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「Apple Pay」vs「おサイフケータイ」──それぞれの長所・短所を比較してみた(笠原一輝)

笠原一輝(Kazuki Kasahara) , @KazukiKasahara
2016年10月26日, 午後04:30 in Apple
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iPhone Xのナゾを実機でズバっと解決 カメラ機能はすべての面でワンランク上

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10月25日に始まったiOS 10.1へのアップグレードにより、日本で販売中のiPhone 7/iPhone 7 Plusに搭載されているFeliCa/NFCチップを利用したApple Payのサービスが開始された。

初日は、特にSuicaサービスが正常に動かず、うまく設定できなかったユーザーも多かったようだが、既に設定が完了し実際に利用しているユーザーも少なくないだろう。

本記事ではそうしたApple Payの機能を、iPhone 7に乗り換えるまでAndroidのおサイフケータイ機能(以下おサイフケータイと呼ぶ)のヘビーユーザーだった筆者の視点で、使い勝手などを評価していきたい。まだ1日使っただけだが、これまで使っていたAndroidのおサイフケータイとの使い勝手の違いについて、4つのポイントでそれぞれ比較していきたい。

対応する電子マネーの豊富さ:おサイフケータイの圧勝

サポートする電子マネーの数から言えば、おサイフケータイはプリペイドが5つ、ポストペイドが2つの計7つ。対するApple PayはプリペイドはSuicaのみ、ポストペイドはおサイフケータイとして2つをサポートするに留まっている。

(※プリペイドとは、あらかじめ電子マネーの残高をチャージしておく必要があるという意味。ポストペイドとは、支払い時にクレジット口座に課金され、後日クレジットカードの請求で支払うという意味)

表1 Apple Payとおサイフケータイで使える電子マネー


おサイフケータイは、Apple Payでは対応していないnanaco、WAON、モバイルスターバックスカード、楽天Edyの4つに対応。それらが必要だというユーザーにとっては、Apple Payが対応していないことは不満に感じるだろう。


▲Androidのおサイフケータイは多くのプリペイドの電子マネーを利用できる


▲ApplePayに関してはSuicaとiD、QUICPayに対応したクレジットカードが利用できる

(モバイルスターバックスカードに関しては、iPhone用のスターバックス公式アプリを利用すると、電子カードをバーコードで表示して、スターバックスのレジで払うことができる。このため、非接触でピッと払えないことを除けば、キャッシュレスで決済できる。従って、実際にはnanaco、WAON、楽天Edyに対応していないことをどう評価するかだろう)


▲スターバックス ジャパン公式モバイルアプリを利用すると、おサイフケータイで利用していたスタバカードも含めてバーコードで支払える

例えば、筆者の場合は、自宅の近所にあるスーパーマーケットで使える電子マネーが楽天Edyだけになっているので、Apple Payに乗り換えると、これまではキャッシュレスで買い物ができていたスーパーで現金で決済しなければいけなくなる。今までできていたことができなくなるのはやはり減点と言え、この点はAppleは当該電子マネーの運営会社に対して対応を呼びかけるなりして早急に解決して欲しいと思う。

なお、現状のApple Payは、おサイフケータイにはあった電子会員券(例えば、JALやANAの国内線の電子チケットをFeliCaで置き換える機能、ヨドバシカメラのゴールドポイントカードの会員番号など)をFeliCa経由でPOS端末などに通知する機能などが今のところ用意されていない。従来であれば、ヨドバシカメラのレジでおサイフケータイを読み取り機にかざすだけで会員番号をPOSレジに入力できていたなどの機能が利用できない。

ただし、例えば、飛行機であれば現在は電子メールで送られてくるQRコードをゲートでかざす方式が主流になりつつあるし、ヨドバシカメラでもアプリを使ってバーコードを表示させてそれをレジで読み取ることができるようになっている。それらを利用すれば、方式こそ違うモノのおサイフケータイと同じようにスマートフォン単体で完結できるので、そうした使い方を検討してみるといいだろう。


