Zoom
REUTERS/Albert Gea

ビデオ会議アプリ「Zoom」を運営しているZoom Video Communications Incが、プライバシーの侵害やいわゆる「Zoom爆撃」を放置していたことで起こされた集団訴訟につき、8500万ドル(約93億円)を支払う予備的和解に合意したと報じられています。

この和解が米カリフォルニア州サンノゼ連邦地裁の判事に承認された場合、集団訴訟に参加したユーザーはサブスクリプションの15%または25ドルのうち多い金の払い戻しが受けられるとのことです。

本訴訟は、Zoom社がFacebookやGoogle、LinkedInと個人データを共有し、招かれざる参加者が会議を荒らす(ポルノ映像を表示や、人種差別的な発言など)「Zoom爆撃(zoomboming)」に適切な対策をしなかったことで、ユーザーのプライバシーを侵害したとして提訴されたものです。

Zoom社がFacebookに個人データを送信していたことは2020年3月に発覚し、その直後に停止されています。またZoom爆撃についても個人会議IDにパスワードを設定可能としたほか、同年5月にはさらなるセキュリティ対策が導入済みです

さて今回の和解については、Zoom社は会議のホストやその他の参加者が会議でサードパーティ製アプリを使用した場合にユーザーに警告を発するなどのセキュリティ対策や、従業員に対してプライバシーやデータの取り扱いに関する専門的なトレーニングを提供することに合意したと発表しています。

さらにZoom社は和解に合意するにあたり、不正行為を否定するとともに「ユーザーのプライバシーとセキュリティはZoomにとって最優先事項であり、ユーザーからの信頼を真摯に受け止めています」との声明を出しています。

Zoomのユーザー数は、新型コロナが感染拡大してリモートワークが根づいてからは凄まじい伸びを示しています。2019年12月時点では1日当たりのミーティング参加者数は1000万人だったところ、2020年4月には3億人に上ったと報告されていました

ただし記事執筆時点でのZoom社は、より多くの人がワクチンを接種して職場や学校に戻るようになると、ユーザー数の伸びが鈍化または減少する可能性があると述べています。

新型コロナ禍のもとでは、中小規模のスタートアップが急速な成長を遂げる例が増えています。が、個人情報への配慮やセキュリティ対策がそれに追いつかず、悪意あるハッカー達の標的となり、結果的に顧客のプライバシーが侵害されることが珍しくありません。今回の訴訟は、そうしたプライバシー対策を後回しにしやすい企業に対しての警鐘となりそうです。

Source:Reuters