アップル App Store 審査ガイドライン:「一線」を越えたアプリは却下します。

アップルはサードパーティー開発ツールの解禁を含む iOS 開発者規約の変更と同時に、「App Store 審査ガイドライン」を初めて公開しました。開店から2年以上経ってもガイドラインが非公開だったのも考えてみればすごい話ですが、内容のほうも実に興味深いものになっています。
ガイドラインの体裁は簡潔な序文と大原則6カ条を述べたのち、「2. 機能」や「10. ユーザーインターフェース」、あるいは「19. 宗教・文化・ エスニシティ」など21の項目に渡って平易な文章で方針を述べたもの。各項は2 ~ 20の細目からなり、多くは「2.1 クラッシュするアプリは却下される」のようにもっともな内容ですが、「2.11 すでにApp Storeに存在するアプリと(機能が) 似通ったアプリは却下される可能性がある。特に多数の場合 」のように、意図は理解できても運用の柔軟性が心配なもの、議論を呼びそうなものも多数含まれています。
まず序文でおもしろいのは、アップルがオンラインストアで販売する商品のうち、音楽・書籍のように「監督」しないコンテンツとアプリでは扱いが異なると述べる部分。引用すると「宗教批判をしたいなら本を書けばいい。セックスについて描写したいなら本や歌にするか、さもなければ医療系アプリを作ること」。つまり書籍や歌詞では流通を許される主題や表現であっても、アプリという手段で表現することは禁止という姿勢です。続く「落とされるかもしれない場合」の原則を参考程度に訳せば:
・大勢の子供が多数のアプリをダウンロードしている一方で、ペアレンタルコントロールは保護者が設定しないかぎり機能しない (設定しない保護者が多い)。よって、われわれ(アップル)が子供に配慮していることを理解すること。
・App Storeにはすでに25万を超えるアプリがある。これ以上の「屁」アプリは不要。なんの役にも立たないアプリ、なんらかの持続するエンターテインメントを提供できないアプリは却下される可能性がある。
・数日でやっつけたようにみえるアプリや、はじめての習作を App Storeに並べて友達に自慢したいなら、却下される覚悟をすること。高品質のアプリが素人の手習いに紛れることを望まない真剣な開発者は大勢いる。
・コンテンツであれ動作であれ、一線を越えたとわれわれが判断したアプリは却下する。「一線とは何か?」と尋ねるなら、ある最高裁判事がかつて述べたように、「見たときにそれと分かる」( I'll know it when I see it.)。開発者自身にも、一線を越えたことは分かるはずだと考えている。
・アプリが却下された場合、再審査を要求できる審査委員会がある。報道機関に駆け込んでわれわれを中傷しても決して良いようにはならない。
・このガイドラインは生きた文書であり、新しいアプリの新たな設問がいつでも新ルールにつながる可能性がある。あなたのアプリがそのきっかけになるかもしれない。
続きには、とくに目を引いた条項をいくつか抜き書きしています。
App Store Review Guidelines (※PDF) (いずれも解説目的の参考訳・抄訳です。アップルの解釈と一致するとはかぎりません)
「2. 機能」 からはたとえば:
2.4 アプリ説明と一貫しない隠し機能を備えたアプリは却下。
(「ライトに見せかけてテザリング」はもちろん、アプリの趣旨と離れたイースターエッグも。)
2.9 「ベータ」「デモ」「トライアル」「テスト」バージョンは却下。
( 無料版であっても「Lite」なりなんなりと名付けて独立させる?)
