Sponsored Contents

appleの最新記事

Image credit:

iPhone7のタッチ操作はコツがある? Apple Payとおサイフケータイの付き合い方を考えてみた

矢作 晃(Akira Yahagi)
2016年9月12日, 午前05:30 in Apple
1073 シェア
366
262
55
2
388

連載

注目記事

動画:世界最小27mm指乗りドローンNANO Q4 SEレビュー、小さくても安定飛行、フライト時間が物足りない

動画:世界最小27mm指乗りドローンNANO Q4 SEレビュー、小さくても安定飛行、フライト時間が物足りない

View

人気記事



iPhone 7/7 Plusから日本市場に『Apple Pay』が導入されることになりました。NFC Type-A/Bだけではなく、日本のおサイフケータイであるFeliCaを搭載したことに注目が集まっています。

FeliCaの搭載でiPhoneの使い方がどのように変わるのか、ちょっと考えてみました。まだFeliCaに対応するiPhoneが出荷されていないことや、FeliCaを使ったサービスは10月に予定されているアップデートで導入されることなどから、不透明な部分もあります。


▲Apple Payに対応するカード発行元(イシュア)のクレジットカード/デビットカードをWalletのメニューから撮影することで、電子的なiDあるいはQUICPayカードが生成される。

最初に知っておいて欲しいことは、Apple Payは「Walletサービス」であるという点です。その使い方や紹介されている動画などから、非接触での決済方法にとらわれがちですが、クレジットカードやデビットカード、将来的にはポイントカードなども含めて電子的に管理できるサービスという位置づけです。

店頭での支払いでiPhoneを決済リーダーにタッチするのもApple Payですが、ECサイトなどで買物をするときにApple Payを支払い手段に選択して、カード番号や氏名の入力の代わりに本人の指紋認証で決済を行うのも同様にApple Payなのです。

アップルはApple Payでいくら儲けるのか

Apple Payの導入によってiPhoneをより魅力的な端末にして販売台数を延ばすこともアップルの利益につながりますが、Apple Payでは手数料収入も存在します。

先行して導入されたアメリカでは、一回の取引金額の0.15%がAppleの取り分とされています。つまり100ドルの決済がApple Payで行われたときに15セントの収入を得るのです(1万円なら15円です)。これは、クレジットカードやデビッドカードの決済時の手数料の一部です。Apple Payの取引でも従来設定されていた手数料率は変わりません。店舗や消費者に、このアップル分の手数料が転嫁されることはありません。


▲米国金融機関のカンファレンスにて。Apple Pay導入のメリットはデバイス固有の番号を発行することと、取引毎に変化するセキュリティコードを加えたトークン化で、一回きりの番号によって決済を終了させること。店舗もAppleもさらにユーザーも番号を知りえず、また保管しないことでセキュリティを保つ。

今までクレジットカードの国際ブランドや発行会社、銀行などが分け合ってきた手数料の分配にアップルも加わる形です。

アップル以外は言うなれば取り分が減るわけですが、指紋認証とトークナイゼーション(取引のトークン化)などによるセキュリティの強化で不正使用による負担が減ることが期待され、銀行やカード発行会社として結果的にプラスかあるいはプラマイゼロと踏んだのが、この0.15%というラインだと想像できます。ちなみにこうした仕組みはApple Payに限らず、Samsung PayやAndroid Payでも同様です。手数料配分もほぼ同等と考えていいでしょう。

少し長くなりましたが、これがアップル側のメリットです。次に市場の違いについて考えてみましょう。技術的にはNFC Type-A/BとFeliCaの違いがクローズアップされていますが、実はもっと違う部分があります。これまでもApple Payのニュースに耳を傾けていた人は気がついたかも知れませんが、北米でApple Payが利用可能なカードは、提携銀行が発行するクレジットカード/デビットカードということです。これらはすべてポストペイ(後から支払い)で、クレジットカードでは与信枠分までを期日に、デビットカードでは、預金残高内で即時支払いということになります。Apple Payの登録ができる金融機関はアップルの米国サイトにカードの種類とともに一覧が掲載されています。

Suica対応でアップルが譲歩した?

