「いつもの四半期決算説明で出荷台数や財務の話を聞こうと思ったら突如ジョブズが現れて演説」の続き。iPhone / iOS と Android陣営との競争について、「オープン対クローズド」ではなく「分断 対 統合」、統合が常に勝つとの主張に続いて、ようやく他社からライバル製品が登場してきたタブレット市場を語ります。中身は意外にも、タブレットらしいアプリに最低限必要なサイズは10インチ、よって他社の7インチ製品は「発売された時点で死んでいる (DOA)」と断言する内容。うわさされてきた7型 iPadの可能性を (いまのところ) 完全否定しています。「7インチを売るなら紙ヤスリも同梱しないと無意味。ユーザーが指を1/4サイズに削れるように」。実際の発言抄訳と質疑応答、音声ファイルは続きへどうぞ。

ジョブズ:タブレットの大量登場について。まず、考慮に値する競争相手はごくわずかしかいない。そのすべてが7インチ画面だ。このサイズは優れたタブレットアプリを開発するには不十分。

7インチのタブレットは紙ヤスリも同梱しないと使い物にならない。ユーザーが指を1 / 4 サイズに削って操作できるように。アップルは広範なテストの結果、タブレットの最低サイズは10インチという結論に達した。

タブレットユーザーのポケットにはすでにスマートフォンがあることを考えれば、タブレットの画面サイズで妥協する意味がない。7型タブレットは中途半端。携帯としては大きすぎ、iPadと競争するには小さすぎる。

Googleでさえ、タブレットメーカーに Froyo (Android 2.2) は使うなと言っている (※)。ソフトウェアを提供する企業がうちのソフトは使うなというのはどんな状況だ?

(※ Googleのモバイル製品ディレクター Hugo Barra 氏の発言では「Froyoはタブレットに最適化されていない」)

競合製品の価格もそれを証明している。今期の7インチ タブレット製品は登場時から死に体になると予測している理由がこれだ。愉快でたまらないことになるだろう。


続いて質疑応答から、主にジョブズに対する質問を抜粋。(全体が気になる場合は下のリンクを参照):

iPad の供給について。改善の見込みは。

Tim (Cook):9月にはバランスのとれた状況になった。四半期をホリデーシーズンの計画を立てられる形で終えることができた。


iPadの将来について。

ジョブズ:iPadのノートへの影響は明確。すでに問題はノートを超えるかどうかではなく、いつそうなるかであることを iPadは証明したと考えている。今後も多くの進歩と展開があるだろうが、すでに教育分野から多大な関心を寄せられている。また驚いたことに、ビジネス分野からも興味を持たれている。まだビジネス用途にはプッシュしていないのに、われわれの手からもぎ取られてゆくような状態。企業の役員から医者、看護師まで、iPadを仕事に使っているという人々と毎日話をしている。時が経つほど、とんでもないものの尻尾を掴んだと確信できるようになった。何千万もの人々がすでに iPhone を使い慣れており、それは iPadでも通用する。「いつになるか」はまだ分からないが、すでに始まっている。ご存じのとおり、iPadの発売から数四半期しか経っていないのに、出荷台数はもうMacを超えている。


Flashについての立場になにか変化は?

ジョブズ:フラッシュメモリ?フラッシュメモリなら大好きだね (笑う)。
Tim Cook:iPhone 4については非常に高い需要を予測していたが、実際にはそれすら超えている (Flashには対応しないにもかかわらず)。

タブレットについて。法人向けスマートフォンではRIMの独占に挑戦したが、タブレット分野でのアプローチは。
ジョブズ:どんな意味の戦略の話をしているのかよく分からないが、価格についていえば、われわれよりはるかに限られた機能しかない製品でも、iPadの価格になかなか対抗できていない。Flashの有無はなんの問題にもなっていないし、iTunes Storeと3万5000の iPad アプリの存在は大きな優位。競争相手にとっては今ですら対抗しがたいが、われわれはまだやりつくしていない。この分野は勝つつもりで勝負している。

スマートフォン (市場) はゼロサムゲームか?

周知のように、スマートフォンは現在の世界の携帯電話市場で最大のシェアを持っているわけではない。今後数年に渡って非スマートフォンからスマートフォンへの移行が続くに従ってパイも大きくなり、いくつかの企業が参加できるだろう。その後しばらくしてからゼロサムゲームになる。しかし現時点での競争は開発者とマインドシェアを巡るもので、現時点では iPhone と Android が勝者といえる。

利益について。
Peter (Oppenheimer):さまざまな要素を勘案して、iPodではたしかにやや低下している。これは新モデルと iPadの売上による。

Apple TVについて。HDDを取り除いて、ストリーミングモデルに移行したが。
ジョブズ:未発表の製品については話せないが、Apple TVについてはストリーミングに移行した。完全なストリーミングモデルで、すべてのコンテンツは iTunes Storeからレンタルか、あるいはPCから、近いうちには iPhone や iPad からも AirPlayでストリーミングされる。Apple TVといえば、すでに25万台以上を出荷した。とても嬉しく思っている。優れた製品であり、AirPlayが提供されればまた新たな購入理由ができる。

