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シャオミ製ノートPCが世界展開しないと考える3つの理由:山根博士の海外スマホよもやま話

山根博士(Yasuhiro Yamane) , @hkyamane
2016年8月12日, 午後05:00 in China
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スマートフォン市場にすい星のごとく現れ、あっという間に世界のトップメーカーの仲間入りを果たした中国のシャオミ(小米、Xiaomi)。そのシャオミが今度はノートPC「Mi Notebook Air」を発表した。アップルのMacBook Airをかなり意識したこの製品で、シャオミはノートPC市場へも本格的な参入を図ろうとしているのだろうか?

筆者はそうではなく、グローバル展開は当面ないと考えている。そう考える根拠となる3つの理由とともに紹介したい。

まずは、近年のシャオミの動向を振り返ってみたい。
順調に販売数を伸ばしてきたシャオミのスマートフォン事業は、ここ1、2年で急ブレーキがかかっている。一時は世界シェアの3位にまで食い込んだ同社のスマートフォン販売台数も、今ではファーウェイ、オッポ(OPPO)の後塵を拝するなど、一時の勢いは全く感じられない。

シャオミは母国である中国でも、最後にシェア1位に立ったのは2年前のことであり、今やシャオミの代わりに1位となったファーウェイとの販売台数の差は倍以上に広がっている。先進国でも着々とスマートフォン販売台数を増やしているファーウェイは、今や「中国スマートフォンメーカーの顔」の座をシャオミから完全に奪い取ってしまった。

▲2016年になるとオッポもシャオミを抜き去った。シャオミの勢いは完全に止まっている


販売の伸び悩みに直面したシャオミは、スマートフォン以外の製品を急激に拡充している。中でもスマートフォンと連携できる家電は毎月のように新製品を出しており、空気清浄機から炊飯器まで、日常的に使う家電のほぼ全てをシャオミの製品で揃えることができるほどだ。

また一方では他社への出資も強化しており、あの二輪型自走電動車のセグウェイを買収したナインボットや、中国家電大手のマイディア(美的)など、スマート家電関連会社との関係を強化している。ちなみにこのマイディアが、東芝の白物家電を傘下に収めたことは記憶に新しい。


▲ナインボットの二輪自走電動車は中国でも売れ行きが好調だ


他にも2013年からはスマートTV市場に参入し「低価格、高品質」という、スマートフォンと同じ手法で着々と販売数を伸ばしている。モデルによっては同じサイズの他社品を押さえて中国国内で販売数1位になるなど、参入からわずか3年でメジャーメーカーの仲間入りを果たした。

このTV事業はスマートフォンと同じメインストリームのビジネスだが、今回発表された「Mi Notebook Air」も同列の主力事業とされる製品だ。これらに対してスマート家電は、このTVやスマートフォンと接続して使うサブストリームの製品という位置づけに分かれている。


▲高いコストパフォーマンスでメジャー製品になりつつあるシャオミのTV


それではこの「Mi Notebook Air」もスマートフォンやTV同様、低価格を武器にグローバルのPC市場でシェアを奪おうと本気で考えている製品なのだろうか? 筆者は3つの理由から、シャオミのノートPCは中国だけをターゲットにした、限定的な市場を狙った製品になると考えている。

1.アップルを強く意識しすぎたデザイン


「Mi Notebook Air」は、その発表会で常にMacBook Airを比較対象にしていた。そしてそのデザインも、MacBook Airをかなり意識したものになっている。

なにかとアップルと比較されることの多いシャオミだが、スマートフォンでアップルを意識したのは製品の見せ方ぐらいであり、それ以外の面ではアップルとは真逆を向いた路線を走ってきた。

たとえば最新のスマートフォン「Mi 5」のデザインはどう見てもGalaxyであり、iPhoneとは似ても似つかない。シャオミのスマートフォンが売れたのは驚異的なコストパフォーマンスの高さを持っていたからであり、iPhoneのコピーを作ってきたからではない。


▲Mi 5の外観はどうみてもiPhoneではなくGalaxyに近い


しかしそのシャオミが今回あからさまにアップルを意識した製品を作ったということは、今度ばかりは手っ取り早くユーザーへの認知を広めたい、という焦りの現れと見ることができる。

