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Galaxy Note 7生産終了までの経緯をまとめ:山根博士の海外スマホよもやま話

山根博士(Yasuhiro Yamane) , @hkyamane
2016年10月12日, 午前05:30
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サムスンは10月11日に声明を発表し、発火問題が相次ぎ不具合品の交換を進めているGalaxy Note 7について販売および生産を停止することを決定しました。

発売前は評判がとても高かった同機が生産終了に至るまでの経緯をまとめてみました。


Galaxy Note 7は今年2016年8月19日に発売された直後から、本体の発熱による発火発事故が相次ぎました。サムスンは9月2日に全世界での出荷と販売を停止。それまでに販売された台数は約250万台、事故を起こした件数は35件だったとのこと。また発火の原因は内蔵バッテリーにあったとの見解を明らかにしました。


▲Galaxy Note 7の販売と交換プログラムの中止のアナウンス(サムスン公式発表)

サムスンの発表を受けて、各国の関連機関や航空会社が航空機内でのGalaxy Note 7の利用や充電の制限、または禁止を発表。日本では発売されていないにも関わらず、国土交通省が9月9日に日本国内の航空機での使用制限を各航空会社に求めるという、異例の事態を引き起こしていました。

今ではほぼ世界中の航空会社のチェックインカウンターにGalaxy Note 7使用の注意が掲示されると共に、機内では利用しないようにとのアナウンスが行われています。


▲各国の航空機内ではGalaxy Note 7の利用が制限されている(キャセイパシフィック航空)

海外メディアの報道によると、Galaxy Note 7のバッテリーは2社から供給されていて、全体の7割がサムスンSDI製、残りの3割がATL(TDKの子会社)製。このうち不具合が発生したのはサムスンSDI製であることが判明。サムスンは9月上旬から同社製バッテリーを搭載したモデルを、ATL製バッテリー搭載の対策品に交換するプログラムを開始していました。

不具合品は端末の固有番号(IMEI番号)から割り出すことが可能で、各国のサムスンのWEBページには購入品が不具合品かどうかを確認するページも設置されていました。


▲Galaxy Note 7の不具合品確認ページ(サムスン香港)

一方、ファームウェアアップデートが提供され、バッテリー問題の無い製品はバッテリーインジケーターが緑色で表示されるようになりました。不具合品はバッテリーを充電しても最大60%までしか充電できない制限がかけられました。これにより不具合品は過充電などによる発火を未然に防止することが可能となり、安全品はバッテリー表示の色を見るだけで一目瞭然となるような対策が取られたハズだったのです。


▲ファームウェアアップデートで安全品はバッテリーインジケーターの色が緑色となった(サムスン公式発表写真)

不具合品の交換プログラムは韓国で9月19日から、アメリカでは9月21日から開始され、サムスンによると交換は順調に進んでいたとのこと。韓国では9月30日に大々的な再発売イベントが開催され、10月1日からは各キャリアやサムスン直営店舗での販売が再開されました。

9月上旬に交換プログラムを開始し対策品の販売もされている香港では、発火問題がなかったかのように9月中旬から家電量販店などでGalaxy Note 7が取り扱われていました。


▲9月から対策品の交換と、製品の再販売が始まっている

ところが10月4日にサウスウェスト航空機の機内でGalaxy Note 7の発火事故が発生。これはAT&Tで9月21日に交換した対策品とされており、サムスンが問題なしとして提供している製品でした。

これを受けてアメリカの各キャリアはGalaxy Note 7の販売を相次いで停止。またサムスンもすぐに「供給量の調整を行う」と事実上の生産中止を発表。そして今回の「生産、販売、対策品への交換プログラムの中止、全てのGalaxy Note 7の利用停止要請」の発表となったわけです。


▲この冬のサムスン一押し製品となるはずだったGalaxy Note 7、再々発売は困難か

サムスンはGalaxy Note 7の発火について再度調査を行い、原因を追究するとのこと。

だが、バッテリーに原因ありと一度は発表し、各国で対策品の交換を進めていた直後に事故が再発したことから、販売再開までの調査には時間がかかるものと考えられます。少なくとも現状では、「サムスンSDI製バッテリーに問題があった」という説明は正しくなかったということになり、バッテリーだけではなく本体設計そのものの再確認が必要になるでしょう。

またサウスウェスト航空機での事故は、機内アナウンスに従い端末の電源を切った製品が発火した点も問題視されています。このことからGalaxy Note 7の機内持ち込みそのものについて禁止措置が取られる可能性も十分ありうるでしょう。

なお韓国では9月19日からの交換品プログラム再開後、航空機内での対策品となるGalaxy Note 7の利用制限は解除されていました。しかし10月11日にはすべてのGalaxy Note 7の利用に再度制限がかかりました。

さて日本向けにはドコモ向け「SC-01J」、KDDI向け「SCV34」の型番が確認されていて、2016年の冬モデルとして投入されることが濃厚とみられていました。しかし、10月11日にサムスン日本法人のギャラクシー製品ページからGalaxy Note 7情報掲載は中止され、現在は海外販売のGalaxy Note 7購入者向けの案内ページが表示されています。世界的な生産、販売中止を受け、日本でのGalaxy Note 7の投入もなくなったとみるのが筋でしょう。

サムスンが10月7日に発表した2016年第3四半期の業績見通しによると、営業利益は前年同月比で5.6%増となる見込み。電子部品が好調だったことから、8月、9月に販売数を伸ばせなかったGalaxy Note 7の売り上げ減と、リコールに伴う支出をカバーできるとしていました。


▲豊富な製品数を誇るサムスン。だがNote 7の対応次第ではブランドと信頼を失いかねない

サムスンにはNote 7が無くともGalaxy S7とGalaxy S7 edgeというフラッグシップモデルや、豊富な種類を誇るミッドレンジモデルが存在します。販売台数だけでみればNote 7の落ち込みを他のモデルでカバーすることは可能でしょう。

しかしGalaxy Note 7のゴタゴタが続けば、サムスン製品全体へのブランドイメージ低下を引き起こすことは必須です。

今回、2度目となる販売(生産)中止への対応は1回目よりも早かったのですが、原因調査追及を行わなければ、信頼回復を図ることは難しいでしょう。消費者、関係機関、そしてメディアも納得するだけの、技術的な説明を行うことが必要。Galaxy Note 7問題は、1機種のトラブルではなくサムスン全体の危機管理能力が問われる、事業存続がかかるほどの深刻な問題なのです。

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