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アップル、「自分で自分を鍛えるAI」の研究論文を公開。研究者確保に向け秘密主義を転換か

機械どうしの超高度な「まちがいさがし」

Munenori Taniguchi
2016年12月27日, 午後03:30 in ai
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12月22日、アップルによる初のAIに関する論文が公開されました。論文テーマは「コンピューターによる画像認識アルゴリズムの改善にコンピューター合成画像を用いる方法」。大雑把に言えば、画像認識AIを鍛えるための元ネタをコンピューターに自分で作らせて自分で学習させるという、なんだか星新一のショートショートにありそうな内容です。

画像認識系のマシンラーニングでは、ニューラルネットワークに食わせるための写真を大量に用意し、さらにラベル付けする作業の手間が馬鹿になりません。この膨大な量の手間をコンピューター自身にやらせてしまえという発想です。もちろんコンピューターが自ら合成して生み出す画像データには、すでに「木」「犬」「自転車」といったラベルも付いています。

ただ、アップルの論文では「合成画像を使うにしても充分に現実的でないものを使った場合は、通常の(現実世界の)写真をうまく認識できなくなる場合がある」として、学習用の合成画像といえども一定レベルで現実に即した描写をしなければ効率的な機械学習効果を得られないとしています。

そして、アップルの研究者はGenerative Adversarial Networks(GAN)と称する近年人気の機械学習技術を改良した、Simulated+Unsupervised learning (S+U Learning)技術を開発しました。S+U Learningでは、2つのニューラルネットワークを対向配置し、ある画像データを元に片方(A)が一部を微妙に改変した画像データを生成、もう片方(B)がその画像の改変を識別し、過去の認識データの例を踏まえた新しい画像として再生成、ラベリングすることでリアルかつ機械学習に使える画像を自動的に作り出せるようにしたとのこと。

論文執筆者はメリーランド大学カレッジパーク校でコンピュータービジョン(ロボットの目)の研究で博士号を持つAshish Shrivastava氏。そして共同執筆者には感情を含む顔認識機能技術を持つAIスタートアップEmotient(2016年初めにアップルが買収)の創業者らが名を連ねています。

製品発表のしかたを振り返るまでもなく、秘密主義を貫いてきたアップルが独自に研究している技術を公開することなど、従来は考えられませんでした。ただ、近年のAI研究競争は激化の一途を辿っており、秘密主義・独自開発を貫いていては、研究成果を世間に広めたいと考える優秀な研究者を採用できないという問題もあったのかもしれません。

アップルは現在、Siriをはじめ、写真アプリの識別機能から自動運転技術といった、AIという単語で一括りにされる様々な技術の開発を進めています。今回のようにアップルによる学術的論文の発表が当たり前になれば、優秀な研究者たちも(おそらく豊富な研究予算もある)アップルで研究をしたいと思うようになるかもしれません。

論文は「Learning from Simulated and Unsupervised Images through Adversarial Training : Ashish Shrivastava, Tomas Pfister, Oncel Tuzel, Josh Susskind, Wenda Wang, Russ Webb
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