京セラは、日光に3分間さらすだけで1分間の通話が可能という、実用的な太陽光発電スマートフォンのプロトタイプを公開しました。昨年版に比べた大幅な効率アップで、京セラ側は『実用化の目処がついた』とコメント。早急な商品化を目指すとしています。

京セラ 太陽光発電スマートフォン

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京セラが出展したのは、フランスのスタートアップ企業サンパートナー社が開発した透明ソーラーパネル Wysips Crystal を画面に組み込んだ、太陽光で充電できるスマートフォンです。

ソーラーパネルを搭載するだけなら背面に装着したスマートフォンケースなどもありますが、それらとは異なり、太陽光による充電時でも背面を向ける必要がなく、さらにソーラーパネル搭載による本体サイズ増加もないことから、実用性の面では大きなメリットがあります。



京セラは去年のMWC 2015でも、世界初をうたうWysips Crystal搭載太陽光発電スマートフォンのプロトタイプ(上記写真)を出展していました。しかしその充電速度は『直射日光下に2時間置いても、通話は5分間』という、おおよそ実用とは程遠いものでした。

太陽光で充電するスマートフォン、京セラがMWC出展。直射日光下に2時間で5分間の通話が可能

今年京セラが公開した新型プロトタイプ(上記写真)では、『直射日光下に3分置けば1分の通話が可能』という仕様となり、一気に実用的な充電速度にこぎつけました。これは、先代に比べて発電効率が50%も向上した第2世代Wysips Crystalの採用に加え、京セラ独自のチューニング、そして、画面サイズが前回の4インチから5インチに大きくなり、純粋なソーラーパネル面積自体が増えたことなどが理由です。

太陽光を再現したライトを当てると発電。3分間で1分間の通話が可能。


仕様は高耐久スマートフォンとなっており、背面側は頼もしさを感じる外観

このように、充電性能と実用性が一気に増した太陽光発電スマートフォンですが、どのような用途が考えられるのでしょうか。京セラの担当者は『車ならガソリンと電気で走るハイブリッド車のイメージ。バッテリーとソーラーを組み合わせて、バッテリーを長持ちさせる』と説明します。つまり、ソーラーをメインの電源とするのではなく、バッテリーの寿命を延長させるために使うということを想定しています。

インタビューに答える、京セラの通信機器経営戦略部長 能原隆氏

また、太陽光発電スマートフォンのユースケースについて、京セの通信機器経営戦略部長 能原隆氏は、同社が一定のシェアを持つ北米市場を引き合いに出しこう説明しました。

米国の建設現場では、タイヤだけで2mもある大きなトラックが山の上から駆けてくる。そのような過酷な現場で役に立てる性能や機能をということで、これまで高耐久スマートフォンを開発してきた。高耐久のほかに役に立てることがないか思案したときに、事務所に行くにも時間がかかる場所で作業されている方のために、携帯のバッテリーを長持ちさせる方法の一つとして、太陽光発電スマホを開発した』と説明。



また今回のプロトタイプで達成した、直射日光下に3分間置いて1分間の通話が可能という充電性能は、一定の実用水準に達したとの認識を示しました。そのうえで、量産時の課題はあると前置きしつつ『この製品をベースにできるだけ早く製品化したい』『2017年ごろまでには』と、早期の製品化の可能性について言及しました。

なお販路については、現状でも京セラは法人・個人向けに関わらず高耐久スマートフォンを発売しています。法人向けでは、石油プラントなど可燃性ガスの周囲で使っても大丈夫な防爆仕様のDura Force、個人向けには海水でも使えるTORQUEシリーズ、ハンドソープで洗えるDIGNO rafreがあります。太陽光発電スマートフォンについても、法人・コンシューマを問わず、さまざまなユースケースを踏まえた販路を検討しているとのコメントがありました。


スマホへのソーラー導入はまだまだ性能の向上余地あり



なお京セラが「一定の性能の目安に達した」とする太陽光発電スマートフォンですが、実はまだまだ性能向上の余地があります。

京セラが今回のプロトタイプで採用した第2世代Wysips Crystalは、理論上は画面をソーラーパネルとして使うのみならず、端末本体の表面にも搭載が可能。さらにロゴや絵柄をプリントした表面など『あらゆる表面で使える』(サンパートナー社担当者)とアピールします。もしボディ全体をソーラーパネルにできれば、さらなる発電性能の向上が望めるというわけです。

京セラ側も、ひとまず今回のプロトタイプで商品化の目安となる発電性能は達成したとしつつも、今後も発電性能の向上に取り組む姿勢を示しています。

なお、サンパートナー側はスマートフォン本体だけでなく、Wysips Crystalをスマートフォン用カバーに搭載したコンセプトモデルなども公開しています。こうした製品が登場してくると、太陽光によるスマートデバイスの充電は今後ますます身近になっていくのかもしれません。
『実用化にメド』京セラが太陽光で発電するスマホ、2017年頃までの商品化目指す。実機も展示:MWC 2016
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