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漱石アンドロイドがついに完成。二松学舎大学と大阪大学石黒研究室の共同開発、特別教授として授業に活用(動画)

合成音声の「元」は夏目房之助氏が担当

橋本 新義 (Shingi Hashimoto)
2016年12月8日, 午後04:40 in Robots
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▲発表会では、制作に深く関わった夏目房之助氏(左)、石黒浩氏(右)との記念撮影も


2016年12月8日、二松学舎大学の九段キャンパスにて、『漱石アンドロイド』の完成発表会が開催されました。これは文字通り、文豪である夏目漱石氏を模したアンドロイドです。

このプロジェクトは、二松学舎大学大学院 文学研究科と、「ジェミノイド」などアンドロイド研究と作成で知られる、大阪大学大学院 基礎工学研究科 石黒研究室の共同研究(と聞いて、写真と比較して納得した方は多いのではないでしょうか)。声は漱石の子孫である夏目房之助氏の声を元にした音声合成によるものです。

Gallery: 漱石アンドロイド 完成記念記者会見 | 25 Photos

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プロジェクトの正式名称は、「教育現場にかかわる人間型ロボットの創成と活用に関する研究」というもの。この計画名のとおり、漱石アンドロイドは人間に対して授業や講義を行なうために設計されており、今後は二松学舎大学の「特別教授」として、実際に学生などに対して講義を行なう予定です。
これはもちろん日本初の試みです。

現在は同校のイベントや授業などに登壇する予定ですが、将来的には各種高校を含む他校への出張講演なども考えているとのこと。

同プロジェクトの公式サイトでは「(アンドロイドやAIの)教育現場の活用は未開拓の領域です。漱石アンドロイドが完成し、大学や高校などで講演や講義、授業をする......それが現実になった時、今まで見えなかった『未来の教育』の扉が開くはずです」といった将来展望も紹介されています。






完成発表会では、自己紹介や小説『夢十夜』の朗読など、スピーチも行なっています。



プロジェクトの目標の一つとしては「文学的なアプローチで漱石の足跡等を改めて辿り、その研究をもとに、最新の技術を用い、漱石の姿を実際に浮かび上がらせること」という点も。

このため制作時は、漱石の残した資料に関して徹底的な調査が行なわれています。まず顔は、朝日新聞社に所蔵されているデスマスクの3Dスキャンを基に、体は漱石が45歳の時に撮影された写真を参考に作られています。



さらに漱石が録音していた蝋管レコードからの音源修復の試み(残念ながら成功しなかったとのこと)や、生前の漱石ゆかりの地を巡り各種の資料を調査するフィールドワークなども実施。



衣装に関しても、実際に漱石が着たコートなどの調査にはじまり、生前撮影されたモノクロ写真からのデジタル解析による色推定なども実施し、素材や色も可能な限り調査し、再現しています。



さて、今回の制作にあたって中心となった石黒浩氏は、プロジェクトの意義に関して「既に亡くなっているが、『作者像』というイメージが定着している方のアンドロイドを作ることで、文学史的研究において大きな意味を持つプロジェクトとなりました。今後は授業などを行なっていきますが、とくに子供達にどういった影響を与えていくのかを考えると楽しみです」とコメント。

また質疑応答では、記者から「将来的にAIを導入して、小説を作成できないか」という旨の野心的な質問も。

こうした質問に対して石黒氏は「(公立はこだて未来大学の)松原仁教授が作家AIを研究しており、星新一賞の審査を通過していますが、果たしてどれだけ上手くいくのかはまだわからないと思います。例えば書き方が比較的決まっているタイプのジャンルで、文体だけを真似るようにすればそれっぽくはできるかもしれないが、それはやっぱり違うと思います」と回答しました。



声の元を担当した夏目房之助氏は「本来私の専門はマンガ研究で、漱石は素人。今回プロジェクトに参加したのは、ひとえに石黒先生が関わっているから。実は石黒先生が手がけられた『マツコロイド』の大ファンであり、また変わったモノが好きなのでここにいます」とコメント。参加者を和ませ(一部は納得させ)ていました。

なお、完成した漱石アンドロイドを見た感想としては「声の元は自分なので、実は漱石が蘇った、という印象は他の方に比べて薄いです(笑)」とのことでした。



発表会は1時間30分にも及んだため、他にも制作秘話や関係者の熱いコメントが多く飛び出したものとなりました。しかしやはり驚くべきは、漱石アンドロイドの(俗な表現ですが)「それっぽさ」です。

この点に関しては石黒氏も「実は作成前のイメージ固めに苦労した。デスマスクのデータはあるが、亡くなる直前の顔のため肉付きが良くなく、表情も『生きている顔』ではないため多くの修正が生じる」とコメント。

「一般的な方々の夏目漱石のイメージは千円札にも使われた肖像画だと思うが、実はそれをベースに立体造形してみると、少し角度を変えるだけで違和感が出てくる。それを減らすために多くの会議などをして詰めていった」と、多くの苦労があったことを忍ばせる話も飛び出しました。



こうして完成した漱石アンドロイド。今回のプロジェクトは期間を5年と区切ったものですが、期日的な余裕は比較的多いため、今後は様々な形で見かけることとなりそう。

最初の一般公開は冒頭でもリンクしている12月10日の「夏目漱石国際シンポジウム」と、同日の有楽町朝日ホールのギャラリーへの登場となります。機会があったらぜひ、この完成度を実際に見て欲しいところです。
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