撮った後でピント合わせできるカメラで話題になった Lytro が、ライトフィールドカメラの新製品 Lytro ILLUM を発表しました。第一世代のLytroカメラが小さな角柱形でカジュアルな製品だったのに対して、第二世代の ILLUM は伝統的なカメラに近い形状で本格的な撮影機能を備えます。

初代がノベルティ扱いされる理由だった解像度の低さは約四倍の40メガレイ(光線)センサを採用して克服するなど、光学系は大幅にパワーアップしています。また演算力がモノを言うComputational Photography 世代のカメラとして、最新鋭スマートフォンやタブレットと同じQualcomm Snapdragon 801を搭載。レンズは30mm - 250mm 光学8倍ズーム、全域でF値2.0。

Lytro ILLUM ライトフィールドカメラ実機

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8 枚


Lytro ILLUMカメラ(商品画像)

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8 枚




メーカー Lytro は、レンズに入る光線の向きまで記録する Light Field (光照射野) 写真技術を商用化する米国のスタートアップ企業。スタンフォード大の研究者 Ren Ng氏が中心となって2009年に創業したのち、2012年に第一世代のLytroカメラを発売しました。

従来のカメラが特定の被写界深度とフォーカスで一枚の画を切り取るとすれば、ライトフィールドカメラはレンズに入る光の束を方向まで含めてまるごと記録します。そこから演算処理により、後から任意の場所(距離)にフォーカスを合わせたり、立体写真や視差効果のある「生きた写真」が得られることが特徴です。

といった説明よりも、まずは下に貼り付けた触れるサンプル集を御覧ください。


操作は任意の点をタップ/クリックして再フォーカス、ドラッグしてPerspective Shift (視点ずらし)、ダブルクリックでズーム。下の矢印で何枚も辿れます。

自動車の運転席の女性をなめてフロントガラスとバックミラーを撮影した一枚では、前景の女性にフォーカスすれば髪の質感が分かり、ミラーのなかの顔にフォーカスすれば瞳のハイライトすらくっきりと写ります。

ほかのサンプルも含めて画面内をタップして遊んでみると、単純に前景と背景の二枚や前中後の三枚があるのではなく、またパンフォーカスから擬似的にぼかしているわけでもなく、滑らかに任意の場所にフォーカスできることが分かります。



第二世代 Lytro カメラ ILLUM の主な仕様は、30mm 〜 250mm 光学8倍ズームレンズ、全域f/2.0、0mm〜 、4000万「レイ」センサ、1/4000秒で撮れるメカニカルシャッターなど。第一世代の Lyrto カメラは11Mレイセンサーを載せていました。レンズを含むカメラ全体の重量は約1.5ポンド(約680g)程度。



ILLUMのレンズが軽く小型である理由についてLytroでは、従来のカメラはさまざまな歪みを補正するために多数のレンズを必要としていたのに対して、Lytroではセンサーで光線についてリッチな情報を得られるため、枚数の少ないシンプルで明るい光学系を採用して演算で補正できる点を挙げています。



本体のスタイルはまるでカメラに見えない角柱だった第一世代から、より伝統的なカメラらしくなりました。今回はズーム / フォーカスが謎のタッチストリップ式ではなくまともなリングになり、ホットシューまで付いています。ボディはマグネシウム合金製、鏡筒はアルマイト仕上げアルミ。

背面のモニタは4インチになり、情報量が格段に増えました。ボディも微妙に斜めっているほか、モニタ部分をはね上げて腰ダメのアングルで撮影しやすくなっています。ただし180度反対側まで回転させることはできず、対面や自分撮り用の確認は残念ながら不可。



またシャッターボタンのとなりには「Lytro ボタン」があり、モニタのライブビュー上に各部のレンズからの距離(深度)を示すdepth assist ヒストグラムを表示します。デプスアシストは、再フォーカスを前提にした写真を撮る場合、奥行きも含めた構図を決めるためのガイドの役割です。

カメラ内のソフトウェアは伝統的なカメラやデジタル一眼レフ的というより、スマートフォンなどのカメラアプリに近いUIを採用。しかしシャッター速度やISO設定、マニュアル撮影モードなど本格的なカメラとしての機能はひととおり揃えています。

初代が内蔵ストレージのみだったのに対して、ILLUMはSDスロットを備えます。写真の転送には有線のUSB 3.0と WiFi を搭載。iOSアプリへの転送と、再フォーカス機能を保ったままのクラウド共有にも対応します。PC版ソフトウェアでは、立体写真や被写界深度調整などさまざまな処理が可能。


Lytro ILLUM カメラの発売は米国で7月15日、価格は一気に桁が上がった1599ドル。発売前の予約ならば100ドル引きの1499ドルで購入できます。予約できるのは、米国、カナダおよび欧州の一部、香港、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランド。今のところ、日本向けには予約を受け付けていません。


第一世代の Lytro カメラは399ドル〜499ドルだったため、ノベルティから「本格的な」カメラになったぶん価格も本格的になりました。カメラの世界は数千円のトイデジカメからレンズ一本で数十万まで広く、何が高いか安いかはどこに判断基準を置くかで変わるとはいえ、誰でも気軽にお試しで買える値段ではなくなりました。(一方、第一世代のLytroカメラは8GBモデルが直販199ドルからと値下げされています)。

ILLUMは根本的に新しい写真技術を導入した点では他に並ぶものが存在しませんが、金に糸目をつけない新しもの好きや先端技術萌え、変わり種カメラマニア、テクノロジーで写真芸術の可能性を追求系のアーティストを越えて広い層に訴求する存在になるかどうか、従来のカメラ基準でも「本格的」扱いをしてもらえるかはまだ未知数です。


なお「撮ったあとで再フォーカス」といえば、最近ではスマートフォンのカメラアプリでも採用例が増えてきました。たとえばGoogleが Android 4.4以降向けに Google Play でリリースした Google カメラは、シャッターボタンを押してからカメラを上方向に少し動かすことで視差のある写真を連続的に撮影し、演算でレンズからの距離マップ(デプスマップ)を生成した上で、被写界深度によるボケを擬似的に再現する「レンズぼかし」モードを備えています。連写をベースとしているため、動く被写体は原理的に苦手。
「後からフォーカス」カメラの新型Lytro ILLUM発表、大幅進化&値段も3倍
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