日本のFeliCaを見てみましょう。これまで普及してきたいわゆるおサイフケータイは圧倒的にプリペイド(事前払い)です。事前に現金や銀行預金、クレジットカードから適当な金額をチャージして、その金額内で買物ができる仕組みです。日本の電子マネーは小額決済を中心に発展してきました。代表的なものに、楽天Edy、WAON、nanacoなどがあります。プリペイドの場合、チャージできる上限は数万円というのが一般的です。


▲日本でのApple Payローンチは10月下旬と発表された。iOS 10のマイナーアップデートにともない、機能が追加されるものと思われる。

一方、日本でApple Payの対象になったのは、iDとQUICPayという電子マネーです。

前者と違うのは、これらはポストペイの電子マネーということです。一般的にはクレジットカードと同様に小額の与信枠があり、使った分をまとめて期日に支払います。たいていはクレジットカードと紐付いていて、請求も一括である場合が殆どでしょう。フィーチャーフォンやスマホのおサイフケータイでは、端末内に電子的なカードが生成されますが、発行会社によってはプラスチックの非接触対応カードも用意しています。プリペイドに比べると普及率は下回ります。

Apple PayがiDとQUICPayをまず選んだのは、ポストペイであることを重視したものと想像できます。与信枠こそ小額ではありますが、仕組みはクレジットカード/デビットカードと同じだからです。

従来のおサイフケータイで利用していたiD、QUICPayと、Apple Payで使用するiD、QUICPayの違いは、決済時の認証手段です。従来のおサイフケータイは決済リーダーにタッチするだけですが、Apple Payでは、iPhoneのホームボタンに指を置いて指紋認証を行いながらタッチすることが発表から明らかになっています。この部分は、本人認証をすると同時にトークナイゼーション(取引のトークン化)を行う重要なポイントではありますが、実際にトークナイゼーションまで行われているかどうかはサービスインしていない現状では判断が難しいところです。そして、この過程があることが、前述した0.15%の手数料をアップルが得るために必要なプロセスと考えられます。

筆者自身の考えとして、Suica以外のプリペイドがApple Payに含まれることには懐疑的です。アメリカでも買い切り型のプリペイドカードとしてデビットカード/ギフトカードがありますが、そのほとんどがApple Payの登録対象とはなっていません。チャージをするのに現金では面倒だからとはおサイフケータイにしている筆者のような消費者は少数派で、プリペイドの多数派はセブン-イレブンの店頭、イオンの店頭などでプラスチックカードにチャージをしています。前述のように、どのタイミングで手数料の分配を得るべきかも新しく考えなければいけません。そして何より、FeliCaによるプリペイドカード自体は国際ブランドと紐付いていないのです。

このようにプリペイドのApple Pay対応には懐疑的なわけですが、Suicaだけは例外です。Suicaを例外的に対応したことこそ、今回のJAPANスペシャルと言っていいでしょう。気になるのは手数料配分です。チャージのタイミングにせよ、改札通過のタイミングにせよ0.15%を支払っていてはJR東日本はやってられません。すでにサービスインしているフィーチャーフォンやスマートフォンのモバイルSuicaとの公平性も揺らぎます。ここはアップルが最大限譲歩して『改札を通過できるSuica』をiPhone上に載せることを優先したのでしょう。モバイルSuicaで実現している特急券やグリーン券の購入などは、別アプリとなる可能性が高いとにらんでいます。そうするとモバイルSuicaに必要な年会費を、App内購入という形で済ませられるからです。おそらくiPhoneのSuicaには、モバイルSuicaという名称は付けないでしょう。言うなればApple Pay Suica的なポジションですが、林檎西瓜みたいですね。

iPhone7のSuicaタッチのお作法とは

改札の話になったところで、決済や改札を通過するときのポイントを紹介しておきます。これまでのおサイフケータイでは、多くがフィーチャーフォンやスマートフォンの背にFeliCaを搭載してきました。改札を通過する際は「しっかり1秒タッチ」とJR東日本も背面をピタっとあわせるイメージを推奨していました。店舗決済もほぼ同じで、コンビニなどでは改札のように、水平な決済リーダーが殆どだと思います。やはりこれも、上から載せる感じで支払いを行っていました。

しかしiPhoneは違います。iPhone 6/6 Plusから搭載されているNFCは、端末の先端部分に搭載されています。指をホームボタンに置くという作法も合わせると、面に対して線を接触させるイメージになります。iPhone 7/7 PlusのFeliCa搭載位置はまだ明示されてませんが、公式動画などではやはり先端を改札に合わせているので、先端にFeliCaがあることは推定されます。これまでのおサイフケータイから乗り換える人はちょっと気をつける必要があるかも知れません。

これまでは水平、これからは直角とは言いませんが45度ぐらいでリーダーに近づけましょう。

なお、Suicaによる改札の通過時は指をホームボタンに置かなくても大丈夫ということが明らかにされています。こうした部分もアップルが譲歩した部分であろうことは想像できます。もちろん指紋認証をともなう通過では、JR東日本が首を縦にふることはあり得なかったでしょう。