ポストペイド設定の容易さ:Apple Payの圧勝

──Apple PayはiDやQUICPayの設定がカンタン、機種変更も容易

ポストペイドのiDとQUICPayの設定の容易さに関しては、Apple Payの圧勝だ。おサイフケータイでそれらを設定する場合には、まずクレッジトカード会社に電子的なQUICPayカードの発行を依頼し、郵送で送られてくる文字列などを登録してから利用することができる。クレジットカードの発行会社によるが、依頼してから送られてくるまで1週間〜数週間かかる場合があり、はっきり言って面倒くさいことこの上ない。

また、機種変更時も非常に面倒なことこの上ない。QUICPayの場合、機種変更時には機種変更用の番号とパスワードを控えて、それを機種変更先の新しい端末で入力する必要がある。それのメモを間違ってしまったら、もう一度クレジットカード発行会社に連絡し、再度QUICPayカードの再発行を依頼することになるので、再び1週間〜数週間待ちということになる。

これに対して、Apple PayのiDとQUICPayの登録は非常にシンプルだ。まず、Apple Payに対応しているクレジットカードを用意する。それをWalletアプリからカメラでスキャンする。すると、クレジットカードの番号や有効期限などが読み取られるので、読み取られなかった情報(名前や3桁のセキュリティコード)を入力し、その後各カード会社から送られてくる確認のSMSに書かれている確認番号を入れて完了だ。また、既にApple Storeなどでの物品の購入にクレジットカードを利用しており、自分のApple IDに紐付いている場合にはそのカードが自動で読み込まれてくるので、話は早い。

Gallery: Apple Payにおけるクレジットカード登録手順 | 8 Photos


▲Apple Payの設定手順は、Walletアプリからカードを追加して、SMSで認証するだけと非常に簡単。この例は楽天VISAカードを登録している例。QUICPayに割り当てられる

読み込んだクレジットカードに対しては、iDないしはQUICPayの機能が割り当てられる。割り当てはクレジットカード会社があらかじめ決めておくもののようで、ユーザーで選ぶことはできない。筆者の手元にあったクレジットカードでは、JCBカードはQUICPay、dカードはiD、楽天VISAカードはQUICPayが割り当てられた。

このことは、両者の仕組みの違いを示している、おサイフケータイのiDやQUICPayは、専用の電子カードが発行され、それがおサイフケータイとして端末にインストールされる形となる。このため、端末が壊れたり、無くしたりすると、その電子カードを"再発行"というプロセスをやらなければならない。

これに対して、Apple PayのiDやQUICPayは、ユーザーが所有しているクレジットカードの情報(番号、有効期限、セキュリティコードなど)をApple Payに格納、そこにPOS側からアクセスする手段としてiDやQUICPayを利用するという形になっている。このため、Apple PayのiDやQUICPayでは機種変更という概念がない。仮にiPhoneを新しくした場合には、再びクレジットカード情報を新しいiPhoneに登録するだけで利用することができる。

また、仮にiPhoneを無くした場合でも、iPhoneを紛失モードに設定しておくと、Apple Payの機能が停止するので第三者に悪用される心配を減らすことができる。
ただし、よりセキュリティ性を高めるために、お店でApple PayのiDやQUICPayを利用して支払う場合には、利用するカードを選択して、Touch ID(iPhoneの指紋センサー)を登録した指でタッチした状態(ないしはPINコードを入力した状態)で支払う必要がある。多くの場合、両手で決済しないといけないのは面倒だが、セキュリティとのトレードオフなので、こればかりは致し方ないだろう。


Suicaの使い勝手:引き分け(一長一短)

──吸い取ったSuicaを使うだけなら簡単だが、フル機能を活用するにはおサイフケータイと同じ面倒な会員登録が必要

ポストペイドのiDとQUICPayに関しては、Apple Payの方が圧倒的に便利で使いやすいとしたのは、前項で説明したとおり。一方でSuicaに関しては、一長一短で、それぞれにメリットデメリットがある。以下の表2は、Apple Pay、おサイフケータイそれぞれのSuicaに関しての機能を表にしたものだ。

