Sponsored Contents

HTCViveの最新記事

Image credit:
Save

VRはキャズムを越えるのか? 「VR元年」の注目はエロとエンタメだけじゃない:VR専門誌の編集長たちが話すVRの現状と未来

Takako Ouchi
2016年10月13日, 午後02:15 in Htcvive
119シェア
3
116,"likes":34
0

連載

注目記事

1億画素超えカメラ搭載スマホ、シャオミ「Mi Note 10」のグローバル版を試す。日本での発売に期待
12

1億画素超えカメラ搭載スマホ、シャオミ「Mi Note 10」のグローバル版を試す。日本での発売に期待

View


VR元年と言われる2016年、本日10月13日は、"コンシューマ向けVRの大本命"との呼び声も高いPlayStation VRの発売日です。

遡ること一ヶ月前にあたる9月7日、コミュニティスペース渋谷 TECH LAB PAAKにおいて、国内外のVR業界を日々追いかけるVR特化メディアが集結する『VRメディアサミット』が開催されました。

VRの動向や最新情報を伝えるメディアの中の人に「いまVRってほんとのところどうなの?」と直接聞いてしまおうという主旨のイベントです。

VRメディアサミット、メディアの役割とは?


いままでにない体験をもたらすものとして大きく期待されているVRですが、その大きな波がいつやってくるのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。本当に期待通りの手応えがあるものなのか、内外で起こりつつあるVRデバイス、関連サービスのスタートアップがどうなっていくのか、興味は尽きません。

第一部の基調講演『マーケット黎明期におけるメディアの役割』では、弊誌Engadget日本版の編集長を務める鷹木創が登壇し、新しいDIYの動き、マーケット動向を伝えるメディアとして、これまでEngadgetが取り組んできたことをプレゼンしました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
▲「新しい動きが世の中に現れてくる、大きな変化が起きているとき、メディアとして何ができるのか。メディア自身が読者を巻き込んでいくことが今まで以上に重要になる。VRはイベントと相性がいいと思うので、色々と面白い取り組みが考えられるだろう」と鷹木編集長

新しいムーブメントが起こり、マーケットになっていこうとするとき、これに対してメディアはどう向き合い、受け手に伝えていくべきなのか。これはVRという新しい媒体に対して、メディアが今まさに直面しているテーマのひとつです。

さて、ここまでを前置きとして、本記事では第二部のVRメディア編集長によるパネルディスカッション『編集長が語るVRスタートアップの未来』の模様から、VRの世界で今起きていることを探っていきます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
▲まさにいまVRスタートアップの真っ只中にいるという人から、VRという技術に興味がある、VRで何か起業を考えているという人まで、熱気あふれる会場。満員以上で、急遽サテライト会場が用意されていた

VRメディアを運営する理由


登壇は、「Mogura VR」編集長 久保田瞬さん、「PANORA VIRTUAL REALITY JAPAN」編集長 広田稔さん、「あおぞらVR」編集長 早坂亮輔さん。彼らはVRと出会ったことの衝撃が、VRメディアを作ったキッカケになったと話します。

広田さんは「これはもう自分のメディアで記事をまとめるしかない!」と、2014年の11月に「PANORA VIRTUAL REALITY JAPAN」を立ち上げ、もともとゲームメディアを運営していた久保田さんは「VRを当たり前にするのが使命」と考え、2015年2月に「Mogura VR」を立ち上げました。

両メディアともただ記事をアップするだけではなく、幅広くVRを伝える活動をしています。「Mogura VR」では体験会に必須のグッズとして「VR体験用衛生布マスク」といった商品を販売したり、Japan VR ハッカソン(2016年6月)を開催したりといった取り組みを紹介。「PANORA」ではVRでものを伝えたいということで360度撮影を早い段階から取り入れ、YouTubeなどで360度動画コンテンツを公開しています。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
▲「VRに関して考えていることは1つ。VRは社会を変えるものになるということです。それに必要な情報を届けるというのが僕らがやっていること」(久保田さん)

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
▲PANORAは、交流会イベント「VRまつり」や「Tokyo VR Meetup」など、事業としてイベントにも力を入れている。「VRの面白さをなかなかネットで伝えにくいというのはすごく実感している」と話した。2014年から全国を回って体験会も行っている(広田さん)


早坂さんが立ち上げた「あおぞらVR」は"VRをもっとわかりやすくする"とのコンセプトで、ターゲットは「技術のことは分からなくてもVRにちょっと興味がある、でも二の足を踏んでいる」人たち。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
▲「VRは体験しないとわからない。文字で書いてあっても、なかなか難解で理解できないところが多いので、そこを抜きにして本格的に面白いメディアを作れたらいいな、と思って始めたのがキッカケです」(早坂さん)

いまVRスタートアップはどうなのか?