シャオミのスマートフォンは他社との比較をわざわざしなくとも、性能の高さと価格の低さで消費者の注目を集めることができた。だがMi Notebook Airは他社のノートPCと比べ圧倒的なコストパフォーマンスを持っているわけではない。MacBook Airというライバル製品と比較してこそ、製品のアピールが成り立つのである。

それが出来るのも中国ではシャオミの知名度が高いからであり、他の国ではノートPCを買おうと考える消費者があえて無名メーカーの製品を買うことはしないだろう。

2.「Mi」ロゴの無い天板


ノートPCの天板部分といえば、各社が自社ロゴをデザイン良くレイアウトする、製品の「顔」とも言える部分である。ところがMi Notebook Airはこの天板の位置に同社のロゴを配置せず、無地のままのデザインとしている。

シャオミによると、天板部分にはユーザーがステッカーなどを貼って自由にカスタマイズを行えるようにしたとのことだ。たしかに多くのノートPCユーザーが天板に好みのステッカーを張って思い思いのデザインにしている。
しかしシャオミのこの説明にはどうも疑問が残る。そもそも誰もが天板にステッカーを貼るわけではない。また隅に小さいロゴをいれるだけでも、十分シャオミの製品であることをアピールできるはずだ。

天板へのロゴの廃止は、恐らくコストを計算しての結果だろうか。MacBookのようにカッコ良く光るロゴを入れればそれだけでもコストはかなり上がってしまう。またMi Notebook Airを見栄えよくするデザインを考える時間も無かったのかもしれない。

中途半端にロゴを入れるくらいなら、むしろ無くしてもいいだろう、そう判断して今回の製品デザインが出来上がったと考えるのが妥当だろうか。



▲ロゴなどのいっさい無い天板。デザインよりもコスト重視と考えられる


そもそもMi Notebook Airはシャオミのオンラインストア、または中国全土に展開する実店舗(小米之家)のみで販売される予定だ。そして家電量販店で売らないのであれば、自社ロゴを入れて他社品との区別を図る必要も無い。つまり自社店舗の無い中国外では売る考えは無いということなのだろう。

もちろん海外のオンラインストアで売ることもできるだろうが、圧倒的な知名度を誇る中国ならまだしも、認知度の低い同社のノートPCをネットで値段だけ見て買う一般消費者の数は多くないはずだ。国際展開を図るならば同社の「Mi」のロゴ無しの製品はあり得ないと考えられる。

3.ノートPCは販売後の手間がかかる


ノートPCは販売後もユーザーサポートが必要となる製品だ。スマートフォンならばインストールするアプリは基本的にはストアのみからであるし、接続する周辺機器の種類もそう多くはない。また多少ラフに扱って落としてしまっても意外と壊れないものだ。

一方、可動部分の多いノートPCは、ハードウェアの故障が起こる可能性がスマートフォンよりも格段に高い。アプリのインストールや動作の問題も起こるだろうし、OSのアップデートに伴う動作不良も想定される。

それらに対してユーザーサポートを行うためには、電話やメール対応だけではなく修理品を持ち込むサポートセンターの設置も必要となる。スマートフォンを売るのに対し、ノートPCの販売は大きなコストがかかる。そこまでのコストをかけてMi Notebook Airを国際展開し、PC市場でシェアを高めても、シャオミにとっては割に合わないだろう。


▲中国各都市で展開する小米之家。ノートPCを売るなら海外にも実店舗が必要だ


Mi Notebook Airは中国市場向けに発表会が行われたにも関わらず、世界中のメディアから大きな注目を集める製品となった。シャオミのIT製品が大々的に報道されるのは久しぶりのことであり、それだけでもシャオミにとっては大きなメリットだっただろう。
シャオミの勢いが止まった2015年以降、海外メディアが同社を取り上げる機会は急減しているからだ。

発表会でCEOの雷軍(レイ・ジュン)氏がリップサービスとばかりに海外展開の話に含みを持たせれば、Mi Notebook Airはより注目を集めたかもしれない。しかし今のシャオミのリソースを考えれば、Mi Notebook Airは中国国内でシャオミのブランドを高める役割をするだけでも十分な製品なのだ。世界のノートPC市場でシャオミが旋風を巻き起こす日は、まだ当分やってくることはないだろう。

関連キーワード: china, Mi Note Air, MiNoteAir, XIAOMI, Xiaomi Mi Note
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