表2 Apple PayのSuicaとおサイフケータイのモバイルSuicaの違い Suicaの基本的な機能である、電子マネー、オートチャージ(ビューカードのみ対応)、Suica定期券(JR東日本発行の定期券を電子的に格納する機能)、Suicaグリーン券(JR東日本の近郊路線などに設置されているグリーン席にSuicaで乗れる機能)、モバイルSuica特急券(JR東日本管轄の新幹線や特急などに乗るための特急券を電子的にSuicaに格納する機能)に関してはどちらもサポートしている。



Apple PayのSuicaアプリ。最初に「おサイフケータイからの機種変更」or「新しいSuicaの発行」or「プラスチックカードを取り込む」を選べる。(なお、おサイフケータイ>Apple Payの機種変更は可能だが、その逆は不可


▲改札を通るとこのような通知が行われる




▲前日までの利用履歴も確認出来る

iPhoneだけで東海道新幹線には乗れない

Apple PayではモバイルSuicaでサポートされている機能のうち、EX-ICとクレジットカード以外の決済(キャリア決済、銀行口座決済、ネット決済)には対応していない。後者に関しては、学生などクレジットカードを持っていないユーザーの場合には、チャージするにはコンビニなどで現金でSuicaにチャージできる環境を利用する必要がある。

なお、Apple PayのSuicaでは、Suicaのサービスに登録してあるクレジットカード(モバイルSuicaの場合は1枚しか登録出来ない)だけでなく、Apple Payに登録してあるクレッジトカードで支払うことができる。チャージはApple Payに登録されているクレジットカードか、Suicaに会員登録してSuicaサービス側に登録したクレジットカードで行うこともできる

EX-ICはJR東海のエクスプレス予約でサポートされているEX-ICカード(東海道新幹線専用のFeliCaカード)をモバイルSuicaで代用するサービスで、別途EX-ICカードを持ち歩かなくても、モバイルSuicaだけで東海道新幹線に乗ることができる。Apple PayのSuicaはこのEX-ICには対応していないので、東海道新幹線にiPhoneだけで乗ることができない。

Apple Payなら複数枚のSuicaを使い分けられる

しかし、Apple PayのSuicaだけに追加されている機能もある。具体的には以下の3つだ。
  1. 複数のカードを格納できること、
  2. プラスチックカードのデータを取り込むことができる
  3. クラウドにカードをアップロードしておける
おサイフケータイでは1端末に1枚のカードしか利用できない仕様なのに対して、Apple PayのSuicaでは複数のカードを格納できるようになっている。それぞれに名前をつけておけるので、例えば通勤用、プライベート用とを別けて精算が容易になるように使うなどの使い方が考えられる。

なお、Apple PayではSuicaに限り、Touch IDを使わなくても決済できるようにする仕組み(エクスプレスカード設定)が用意されており、端末がスリープ状態でも決済できるようになっている(駅の改札を通るときにTouch IDを触りながらなどはあり得ないからだ)が、そのエクスプレスカード設定をしておけるのは1つのSuicaカードのみとなるので、普段使っているカードを指定しておく必要がある。

Apple PayではプラスチックカードのSuicaカードを取り込んで電子カードとして使うことができる。Suica(無記名)、My Suica(記名式)、Suica定期券(通勤・大学生相当の通学)、記念Suicaだけで、高校生以下の通学定期、クレジットカードに付随するSuica、小児用Suicaなどは読み込むことができない。なお、サービス初日に対象となるSuicaで読み込めないことがあったのはシステム側のトラブルとみられ、徐々に解消していくだろう(この記事を書いている25日深夜の時点でも読み込むことができなかった)。