VRデバイスが個人ベースで普及していないにもかかわらず、その界隈は激しく動いています。VRスタートアップと呼ばれる動きですが、実際のところ、VRスタートアップってうまくいっているのでしょうか? また、うまくいっているVRスタートアップには共通点があるのでしょうか?

この問いに関して、久保田さんは「VRスタートアップといっても、まだうまくいっているところはほぼない。業界としてまだまだ過渡期なのだ」といいます。

久保田:海外で数十億円とか到達しているところでも、ビジネスモデルを作ってマネタイズしているところはない。マーケットがこれから立ち上がっていって、そのときに備えていち早くシステムを作っていたところが勝つだろうということでお金が入っている状態です。そういう意味では、まだ結果はまったくわからないですし、これから入っていく人たちにもたくさんチャンスがある業界なんじゃないかなと思います。

早坂:海外では「Star VR」さん。あそこにはいろいろなところから資金が入っていて、そういった意味でこれからうまくいくのかなと。資金をおさえているということがまず1つ大事なのかと思います。

Star VR」は、もともと「Infinite Eye」の名称で開発が進められてきたVR HMD。最新のプロトタイプでは、5Kで210度の視野角を持つタイプが公開されました。

広田:VRに限った話ではないんですが、ちゃんと資金調達されていて、チーム構成がきちんとしているということが成功のために重要になってくると思います。あとは視点がユニークかどうか、というところはありますよね。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

久保田:最近、VRのゲームと言われているものが、従来のようなゲームではなくなってきています。本当に手を動かしてやるものになってきていて、ゲームをしながら身体を使うWiiスポーツとか、ああいう感じになってきている。全く新しいエンタメの形になってきて、その意味でも過渡期なんだなという印象です。

広田:ゲームを作る人は、VRゲームを作る場合もゲームのルールをまずおもしろいものを作ろうと考えて、ルールでお客さんを楽しませるものを作ろうとする。そうではなくて、そもそも人間の体験自体が楽しいものなんです。リアルに楽しいものをVR空間で再現し、そこにさらにVRにしかできない形を見つける、VR体験として形にするというのがいいのではないか。これがVRならではの体験だという部分をまだなかなか発見できていないのではないか。

ちなみに、久保田さんが注目しているVRスタートアップは、VRの中にコミュニケーション空間を作ってイベントを行う「cluster.」を運営するクラスター。「最近、資金調達されましたが、今後どうなるかには注目しています」(久保田さん)。

早坂さんが注目しているのは、味覚をVRで表現するプロジェクト。これは2015年12月に始まった海外のプロジェクトで、ヘッドセットを付けて香りが出るリキューザーと3Dプリンタで出力した食べ物(こんにゃくとか寒天)で食生活の改善をやっていきましょうというもの。

確かに、久保田さんや早坂さんが挙げているものは既存のコンテンツをVRに持っていったというだけではない、VRならではの意義や面白さがあるように感じられます。VRに限った話ではありませんが、成功するスタートアップをモデル化するのは難しいところです。特にVRという分野でそれを難しくしているのは、デバイスだけではなくコンテンツも重要な要素であり、IoT以上にデバイスとコンテンツが密接に関わるためでしょう。

そして、デバイスの進化スピードについても「加速具合は半端ない」と久保田さん。

久保田:テクノロジーの進歩や、業界としての加速具合は半端ないですね。たとえば、2013~2014年にかけて、Oculus DK1という一番最初の開発者向けキットを体験された方は、現行世代の製品版VRデバイスを体験したときに"もうほとんど違う、2年や3年でこんなに変わってしまうんだ"という感じ方をされる方が多いんじゃないかなと思います。逆に、DK1を体験されて「まだまだ流行るわけないじゃん」って思った人は、現行世代を体験しなくなっていると思う。そういった方々には、ぜひとも現行世代のVRを体験していただきたいです。また、この場にいるみなさんには、新しいVRデバイスが出たら定期的に体験していただいて、どんどん変わっている様子を見ていただきたいと思います。スピードが非常に速くて、マーケットがついてきていない部分が大いにあるので。

"違和感の少ないVR"は、ハード的には意外と早く実現し、そこから先はコンテンツが頑張らなければならないフェーズが来る、との見通しです。

2020年にVRは「キャズムを越える」のか?


