スイスの高級腕時計メーカー H.モーザー (H. Moser & Cie)が、Apple Watch そっくりの機械式アナログ腕時計 Swiss Alp Watch を発表しました。すべてスイス国内の時計職人による手作りで、価格は24900ドル、約300万円。

高級腕時計のムーブメントや文字盤でわざわざ「機械式アップルウォッチ」を作るだけで充分に酔狂ですが、H.モーザーはアップルお得意の紹介動画まで作成しています。ジョニー・アイブのかわりにH.モーザーのCEOが「研究開発期間200年以上」「革命的な動力源(ゼンマイ)で100時間以上駆動」「アップグレード不要」などと語る動画は続きでごらんください。





数百万円は当たり前の高級腕時計と同じスイス国内の職人による手作りで、中国製の超大量生産品であるアップル製品を再現するという、とんでもなく高価な一発ネタです。

しかしメーカーのH.モーザーによれば、アルプ・ウォッチは単なる冗談ではなく、「数世紀に及ぶスイス時計製造の評判を支えてきた価値観」のために戦う姿勢を示す「ファイティングスピリッツの象徴」。

何と戦っているのかとメーカー発表を読んでみると、H.モーザーは昨年のアップルウォッチ発売で本格化したスマートウォッチの隆盛を、かつてスイスの伝統的時計製造業界に大打撃を与えたクオーツ式時計の出現になぞらえて説明しています。

いわく、大多数の高級時計メーカーのように何も起きていないふりをして嵐が過ぎるのを待つのではなく、また伝統的な高級腕時計の技術と一過性のデジタル技術を組み合わせた「その場しのぎの日和見主義的アプローチ」でもなく、逆に伝統的な高級機械式腕時計こそ未来なのだと積極的に示すための挑戦であり象徴が Alp Watch とのこと。

中国の工場で大量生産されるApple Watchと富裕層向け高級腕時計はほとんど食い合わないように思え、実際にスイスの時計業界は昨年わずかにしか売上が落ちなかったという話もあります。しかし一方でアップルは全く同じ性能のまま素材とバンドを高級にした100万円〜200万円台の限定モデルも用意したり、エルメス製の高価なバンドを組み合わせるなど、単なる実用品を超えた装身具としての価値を持たせようと狙っているのも事実です。

Swiss Alp Watch の狙いが「機械式時計ここにあり」と声を挙げて注目を集めることにあるとすれば、わざわざApple Watch に似せて精いっぱいの挑発を試みるのも、アップルが反応して販売差し止めの訴えでもあればまた話題を呼べるという合理的(?)な考えかもしれません。

裏面は機械式らしくシースルー。ゼンマイのパワーリザーブ(100時間〜)を示すインジゲータも覗けます。
機械式でApple Watchを再現した高級腕時計 Swiss Alp Watch、約300万円で限定販売。パロディCMも公開
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