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池澤あやかレポート:中国・深センで芽生えるメイカームーブメント。最先端のハードウェアスタートアップを見てきました

小ロット生産が可能なメリットを活かした企業が続々

池澤あやか (AYAKA IKEZAWA)
2016年11月28日, 午前06:00 in makers
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みなさんこんにちは、池澤あやかです。タレントとエンジニアの二足のわらじを履いています。



突然ですが、やってきました中国・深セン。

深センには、秋葉原の30倍ある世界一大きい電気街「華強北路(ファーチャンぺー)」があり、ギークにはたまらない街になってます。


▲超巨大電気ビル「華強電子世界」。一棟すべて電子パーツやガジェットしか売っていません。こんなビルが何軒も軒を連ねるのが華強北路。


▲たくさんのドローン。


▲アマチュア無線用の無線機を購入しました。こちらなんと、ワンフロアすべて無線機と監視カメラ!

今回はそんなホットな電気街でのメイカームーブメントを追うべく、メイカーフェア深センの運営チームでもあり、チームラボに所属している高須さんが主催する「ニコ技深圳観察会」に参加し、ハードウェアスタートアップのオフィスや工場を見学させていただきました。

ハードウェアスタートアップにとっての深センとは

実はここ深センは、ハードウェアスタートアップにとってなくてはならない場所となっています。

深センには電子パーツの問屋や各種工場(プリント基板、金型、パッケージ、組み立て)など、製品づくりに必要な問屋や工場が密集しているので、安く・素早く製品づくりできるのが特徴です。深センでプロトタイプを開発して、クラウドファンディングでお金を集め、再び深センで製品開発を行い、シリコンバレーの投資家からお金を集める――というハードウェアスタートアップにとってのエコシステムができつつあるのです。

2010年前後、シリコンバレーで「Dropbox」や「Airbnb」「Heroku」など、ソフトウェアスタートアップがたくさん生まれました。が、初期投資が少なくて済むソフトウェアスタートアップに比べ、ハードウェアスタートアップは、初期投資や製造、在庫管理面のハードルが高く、これまであまり盛り上がってきませんでした。

しかし、これも過去の話。最近はクラウドファンディングが軌道にのりはじめ、プロトタイプ資金を集めやすくなったことをきっかけに、徐々にハードウェアスタートアップの数も増えてきています。

ようやく土壌が整ってきた今だからこそ、深センがアツいスポットになってきたわけですね!

ハードウェアスタートアップを加速させるアクセラレーター「HAX」とは



深センには「HAX」というアクセラレーター(スタートアップ企業をサポートする組織)がいます。彼らは半年で15組のハードウェアスタートアップのサポートをしています。

参加するスタートアップは、6%の自社株と引き換えに、マーケティングやテクニカル、クラウドファウンディング、スケーリングなどのサポートや、深センやシリコンバレーでのネットワークの提供、場所・機材の提供などさまざまなサポートを受けることができます。

HAX出身のプロジェクトで、クラウドファウンディングが成功しなかったことは未だに一度もないのだとか。


▲工場にはプロトタイピングに最適な機材が揃っています。


▲HAXの卒業生である、デスクトップで使えるウォータージェットカッター「Wazer」。HAXに見学に行った際にプレゼンテーションをしてくださいました。

小ロット製造拠点としての深セン

続いてSeeedという企業の「Agile Manufacturing Center」という工場におじゃましました。同社はもともと「Fusion PCB」という5~300個程度の小ロット向けのプリント基板サービスで成長してきた企業です。今回見学した工場は、プリント基板に部品を乗せるところから検品までを行う工場でした。


▲小ロット生産なので手作業で行っています。

通常の工場では、効率化のために工員さんにはひとつの作業に専念してもらうことが多いそうなのですが、Seeedの工場ではあえていろいろな作業をしてもらうとのこと。それを通して工員さん達に汎用性の高いスキルを身につけてもらうことも目標のひとつなんだとか。

もちろん日本からでもSeeedにプリント基板を発注できます。Seeedのサイトで調べたところ、最安でだいたい1000円くらいでした。

また、Seeedではオープンソースハードウェアの販売も行っています。オープンソースハードウェアとは、概要と設計・実装が公開されているハードウェアのこと。


▲Seeedの有名な製品「Grove」。回路レスでセンサをArduinoなどのマイコンに繋げる。

深センは世界の工場として、大ロットで安く生産するというビジネスで成長してきましたが、Seeedの登場によってプロトタイピングや少量生産を行うメイカーにとっても素晴らしい街になってきたように思います。