どの分野でも言われていることだと思いますが、2020年、東京オリンピックのキーワードはVRにどんな変化をもたらすのでしょうか。

広田:2020年オリンピックの演出がVRで変わるかというと、放送権とか色々な問題があって、一筋縄ではいかないでしょう。でもこの分野はテレビ局が今、特に力を取り組んでいる部分ですし、いずれは各家庭にヘッドマウントディスプレイがある、という世界になってくると思います。よくする話ですが、テレビが最初のディスプレイとしてあって、"このシーンでここを詳しく知りたい"となったときにスマホで検索することの延長として、ヘッドマウントディスプレイでそのシーンが体感できる、といった変化が起こると思います。オリンピックで、「ボルト、速い! 100M、9秒ってこんな感じなんだ」みたいなのが味わえる、とか。第2のディスプレイとして使われる選択肢もアリなんじゃないかなと思います。

早坂:僕もオリンピックを見ていて、アスリートの方たちがすごいじゃないですか。体操の回転とか。でも、いまいちすごさがなかなか一般の人には伝わらないので、その選手の視点をVRで味わえると、とんでもないことになるんじゃないかなと思っています。白井健三の回転のときの視点とか。選手のすごさ、アスリートのすごさをVRで伝える。そういったもので、もっと盛り上げることができればいい。そうすると、没入する感覚が味わえて、これまでスポーツにあまり興味を持たなかった方も、面白いな、すごいなって思うんじゃないかなと思います。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

久保田:デバイスの形状については、小型化、軽量化がされてくるはずなので、見た目も今の箱ではなくなってくると思います。どこまで小さくなるかはわからないですが、今とまったく同じ形であることはない。サングラスくらいのサイズ・形状になるのではないでしょうか。たとえば、マイクロソフトの「HoloLens(ホロレンズ)」が改良を重ねていけば、VRとARの両方で世界を見られるというのはあるんじゃないかな。現実世界の中にもう1つ何か仮想の物体が"ここにある"ように見せる、あるいは、ディスプレイが空中に表示されるような感覚ですね。

HoloLens」は、現実世界にCGを投影し、そのCGを操作して動かすことができる「MR(複合現実)技術を搭載したヘッドアップディスプレイ。体験したことがある人はまだ少ないかもしれません。本来の視野が遮蔽されないのでかなりの自由度があり、ゴーグルのようなVRでの体験とは大きく異なります。


▲マイクロソフトの「HoloLens(ホロレンズ)」
広田:HoloLensがすごいのは、空間にディスプレイを貼り付けるというところ。なので、日常生活の中で使えるような、溶け込むようなコンテンツが作られていくと強いなと思います。

4年後にVR、AR、MRといった技術が浸透して実生活に入り込んでいくかというと、それはまだだいぶ先のことなのかもしれません。現在はエンタメ系VRが一般的なメディアで注目されていますが、今後は教育や医療といった分野に使われていくだろう、と久保田さんはいいます。

久保田:いま、情報としてエンタメが多くなっているというのが実際のところだと思います。もともとOculusはゲーミングデバイスとして世に出ていますが、Oculus自身もソーシャルスペースで使えるという話をしていたり、VRの開発者会議に行っても、ゲームの話だけではなくて、エンタープライズや医療、教育というところにVRが使えるんだという講演が普通にいくつもあったりします。将来の可能性があり、お金が動きやすい分野ですので、VRを社会のいろいろなところに使っていく方向性はありうるだろうと思います。

実際、日本でもいろいろ問い合わせが来ます。本当にいろいろな業界の方が、VRを活用できるのではないかと動いていらっしゃる。見えていることでいえば、たとえば、不動産の業界ではシータ(リコーの全天球カメラTHETA)で撮影して360度の写真をウェブに載せる、来店した方にやってもらうというのは仕組みとして導入されていたりします。いろいろなところで、こうした活用が増えていくんじゃないかなと思いますし、まだまだアイデアはあるけど実行できていない、アイデアすらブレストの段階に行っていないというものが山のようにあるように感じています。

