが今年中国で発売したスマートフォン「A5 Pro CC」と「A5C」は同じ電子ペーパーでもカラーディスプレイを搭載しました。

モノクロ電子ペーパーでは写真や動画を表示しても見にくいものでしたが、カラーになったことで普通のスマートフォンのように使うこともできそうです。A5 Pro CCのカラー電子ペーパーの性能は実際にどうなのか試してみました。

まずはスマートフォンとしての性能をチェック。A5 Pro CCのスペックはSoCがUNISOCのT610、ディスプレイは5.84インチのカラー電子ペーパー、メモリ構成はRAM 4GB+ROM 64GBまたはRAM 6GB+RAM 128GB、カメラはリア1300画素とフロント500万画素、そしてバッテリーは4000mAhです。価格は4+64GB版が1799元(約2万7000円)、6+128GB版が1999元(約3万円)。中国では同価格帯で買える5Gスマートフォンも出ているだけに、やや割高に感じられます。

本体はプラスチック製。質感は低価格機そのものといった感じで、艶消し仕上げで安っぽさはないものの、背面はカバーを付けないとすぐに傷や汚れがついてしまいそうです。ディスプレイ保護フィルムは最近の中華スマートフォン同様に最初から貼ってあるので助かります。

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電源を入れて起動すると、やや淡い色合いのカラーアイコンがデスクトップに表示されます。カラー表示ですが、液晶や有機ELとは明らかに発色は異なります。電子「ペーパー」の名の通り、色のついた紙、という表現がぴったりかもしれません。

プリインストールアプリには中国の電子書籍サービスやオンライン学習サービスなども入っています。教育用ととしての利用も考えられているのでしょう。

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さてA5 Pro CCは中国のチップセットメーカー、UNISOCのSoCを搭載している点も特徴の1つ。UNISOCは前身が低価格タブレット向けなどのSoCを開発していたSpreadtrumであり実績のあるメーカーです。AnTuTuのスコアは16000台とSnapdragon 660クラスの数字を出しました(A5 Pro CC 6GB+128GBモデルで測定)。

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このようにスペックはミドルハイレンジクラスのA5 Pro CCですが、普通のスマートフォンとして使うのはあまり現実的ではありません。A5 Pro CCのカラー電子ペーパーディスプレイは4096色しか表示できません。また液晶や有機ELのように表示も速やかには切り替わりません。

そこでまずは電子ペーパーが得意とするテキストを表示してみました。A5 Pro CCはフロントライトを内蔵しているため電子ペーパーとは思えぬ明るさでテキストをはっきりと表示してくれます。暗いところでも十分読書できるでしょう。ただしライトの光り方にはややムラがあります。またフロントライトを消すとモノクロ電子ペーパーに近い表示となります。明るいライトの下で読書するならフロントライトがなくてもよさそうです。いずれにせよどちらの表示もバックライトを使っているのではないため目にはやさしそうです。

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このようにテキスト表示ならば十分実用的です。しかし電子ペーパーは液晶や有機ELのように1秒間に何回も表示を切り替えません。そのためテキストを表示するだけならばくっきりとした美しい表示ができるのですが、スクロールして動かすと画面書き換えが追いつきません。そこでA5 Pro CCはコンテンツによって最適な表示モードを選ぶことができるよう、以下4つの画面表示モードを備えています。

・Clear
・Balanced
・Smooth
・Speed

テキストを読む分にはどのモードでもあまり変わりはありませんが、表示画面をスワイプしてページを送るときに違いが出ます。Clearでは文字の乱れや画面の残像は気にならないものの指先の動きと画面の表示がワンテンポ遅れます。Speedにすると指先の動きに合わせて表示もそのまま動くのですが、画面に残像が残ります。

ちなみに他社のモノクロ電子ペーパータブレットでも同様の表示モード切り替えを備えているものもあります。モードの切り替えはディスプレイ最下段の右端のアイコンをタップすると、ポップアップでフロントライトと表示モードを切り替えるウィンドウが表示されます。この切り替えウィンドウはどのアプリを使っている時でも表示できます。

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さて電子ペーパーで気になるのがその残像表示です。表示画面を切り替えても、前の表示がうっすらと残ってしまうことがあるのです。例えばよく使う待ち受け画面を左にスワイプしてアプリアイコンを表示して、再び待ち受け画面に戻ると、前の画面にあったアプリアイコンの残像がしっかりと見えます。またアプリの表示によっては前の前のアプリの画面もうっすらと残ってしまうものもあります。

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残像が目立つのは特にカラーの表示の時で、設定画面やカレンダーアプリの日付などモノクロの文字やラインを表示したあとは見えません。この残像が気になる人にはカラー電子ペーパーは不向きでしょう。なお使っていて気が付いたのですが、A5 Pro CCは電源ボタンを押すとロック画面にAllways On Displayのように日時や絵が表示されます。そして再び電源ボタンを押して元の画面を表示すると残像は消えます。ロック画面に切り替わる際に画面表示を一度リフレッシュしているのかもしれません。

それではモノクロ電子ペーパー端末ではできなかったカラー表示はどの程度実用的でしょうか?まずはイラストを表示してみます。こちらがオリジナルの画像です。

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A5 Pro CCのClearモードで表示した状態を撮影してみました。液晶や有機ELほどの鮮やさはありませんが、十分見ることができます。4096色表示ならイラストや漫画などの表示はまあまあ実用性はあるといえそうです。イラスト入りのWEBページも十分見られるでしょう。

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他の3つのモードにすると若干表示がざらつきます。各モードごとの差はあまりなく、Speedモードを見てみるとドットが目立つことがわかります。イラストの表示はClearモードがよさそうです。

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次は写真を表示してみました。こちらは4つのモードを並べてみます。写真もClearモードが一番きれいに表示されます。

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風景写真も比較。同様にClearモードがきれいです。写真下部には前画面の残像も見えています。

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一方、YouTubeの以下の動画をA5 Pro CCで再生してみると、動画は全く逆の評価となりました。

Clearモードでは画面にノイズが乗って見られたものではなく、残像が動いているだけという感じ。しかしBalanced、Smooth、Speedにすると比較的スムースに表示されました。一番見やすく感じたのはSmooth。この表示モードは動画をスムースに再生するために特化したモードなのでしょう。なんとか動画を見ることはできますが、ドットの粗さも目立つため「何が動いているのかを確認する」程度の使い方になるでしょう。

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A5 Pro CCはカラー電子ペーパーの可能性を見せてくれたものの、写真や動画の表示にはまだまだ不向きでした。しかし色表示できる「紙」と考えるとイラストなどの表示にはそこそこ使えるように感じました。教科書や参考書などイラストをいれた学習向けコンテンツなどに適しているといえそうです。カラーの電子コミックとも相性は悪くなさそうですから、Kindleなど7インチクラスのカラータブレットの登場にも期待したいものです。


 
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