米国の研究者チームが、指を使わずにさまざまな形状の物体を掴めるロボットハンドを開発しました。人間はほとんど無意識にさまざまなものを持つことができますが、人の手をモデルにした従来のロボットハンドではあらかじめ掴む対象のサイズや形状に応じた指の設計が必要であったり、落とさず潰さない程度の力を加えるためのフォースフィードバック機構、複数の指と関節の動きを管理するソフトウェアなど難しい課題があります。

シカゴ大・コーネル大と iRobot の研究者が開発したのは、指のない球状でありつつ、ネジのように非常に小さなものから金属製サスペンションのように複雑で重いもの、さらには生卵まで掴んで保持することができる「ユニバーサル・グリッパー」。続きに掲載した動画では、丸い手を押しつけてあらゆるものを持ち上げたり、水の入ったグラスを持って注ぐ、ペンを掴んで文字を書くことまで実演しています。

このロボ手の構造はゴム風船に挽いたコーヒー豆を詰めて真空ポンプにつないだだけ。粒がバラバラに動けるときは全体として流体のように、「詰まって」動けなくなったときは固体のようにふるまう粉粒体の性質 (Jamming Transition) に基づいており、まず柔らかい状態で押しつけて、物体のかたちにそって変形したところで空気を吸い出して固形化することで物を掴みます。論文のタイトルは「Universal robotic gripper based on the jamming of granular material」、粉粒体のジャミング(詰まり)現象に基づく汎用ロボット把持装置。

利点はあらかじめ学習しなくてもさまざまな形状の物体を掴めること、面で押さえるため生卵のような脆いものも扱えること。真空ポンプを使ってはいるものの直接ポンプの力で吸い付けているのではなく、「手」のなかの粒子のすき間を詰めて(jam) 固形化させることで対象を掴んでいます (ただ、物体のかたちにぴったりそうことで吸盤とおなじ効果もある)。応用例は「いろいろな形のものを持ち上げるロボット全般」。DARPAから研究予算を得ているためか、具体的には軍用ロボットや手製爆弾 (IED) 除去ロボットなどが挙げられています。かの国民的猫型ロボットの手は数世代に渡って「あれでどうやって物を掴んでるの?」という疑問を呼んできましたが( 設定では「ものを吸い付ける未知の力が働いているから」)、将来の子供たちはドラえもんの手になんの疑問も持たなくなるかもしれません。

Universal Robot Gripper

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