利益率の低下に iPhone とBumper プログラムはどの程度関係しているのか。

Peter:Bumperプログラムに要したのは1億ドルを多少超えるくらい。次の四半期にはさらに出荷する。

では、もっともマージンが落ちたセグメントは iPhone と考えていいのか。

Peter :予想外ではない。かなり積極的な価格設定の iPadがそれ以上に売れていることもある。Bumperやそのほかの要素もある。しかし予想よりは改善できた。

アップルのモバイル機器を合計すれば、Android の出荷台数をいずれ超えられるのか。最大のリスクは。
ジョブズ:われわれの目的は世界で最高の製品を作ることであって、最大の出荷台数ではない。ご存じのように、最大はノキアだ。ノキアが可能なかぎりの携帯を出荷していることには敬意を払う。しかし、アップルはノキアになりたいわけではない。われわれはわれわれらしくありたい、最高の製品を作りたいと考えている。

いずれ Androidの出荷台数については分かるだろうし、長い期間に渡って競争になると考えている。だが、Googleとアップルの取り組み方は異なっている。われわれのアプローチはただ使える製品を作ること。

iPhone / iPadの展望について。Macでは高いマーケットシェアが目標ではないと語っていたが、iPodでは圧倒的だった。iPhone は iPodのようになるのか? 一方で、ノキアのようになることは望んでいない、良い携帯を作りたいだけとも言う。どう考えればよいのか。

ジョブズ:まず、ノキアは50ドルの携帯も売っている。われわれはまだ50ドルで作るやりかたが分かるほど賢くはない。分かったらお伝えする。われわれの目標は、すべての分野で最高の製品を作りつつ、同時にコストを下げてゆくこと。iPodではそれを実行した。競合を退けることができたのは、容赦ない改善とより低い価格のため。携帯電話でのシェアは非常に低く全体からみれば1桁である一方、iPadについては先行したために高いシェアになっている。しかし、われわれがこの状態を目指したわけではない。

7インチのタブレットを作らないのはコストが理由ではなく、望まれるようなソフトウェアには大きさが足りないため。ソフトウェア企業として、開発者からすればさまざまな画面サイズがあるのは対応しづらいことが分かっている。目指すのはただ、最高の製品を最良の価格で作ること。iPodでおこなったように、iPadでも実行する。

では、(タブレット)市場がより低価格に動いて、その価格では(アップルの目指すような) 製品が作れなくなったら、マーケットシェアを諦めるのか。

ジョブズ:その考え方はおかしい。ソフトウェアについて分かっていないハードウェアメーカーのような考え方をしている。価格を下げるために、遅いプロセッサやメモリを減らしたり。それではほとんどの開発者はついてこない。一度書いたアプリにもう一度手間をかけて、劣化したバージョンを作るのはいやだというだろう。50ドルの携帯を作ったからソフトを書いてくれとせがんだところで。

キッャシュはどう使う気なのか。株主に還元することにもっとオープンではないのはなぜか。

今後ひとつ以上の戦略的機会が巡ってくることを予測している。キャッシュの用途については真剣に責任をもっており、焦って使おうとはしていない。無駄な買収はしない。

マーケティングと営業について。
Peter :Fortune 100企業のうち約 2/ 3がiPadを導入しているか、試験している。これほどの普及は見たことがない。また、伝統的に動きが遅い K12 (基礎教育)分野でも興味深い反応がある。こうしたことから初期の数字は非常にいいと見ている。

Tim:法人分野は軽々しく見ていない。iOSにはエンタープライズ向け機能を組み込んでいる。iPhone も iPadも、非常に大きな機会があることは明白。「選択の機会がある場合、人はMacを選ぶ」。

各セグメントのマージンについて詳しく。
Peter: 個々の利益率については詳しく話せないが、つねにコストを下げる努力はしている。現在の数字には満足しており、予測の先を行っている。次の四半期にはさらにもう少し下がると見ている。

iPhoneの販路を拡大するにあたって、販売助成金を出せというプレッシャーはあるか。
Tim:プレッシャーがあるのは供給について。ビジネス相手はだれもがもっと出荷してくれと求めてくる。プレッシャーを感じているのはその点。年内には89か国でiPhone 4を販売する。

iPadの価格に競争相手は対抗できないという。そのような優位の理由は。

ジョブズ:理由のひとつは、非常に多くの部分をわれわれ自身で開発していること。A4チップをはじめ、バッテリーの化学組成からそのほかまで内製している。iPodから非常に多くのことを学んだ。また、われわれは非常に規模の大きなコンシューマーエレクトロニクス製品メーカーでもある。(価格での優位は) 過去10年間にわたり鍛えてきたことの結果。


ジョブズ、タブレットの将来を語る:最低でも10型必要、7型はすでに死んでいる
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