New Scientist の特集「マインドコントロール」より。人間の脳機能を外部から操作する手法のひとつとして、強力な電磁石を頭に近づけ脳内の特定部分に微弱な電流を流す TMS ( transcranial magnetic stimulation , 経頭蓋磁気刺激法) が採りあげられています。動画はいかにも頭の実験向きな容姿の英国人編集者が体験してみた様子。カチカチというパルスと同時に映像が乱れているのは後付けの特殊効果ではなく、磁力で撮影機材が影響を受けるため。
マザーグースの一節を朗読しているとき急に言葉がでなくなるのは、いわゆる電気ショックのイメージもありそれほど驚きでもありません。しかし喋れなくても歌うことはできるのは、「脳内で担当する部分が違うため」と知識で分かっていてもやはり刺激的です。みずからも眉をピクピクさせているUCL の認知神経科学者 Vincent Walsh 氏によれば、TMSは比較的古くから研究されている手法であり、偏頭痛や重症の鬱治療に応用されているとのこと。なお、TMSは英国アクセントでなくても (頭髪がフサフサでも) 有効な技術。「最新の脳機能マッピング技術により英国人がマザーグースを歌うときだけ使われる脳の部分が判明した」ニュースではありません。念のため。