Zoomなどを使ったWEB会議で役立つスキル、3回目です。いろんな方とWEB会議してますが、バーチャル背景を使う方、生でご自宅大公開の方の比率は大体半分ぐらいです。自宅が広々していて観葉植物なんかあっていつも綺麗に片付いている方はそのままでも結構なんですが、後ろにベッドが映っていたり、中途半端に開いたカーテンなんかがあったりすると、見ている方は何かこう、いたたまれない気持ちになったりするものです。
自分の生活が見えていいかどうかは会議の相手次第かと思いますが、このご時世、いざという時のためにバーチャル背景が使える準備はしておいた方がいいかと思います。Zoomの場合、背景にグリーンバックを用意しなくても、バーチャル背景に差し替える機能があります。
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ただし、グリーンバックなしで背景を合成する場合は、それなりのプロセッサパワーを要します。例えばフルHD解像度でグリーンバックなしで合成する場合、以下のような条件となります。
・Intel i5 - 第5世代以降、クアッドコア以降
・Intel i7 - 第2世代以降、クアッドコア以降
・Intel i9、Xeon - 4コア以降
・その他のIntelプロセッサー - 6コア以降(atomとyシリーズを除く)
・Intel以外のプロセッサー - 8コア以降、周波数3.0GHz以降、12コア以降
その他詳しい条件は、Zoomのヘルプセンターをご覧ください。CPUの性能とかわからんという場合もあろうかと思いますが、その場合は仮に1人で会議やってみて、ビデオ設定の「背景とフィルター」で「グリーンスクリーンがあります」のチェックを外すと「コンピュータが要件を満たしていません」というダイアログが出るようなら、対応してない、ということでいいかと思います。
グリーンバックなしでの合成は手軽ではありますが、合成の精度からすればやはりグリーンバックありの合成には敵いません。Amazonでもグリーンバックは死ぬほど選択肢がありまして、スタンド付きでも数千円しかしませんので、物は試しでどれか一つ買ってみてはどうでしょうか。お気軽な製品としては、椅子の背もたれにくくりつけるものもあります。
ただ、精度良く合成するのであれば、被写体とグリーンバックの距離は1m程度は離したいところです。何故ならば、あんまり近いとグリーンバックに被写体の影が落ちるからです。グリーンバックは、なるべく均一な色と明るさであるのが理想です。また当然ですが、グリーンバックで合成する場合は、グリーンの服は避けてください。さもないと天気予報で消えるガチャピンみたいになってしまいます。
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■グリーンバックを想定したライティング
ライティングというと、昨今は自撮り用のリングライトが大小様々売られており、ライティングすれば顔色よく撮れるという知識も一般的になりつつあります。うちにも1つ2つあるよという方もいらっしゃると思いますが、WEB会議にリングライトは向きません。
リングライトは、リングの中にカメラレンズを入れることで、正面からライティングしつつ目の中にリング状のキャッチライトを入れることで「映える」写真が撮れるわけですが、あんな眩しいものを1時間2時間も見続けてたら目がやられます。あれは写真撮影のように短時間だから問題ないわけです。
一般にビデオライトと呼ばれる照明は、平型にLEDが並んでいるタイプの製品が数多くあります。昔は結構高かったんですが、白色LEDが普及したおかげで、今では1燈数千円で買えるようになりました。「ビデオライト LED」あたりで検索すればいっぱい出てくると思いますが、NEEWERあたりの製品ならそんなにハズレはないように思います。設置のためのスタンドも、カメラ用のやっすいやつでいいんでご用意ください。
ライトも高級品は色温度が設定できたりしますが、そこまでは必要ないかと思います。大抵の白色LEDは5600K(ケルビン)ぐらいでしょう。ただ、天井のシーリングライトの色が合わせられるかどうかだけご注意ください。シーリングライトは色が変えられるやつが多いと思いますが、暖色だけでなく白色に変えられるやつならOKです。
WEB会議向けのライティングとしては、正面から顔に向かって直接ビヤーッと当てると顔が平たく見えるばかりでなく、おでこや鼻先がテッカテカになりますので、お勧めできません。最も無難な方法は、間接光を使う方法です。間接照明というものはみなさんご存知かと思いますが、ライトを壁などに反射させて全体を明るくするという手法です。
ビデオライトをカメラの向こう側に設置して、壁などに向かってぶつけます。その反射光で顔を照らすわけです。距離が離れるとライティングした効果が薄れますので、その辺は実際にカメラで様子を見ながら調整してください。
壁が白ければ結構ですが、色がついていると反射光もその壁の色に向かって転んでしまいます。その場合は、白いボール紙を買ってきて貼るとか、白いカラーボードみたいなものを立てかけるとかすればいいでしょう。この機会に色々使える照明機材を揃えたいという方は、折り畳み型のレフ板を購入するという手もあります。
間接光のいい点は、光が柔らかく拡散するので、影がくっきり出るのを防止できるところです。グリーンバックにできた影もぼんやりしますので、バーチャル背景への影響が少なくなります。
■バーチャル背景の作り方
現在バーチャル背景を使っているよという方でも、背景が戦闘機のコックピットだったりイタ系ゲーム画面キャプチャだったりするのは、ビジネスとしてはちょっと厳しいものがあります。Zoomにプリセットされてる背景は何故か南国だったりオーロラだったりするわけですが、あれもセンスとしてどうなのかなと思います。やはりビジネス会議であれば、バーチャル背景もあまりとんがったものではなく、ナチュラルな感じの方がよろしいかと思います。
筆者は会議のたびに部屋の背景部分を片付けるのが面倒なので、普段からバーチャル背景を利用しています。ただその背景は「イイ感じに片付けた状態の仕事部屋の写真」なので、バーチャル背景を使っていると思われていないようです。今回は、「自宅の自然なバーチャル背景」を作っていきましょう。
1. 家庭内でバーチャル背景に使えそうな、イケてる部分を探します。どこかの壁とか角とか、奇跡的に片付いている場所がきっとあると思います。なければ一瞬だけ頑張って綺麗にします。
2. そこをバックに座ると想定して、カメラをセットします。カメラの高さは、座った時の目の高さの位置です。できればデジタル一眼で、ボケが出るカメラが望ましいです。
3. マニュアルフォーカスで近くにフォーカスを合わせ、ボケた背景を撮影します。ボケ具合の大から小まで、数パターン撮っておきます。
照明などで雰囲気をつけてもいいでしょう。なるべく明るめにしておいた方が清潔感があると思います。隣の部屋が見える場合は、暗くすると開かずの間があるみたいな感じになってしまいますので、明るめにして飛ばし気味で誤魔化しましょう。
本テクニックのポイントは、自然なボケを付けるところにあります。きっちり撮ったものをアプリでボカしても、近くはボケが弱く、遠くのものほど強くボケるという当たり前のボケ方をしないので、不自然に見えます。一方本当にボケてる背景と合成すると、ナチュラルかつ立体的な状況を演出することができます。本当に自宅なので、毎回同じ背景でも怪しまれることはありません。
WEB会議なんて顔見えりゃいんだよ、声聞こえればいんだよ、という原則論はあろうかと思います。ただ今はそういう基本的なところはクリアしちゃって、もうちょっと人間的な部分の配慮が大事な時代になってきているんじゃないでしょうか。なんだかんだ言って、清潔で明るい見た目の印象は大事なことなんじゃないかと思います。
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