2.11 すでにApp Store にあるアプリと(機能が) 同じアプリは却下される可能性がある。特に多数存在している場合。
(なんの違いもないアプリが多数並ぶのを阻止するのは妥当。しかしほとんど機能かぶりでそっくり、でも使い勝手や感触が違うアプリの扱いが謎。写真アプリやらTwitterクライアントなど。ルールにしては運用がかなり柔軟)
2.13 広告やマーケティング素材が主のアプリは却下。
2.17 ウェブをブラウズするアプリは iOS の WebKit フレームワークおよび WebKit の JavaScript を使わなければならない。
(Safari よりレンダリングもJSも速くて規格により準拠している代替ブラウザが人気!といった事態は iOSではありえない)。
「3. メタデータ (名称、説明、レーティング、ランキング etc)」からは:
3.1 メタデータで iOS以外のモバイルプラットフォームの名称に言及するアプリは却下。
(Androidマーケットで人気、やらWindows Phone 7 版もあります、を阻止したい?。「Androidの xx 機能を再現」であったり xx 風であったり、互換性で便利なアプリの扱いは謎。 )
3.10 偽レビューや金で書かせたレビュー、そのほか不適切な手段によって、ユーザーレビューやApp Store のチャートランキングを不正に操作したり騙そうとした開発者は iOS 開発者プログラムから除外される。
「6. Game Center」
6.3 (大意:プレーヤーIDやニックネームなどGame Center のデータを、逆引きしたり別のデータと関連づけたり、追跡やマイニングほかをした場合は開発者プログラムから除外)
(Xbox LIVEで多数存在しているようなサードパーティーツール / サービスを作る際には、Game Center 規約の範囲内で可能かどうかよほど気をつける必要がありそう。)
「8. 商標」
8.4 アップル製品の綴り違いを名称に含むアプリは却下 (例:GPS for Iphone, iTunez)
(1337話者は注意。)
「9. メディアコンテンツ」
9.2 iPod (種類問わず) のインターフェースを真似たユーザーインターフェースのアプリは却下。
(このほか、iPodのメディアライブラリにアクセスすることはできるものの、代替プレーヤを作る自由度はかなり制限されそう。)
9.3 (大意:携帯電話ネットワークで音声ストリーミングをする場合は5分間で5MBまで。)
「10. ユーザーインターフェース」
10.4 代替デスクトップ / ホーム画面環境を作るアプリ、マルチアプリウィジェットをシミュレートするようなアプリは却下。
( iOS なのでそれまでとはいえ、ほかのモバイルプラットフォームで良くあったような「ちょっと改良したホーム画面」などは不可)。
「16. 不快なコンテンツ」や「14. 個人攻撃」、「18. ポルノグラフィ」など面白そうなところは後半に続きます。


























Reader Comments (Page 1 of 1)
FT @ Sep 10th 2010 1:22AM
これは何かの自爆なのか?
開発者離れをよほど加速させたいらしい!
ポルノ排除はわかるが、それ以外のは開発者をないがしろにしすぎている。
ここまでソフトのアップの自由が無いストアなんか開発者にそっぽ向かれる。
そのうち盛者必衰を思い知る事になるだろう。衰えた後に泣いても開発者は帰ってはこない。
dosc @ Sep 12th 2010 12:03PM
開発者が世界人口の大半を占めるの?
アップルのカスタマーの多くは、ここにコメントするようなオタクじゃないよ。
TK @ Sep 10th 2010 2:31AM
日本だったら「公序良俗に反する」云々で済むに条項が多いですね
公序良俗って概念がアメリカにはないのかなあ
YuK @ Sep 13th 2010 12:09AM
開発者向けのドキュメントじゃないからでしょ。
「公序良俗に反する」の一言じゃ審査する人によってレベルがずいぶん
違っちゃうじゃない。それをできるだけ統一するためのドキュメントが
公開されただけの話だから
say @ Sep 10th 2010 7:43AM
不正なアプリを却下するのは良いけど、100%確実に却下できない(見落としがある)点に、ユーザーは留意する必要があるよね。
そして大量にある既存のものに埋もれるような掲載をしているのはApple自身なんだよね。
単なるランキングで少数しか見えず、他はその他扱いにならざるを得ない。
カテゴリが荒いし、本は言語別のフィルタもない。
往年のベストセラー的アプリと最近のベストセラー、2007年ベスト、2008年ベスト、2009年ベスト、それらの年で一時流行ったものといった、年度別紹介を組み合わせるだけでも随分違うのに、単純化しすぎ。
かつて人気があったものの、購入需要が一時衰退してランク外に落ちただけで後にそれより劣るアプリが登場したりする。
FlyToTheMoonster @ Sep 10th 2010 9:41AM
ま、AppStore は直に大規模なUIのブラッシュアップあるでしょ。いくら何でも。