NFCとFeliCaが同じ時間を過ごすために

気になるのは、iPhoneのガラパゴス化です。

何よりグローバルを重視してきたiPhoneがガラパゴス仕様になってしまっては、筆者のような海外出張族や旅人には不安が募ります。筆者自身は、ひとあし早くiPhone 6からアメリカ版のApple Payを導入しました。このiPhone 6は日本国内で買ったSIMロックフリーモデルです。最大のハードルはアメリカで銀行口座を持つ(維持する)ことでしたが、なんとかクリアしました。設定としては、アメリカのデビットカードのApple Payへの登録に際して、いったん地域設定をアメリカに変えます(言語は日本語のままです)。登録を終えたら、地域設定を戻します。戻しても、NFC Type-A/Bに対応するApple Payは継続して利用できています。その後、6sへの機種変更手続きも行い今に至ります。


▲こちらは、アメリカで発行されたデビットカードでの登録手順。かなり暗くてもカード番号などは容易に認識する。読み取った番号を確認し、修正点や裏面のセキュリティコードを入力すると、このカードに紐付いた電子的カードがApple Payに生成される。

iPhone 7/7 Plusでは、この地域設定が日本のままでFeliCaへの登録ができることになります。発表されている提携金融機関のiD、QUICPayの電子的なカードがiPhoneのWalletアプリ内に生成できるでしょう。手持ちのクレジットカードを親にして、端末側に電子的な固有番号を持つカードを作る仕組みは、これまで各国で展開されてきたAPPle Payと変わりません。ただし、登録できるのがiD、QUICPayの小額決済レベルだということです。

こうして登録したApple Payは果たして海外で使えるでしょうか? 答えはおそらく「使えない」です。

FeliCaリーダーは海外ではほぼ普及していません。ここも実装をみないと何とも言えないのですが、それでは日本で販売されるiPhoneで、NFC Type-A/Bの電子的なカードを生成することはできるのでしょうか? また、筆者のようにアメリカ発行のデビットカードをもとに、Type-A/B対応の電子的なカードをiPhone 7/7 Plus上に生成した場合、それはiDやQUICPayと同時にアクティブにできるのでしょうか? これらは実際にやってみて確かめないといけない部分です。

Apple PayにはExpressカードという仕組みがあり、優先的に使うカードを決めることができます。操作なしで使われるカードです。複数のクレジットカードを使い分けたいときは、Expressカード以外では明示的に選択してから決済します。この仕組みが、FeliCaとNFC Type-A/Bにまたがって実装されるかは興味深い部分です。

東京オリンピックの開催を2020年に控え、インバウンドの対応は吃緊の課題です。そこにはNFC Type-A/Bでの非接触決済も含まれており、国内のカード発行会社(イシュア)も、早期にアメリカ同等のApple Payの実現を目指すでしょう。イシュアとしての本命もiDやQUICPayといった小額決済ではなく、カードそのものの電子化と、よりセキュリティ対策のとられたトークナイゼーションの導入です。またJR東日本も訪日客にSuicaを使って貰わなければ機会損失は免れません。仕様では日本モデルのみとされるFeliCaの搭載を、グローバルにも展開してほしいところです。日本でこうした過渡期的状況だからこそ、ソフトランディングのためにFeliCaとNFC Type-A/Bの両対応が求められているわけですから、万が一にもNFC Type-A/BとFeliCaが排他利用だったりするのはちょっと抜けた実装ということになります。

Androidですでに実現しているように、NFC Type-A/BとType-F(FeliCa)はすでに1チップ化されています。iPhone程の製造台数になると確かにA/BチップとA/B+Fチップのコスト差はそれなりに積み上がりそうですが、実はグローバルでも採用しているものの、現時点ではソフトウェア的、あるいはハードウェア的に機能を制限している可能性も捨てきれません。そのあたりは、発売後の分解レポート等で明らかになるでしょう。その結果次第で、また少し将来の方向性やさまざまなタイミングが見えてくるのではないでしょうか。

筆者はドコモオンラインショップで、iPhone 7 Plus 256GBのジェットブラックを注文しました。契約期間の状況から、即日SIMロック解除が可能です。FeliCa + NFC Type-A/Bがどこまで使えるのか、今から楽しみにしています。

関連キーワード: apple, apple pay, felica, iphone 7, iphone 7 plus, jr, nfc, suica
1073 シェア
366
262
55
2
388

Sponsored Contents