早坂:海外ですでに導入されている事例として2つ紹介しますと、1つはメディカルセンター。治療で注射する際にほんわかしたファンタジーの映像を見て痛みをやわらげるというプログラムが、ロサンゼルスのCedars-Sinaiというメディカルセンターに導入されました。

もう1つは、法律とか裁判制度に関すること。イギリスの事例なのですが、交通事故などの事件現場をVRで再現する。事件の記録や操作、陪審員が事件の状況を理解する助けになるとして活用されています。ただ、これはまだいわゆる実証実験の段階のようです。

このほかに海外の事例として早坂さんが挙げていたのが、斜視を改善するVRプログラム「Vivid Vision」。VRは斜視の原因になるとも言われていますが、このように、逆に斜視を直すプログラムも存在するのですね。

VRのビッグタイトルはいつやってくるのか?


ユーザーとしても非常に気になるのが、VRのビッグタイトルが出て来る時期です。やはりお三方とも、PlayStation VRに合わせて、既存のゲームタイトルのVR版が出てくるだろう、という予想です。

広田:最初は、有名なIPから派生したVR版コンテンツがいっぱい出てくると思います。それはうまく作れているものもあるし、作れていないものもあると思うんですが、そうやって"VRって面白いね"という状況が形成されていくでしょう。その後に、VRならではの体験がもうちょっと突き詰められて、"こうすればもっと楽しくなる"という発見がいろいろあった上で、VRならではのビッグタイトルが出てくるんじゃないかなという気がします。

久保田:10月に出るPlayStation VRでは、みなさんが知っている有名どころのIPがVRで体験できるようになります。コンシューマ向けVRの普及が、"現実ではない体験"ができる楽しさを知るきっかけになることを期待しています。

ただVRは、メディアとしては本当に新しいものなんですよね。たとえば、全天球カメラで撮った10分間の360度映像を見ているのがすごく面白いのかといえば、すごくつまらないんです。スポーツ中継を見るとわかりやすいんですが、いろいろな情報が出たり、いいシーンでアップになったりしますよね。そういう工夫が組み合わさった上で非常にいいものになっている。そういう意味で、VRの大作コンテンツであったり、もしくはみんなが"いまのテレビとは違うのかな?"と思うまでのものが出るには、まだまだ時間がかかるかなと思います。

広田:いままでフラットなディスプレイが続いてきて、それが360度になったときにどういう表現ができるかというのを考え、それが自分の業界のところでどう活かせるか、というのを最初に見つけた人が弾けていくんじゃないかと思います。

現在はエンタメ系やエロ系のコンテンツが注目されがちなVRですが、いずれそうした流れが一巡し、個人ベースで当たり前になったときに、どうなるのか。その頃、コンピュータやインターネットにおける情報のやり取りは、種類も数も今以上に増えていることでしょう。

速いスピードで変遷していくデバイスと、徐々に充実していくコンテンツの両輪で動くVRが、これから変えていくものは何か? そうした部分を考えることが、今後のVR分野の流れを読むうえで大きなヒントになりそうです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
▲最後に第一部、第二部全員で集合


OLYMPUS DIGITAL CAMERA
▲このイベント自体も、360度動画として撮影していた


OLYMPUS DIGITAL CAMERA
▲ステージの後ろに並ぶマウスコンピューターのPC。すべてVRの編集に対応したハイスペックモデル


大内孝子(おおうち・たかこ):フリーライター/エディター。主に技術系の書籍を中心に企画・編集に携わる。2013年よりフリーランスで活動をはじめる。IT関連の技術・トピックから、デバイス、ツールキット、デジタルファブまで幅広く執筆活動を行う。makezine.jpにてハードウェアスタートアップ関連のインタビューを、livedoorニュースにてニュースコラムを好評連載中。著書に『ハッカソンの作り方』(BNN新社)がある。


広告掲載についてのお問い合わせは ad-sales@verizonmedia.com までお知らせください。各種データなどは こちら のメディアガイドをあわせてご覧ください。

119シェア
3
116,"likes":34
0

Sponsored Contents