▲基板にはんだづけを行うスペース。手作業です。


▲トヨタのカンバン方式をとりいれて製造管理しています。


▲3Dプリンターが機材として置いてあるのも、小ロット工場ならでは。


▲工場着とキャップを装着の元、見学させていただきました。

深センに増えているメイカースペース

ハードウェアスタートアップに欠かせないのが、「メイカースペース」の存在です。メイカーたちが場所や機材、ネットワーキングの共有を行うスペースとして活用しています。

Seeedによって深セン最初のメイカースペースである「Chaihuo Makerspace」が設立されて以来、爆発的にその数を伸ばしており、現在では深センだけでも20箇所以上のメイカースペースが存在するのだとか。



▲「Huaqiangbei International Maker Center」というメイカースペース。こちらのメイカースペースの特色は有名企業がサポートに入ってくれるところなのだそう。


▲こちらの素敵な休憩スペースがあるのは「SegMaker+」というメイカースペース。


▲SegMaker+には遊び心が満載のギミックが


▲SegMaker+の中では、日本各地にもあるファブリケーションラボ「Fab Lab」も発見しました!

深センから生まれるハードウェアスタートアップたち

さて、一昔前の印象から「中国製品=低品質」といったイメージを持たれている方もいらっしゃるかもしれません。今回実際に深センに行って、数々の工場を見た感想としては、確かに安かろう悪かろうなものもたくさん存在するけれど(主に電気街に)、しっかりした製品も作られているということを肌で感じました。

深センのハードウェアスタートアップも同様に、確固たるコンセプトだけでなく、製品の質感も大切にしているところがたくさんあることを確認できました。


▲NXROBO社が開発する「Big-i」。おしゃれなインテリアにもなじむ高級感のあるコミュニケーションロボットです。


▲Makeblockは、メカニック機構をつくるためのアルミフレームやギア、タイヤなどのパーツキットです。

日本のクオリティ水準を深センで維持する会社「JENESIS」

そうした点で印象的だったのが、IoT製品の開発や製造受託を行う「JENESIS」。社長の藤岡さんが中国で起業し、現地で人を雇い、現地のサプライヤーと仕事をしていながら、クライアントのほとんどは日本企業という、深センにいながらに日本人が満足する水準で製品を作っている企業です。

こちらの組み立て工場は、今まで見学してきた工場とは違う趣がありました。工場の中が綺麗なのは見学させていただいた他の工場もそうだったのですが、一番驚いたのはデバッグや品質管理に対する情熱の高さです。

デバイスが暑い環境で長時間動作するか耐久テストを行ったあと、専門スタッフが入念にチェックします。入念に初期不良チェックを行っているんですね。

このフローを挟むかかさまないかで、初期不良率がかなり変わってくるのだそう。こういったチェックをあまりしないような会社だと初期不良率が50%もある場合もあるんだとか。JENESISはこういった品質水準を保つことで他の企業に対し優位性を保っているようです。


▲製品が組みあがったら、室温が猛烈に高い部屋で長時間動作のチェック。


▲耐久テストのあと、専門スタッフがチェックします。

深センに芽生えたメイカームーブメントとは

MakerFaireでも顕著に見られる現象ですが、日本のメイカームーブメントは「電子工作が趣味でつくりました」的なモノが多いのに対し、深センのメイカームーブメントはビジネス色が強く、ハードウェアスタートアップでプロダクトをつくる傾向が強いように感じました。

もちろんこうした点に関しては、単純な良し悪しではなく、それぞれの良さがあると思います。

ただハードウェアスタートアップを立ち上げる際には、深センはプロトタイピングから量産をするまでのハードルが格段に低いし、そういった活動をサポートするコミュニティもかなり整っていることから、大きなメリットがあると感じました。


▲深センではいたるところで工事が行われていました。リアルタイムで変わりゆく街は現在進行形で進化しています。

より詳しい深センのメイカームーブメントについては、今回ツアーを主宰してくださった高須さんが著書「メイカーズのエコシステム」の中でまとめられています。興味がある方はこちらもぜひ!

現場からは以上です、池澤でした。
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