また、その取り込んだカードを含めて、機種変更時にはカードの情報をクラウドにアップロードしておけることも特徴と言える。モバイルSuicaの機種変と考え方は同じだが、機種変時だけでなくいつでもクラウドにカードをアップロードして、他の端末に移すことが簡単になっていることはApple PayのSuicaのメリットと言える。ただ、注意したいのは、クラウドへのアップロードを行うには、カードを端末から"削除"しておく必要があることだ。端末から削除すると、自動でクラウドへアップロードされるため、日本語としては間違っていないのだが、削除と言われるとまるでカードそのものがなくなってしまうような印象を受ける。もう少し安心してアップロードできる用語にして頂けると嬉しいところ。


▲Apple PayのSuicaアプリのユーザーインターフェース。基本的な仕組みはおサイフケータイのモバイルアプリとほぼ同じ


▲おサイフケータイのモバイルSuicaアプリ

最後に、Apple PayのSuicaがおサイフケータイのSuicaに比べて設定が簡単になったかに言及したいが、ケースバイケースだ。今あるプラスチックカードを取り込んで、Apple Payを使ってチャージして使う使うだけなら会員登録の必要も無いので、圧倒的に簡単になった。

しかし、Suicaの機能すべて(モバイルSuica特急券、Suicaグリーン券、Suica定期券)を使うには会員登録が必要になり、そこの煩雑さはおサイフケータイ時代と何も変わらない。Suicaアプリケーションのユーザーインターフェースそのものも、おサイフケータイのモバイルSuicaアプリとあまり大きく変わって無く、やや古くさい印象を受ける。その意味では早期のEX-ICのサポートも含めて、今後のバージョンアップに期待だ。

発展性:Apple Payのほうが高い、Android陣営は新しい決済方法の普及を

──Apple Payは決済方法をアプリに開放し、ユーザーはアプリにカード番号を渡さなくても決済できる

Apple Payはいわゆる非接触決済と呼ばれるFeliCaやNFCをPOS端末のリーダーにタッチする支払い形式以外にも、アプリがApple Payを利用して支払う仕組みをもっている。

これを利用すると、アプリは決済時にApple Payに対して支払いを要求し、ユーザーがTouch IDで認証した時だけ支払いを行うと言うことが可能だ。このため、ユーザーはアプリに対して個人情報やクレジットカード情報を渡さなくても決済が完了するため、安全な取引が可能だ。

例えばJapanTaxiが提供しているタクシーを呼べるアプリ"全国タクシー"は、従来は会員登録を行った上、クレジットカードないしはキャリア決済の設定をする必要があった。しかし、Apple Payのサービスが始まって以降は、Apple Payにクレジットカードを登録しておけば、会員登録をしなくてもタクシーを呼んで、決済はApple Payでということが可能になる。


▲アップストアからダウンロードできる全国タクシーアプリ


▲会員登録していなくても、Apple Payで決済することができる


▲会員登録するとキャリア決済とクレジットカード決済ができるが、Apple Payを利用する場合には必要ない

こうしたことが可能になっているのも、Apple Payがアプリに対して決済方法を提供しているから。現状のおサイフケータイではこうした標準的な決済方法が用意されていないため、アプリからは端末上の電子マネーを決済方法として利用できていない。この点は明確にApple Payのアドバンテージと言え、今後Googleが米国で展開しているAndroid Payなどの日本での展開に期待したいところだ。

このように、現在のおサイフケータイはApple Payより多くの電子マネーをサポートしていることは強みだが、仕組みがフィーチャーフォン時代のそれを引きずっており、スマートフォン時代にはやや時代遅れの仕組みになっている部分が多くなってきている。それに対してApple Payは最初からスマートフォン向けとして開発されているため、アプリへの開放も含めて、新しい仕組みになっていることが最大の違いとなる。Android陣営にも、同じようにスマートフォン時代にあった新しい決済方法が提供されることを期待し、より利便性の高いモバイルペイメントがもっと普及することを期待して、この記事のまとめとしたい。


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