Zuckerberg
Erin Scott / Reuters

米Facebook社は2021年第3四半期決算を発表しましたが、その説明会の冒頭でマーク・ザッカーバーグCEOがアップルの新たなプライバシー保護対策がFacebookとそのビジネスに「悪影響を与えている」と主張したことが報じられています。

アップルはiOS 14.5以降でアプリトラッキング透明性(App Tracking Transparency/ATT)すなわちすなわち「アプリが異なるWebやアプリをまたいでユーザーを追跡する際には、明示的な許可を得なければならない」ルールを導入しています。

これを境にしてユーザーは追跡をオプトアウト(拒否)しやすくなり、実際に導入直後には許可するユーザーはわずか25%しかいないとの調査データも出ていました。そのためユーザー追跡を元にクライアントの売上数を把握して効果を測っていたFacebookの広告は大打撃を受けており、広告業界はパニックに陥っているとの報道もあったほどです。

そのATTが実施される数か月前から、Facebookはアップルを批判するキャンペーンを展開。たとえば米大手新聞に全面広告を出してトラッキング追跡制限を攻撃したり、ネット広告ビジネスがiOS 14.5のプライバシー保護により「攻撃を受けている」と主張したりと論陣を張ってきましたが、アップルは予定通りにATTを導入。それ以降はユーザーに対して「よりよい広告体験のため」として追跡許可を訴えかけたこともありました。

さて最新の業績説明会では、ザッカーバーグCEOは第3四半期の成長率が予想を下回った原因の中には「アップル社の変更によるものも含まれています」と主張。そうした追跡制限は(新型コロナ禍のもと)経済的に困難な状況にある何百万もの中小企業にも悪影響を与えるとしつつ、「時間をかけてこれらの逆風を乗り切れると期待しています」と述べています。

ザッカーバーグ氏は最終的にはFacebookがATTで得をすると発言したことがあり、今回もその考えを繰り返しています。

ザッカーバーグ氏いわく、アップルのルール変更は「Web上でのeコマースや顧客獲得の効果を低下させている」とのことです。しかしFacebookはその効果の低下から利益を得られる、なぜなら「企業が当社のアプリ内ですぐに店舗を開設できるソリューションはますます魅力的になるでしょう」と付け加えています。

つまりFacebookアプリ内ならば追跡制限の影響もなく、中小企業はFacebookがアプリ内で集めた顧客のデータを自由に使えるため、外部に広告を出すよりも商売しやすい(Facebookに使用料を払いつつ)というわけです。

アップルのティム・クックCEOとザッカーバーグ氏は個人情報の扱いを巡って対立していることが知られています。Facebookの広告を利用したCambridge Analyticaのスキャンダルに対して、クック氏はFacebookが顧客を商品として扱っていると批判。これを個人的な侮辱のようにとらえたザッカーバーグ氏が「痛い目に遭わせてやる」と社内で漏らしていたことや、クック氏がFacebookの集めた個人情報を削除するよう勧めたことをザッカーバーグ氏が無視した噂などが伝えられてきました。

もしもザッカーバーグ氏の目論見通りにFacebookの業績がATTにより大きな成長を遂げれば、クック氏はどのようなコメントをするのか。またザッカーバーグ氏もアップルに感謝してクック氏との関係を修復するのか、今後の展開を見守りたいところです。

Source:MacRumors