Sponsored Contents

smartphoneの最新記事

Image credit:

iPhoneより売れたスマホ「R9」でグローバル展開を目指す、オッポの戦略:山根博士の海外スマホよもやま話

新興国の次はアメリカや日本をターゲット

山根博士(Yasuhiro Yamane) , @hkyamane
2017年2月17日, 午後08:00 in smartphone
365 シェア
111
142
0
112

連載

注目記事

「単身40代が日本を滅ぼす」との調査をNHKが解説「AIは、人の顔色を伺って結果を出したりしない」

「単身40代が日本を滅ぼす」との調査をNHKが解説「AIは、人の顔色を伺って結果を出したりしない」

View

人気記事

ニンテンドースイッチのJoy-Con、特許侵害で提訴。Gameviceが生産および販売停止と損害賠償を求める

ニンテンドースイッチのJoy-Con、特許侵害で提訴。Gameviceが生産および販売停止と損害賠償を求める

View

スマートフォンメーカーのシェア争いの動きは年々激しさを増している。トップのサムスン、2位アップルの順位はここ数年変わらないものの、3位以下のメーカーの勢力が伸びているのだ。2016年のスマートフォンシェアは1位がサムスン20.8%、2位はアップルの14.5%だった(ストラテジーアナリスト調査)。しかし両者ともにシェアの数字は前年より落としている。

これに対し3位のファーウェイは9.3%と、アップルの後姿が見える位置まで追いかけてきた。だがファーウェイも3位の座は安泰ではないかもしれない。4位のオッポ(OPPO、広東欧珀移動通信)が急激に追い上げているのだ。

2015年のシェアはファーウェイが7.4%、オッポが2.8%と大きく開いていた。しかし2016年のオッポのシェアは前年から倍増の5.7%と伸ばしており、スマートフォン市場で今もっとも勢いのあるメーカーとして知られるほどになった。

▲急成長を遂げたオッポ(OPPO)。「拍照手机」は中国語でカメラスマホの意味

オッポの勢いは地元中国に行けば一目瞭然だ。繁華街にはオッポの大きな広告が掲載されており、地下鉄の駅構内からオフィスビルのエレベーターの中まで、同社のロゴを見かけないことは無い。アップルが黒を基調としたモノトーンの広告を展開する中、コーポレートカラーであるオッポの緑色を使った広告は、ターゲットユーザーとする20-30代の消費者とマッチする、若々しさ、あるいは活き活きとしたイメージを彷彿させる。

またアジア各国でもオッポの店を多く見かけるようになってきた。インド、フィリピン、シンガポールでは売れ行き上位3位以内に入ることもあるなど、有名メーカーに並ぶほどの人気だ。

しかもオッポの製品は格安だから売れているのではない。売れ筋モデルの価格帯は200ドルを超えており、現地ではやや高めの価格帯にもかかわらず人気なのである。

▲タイのバンコクBTS駅構内のオッポの広告。タイでも十分知られるメーカーになっている

オッポの強さは数字も裏付けている。2016年の中国国内のスマートフォンの機種別販売台数で、オッポの「R9」はシェア4%で1位となった(カウンターポイント調査)。2位はアップルの「iPhone 6s」だが、シェアは2%とオッポの半分。つまりR9はiPhone 6sの倍も売れたのだ。中国では2012年以降、歴代の機種別販売台数トップはiPhoneだった。だが今やiPhoneではなくオッポを選ぶ消費者が急増しているのである。

同じく中国国内のメーカー別出荷台数では、2016年第3四半期にオッポが初めて1位となった(同)。2016年を通しての1年間ではファーウェイが1位(16.4%)を死守したものの、オッポは15.5%まで伸ばし2位。両者はほぼ並んだと言ってもいいだろう。ちなみに3位以下はビボ(VIVO)が8.4%、シャオミが10.9%、アップルが10.4%、サムスンが6.9%と続く。前年と比較すると、ファーウェイは21%増と好調だったが、オッポは109%増とその伸びは驚異的だ。ちなみにシャオミとアップルは前年比マイナス約20%だった。

▲2016年、中国で最も売れたスマホはiPhoneではなくオッポのR9だった

オッポが存在感を現したのはここ1-2年の間だ。その強みはスマートフォン機能の「選択」にある。シャオミが1999元(約3万3000円)というわかりやすい価格でハイスペックな端末を売りだして人気になったのに対し、オッポは「自撮りカメラ」「急速充電」を大きくアピールして消費者の注目を集めている。

今やスマートフォンはどのモデルを買っても、ユーザーが使う機能はほぼ同じだ。そして若い世代がスマートフォンで日々行っているのはSNSに自分の姿をアップすることであり、最も必要と考えている機能は端末の電池が切れそうになった時に急いで充電できることだ。

前述の中国国内のメーカー別出荷台数を見れば、シェアを伸ばしているメーカーは同様な動きを見せている。ファーウェイはライカとのコラボレーションで高画質カメラ、ビボはセルフィーや音楽機能を強化。そのメーカーのスマートフォンを買えば何ができるのか、という具体像を消費者に植え付けることに成功している。一方シャオミとアップルは「何でも出来るハイスペックでおしゃれなスマートフォン」という、漠然としたイメージ展開だ。

▲5分の充電、2時間通話。わかりやすいキャッチコピーだ

フラッグシップモデルのR9s、R9s Plus共に自社開発の急速充電技術「VOOC」を搭載し、「5分の充電で2時間の通話」をアピール。そしてカメラ画質はどちらもフロントが1600万画素だ。しかもこの下のミッドレンジモデル「A59s」「A57」も同様に1600万画素のフロントカメラを搭載する。オッポ=自撮りがキレイなのは、上位モデルだけではないのである。

ではiPhoneより売れたR9はさぞかしハイスペックなスマートフォンかというと、実はそうでもないのだ。チップセットはメディアテックのMT6755を採用(後継かつ現行のR9sはSnapdragon 625)。Snapdragon 800系を積む他社のハイエンド品より1ランク下の製品だ。しかしメモリーは4GBを搭載、カメラまわりを中心に動作もチューンナップされている。

価格は2499元(約4万1300円)と、Snapdragon 821を搭載するシャオミ「Mi5s」の1899元(約3万1400円)よりも高い。それでも中国の消費者が「より低スペックで高価」なR9を選ぶのは、自分たちが求めている機能が強化されているからだ。

ちなみにiPhone 7の価格は最低モデルが5388元(約8万9000円)で、R9の倍。総合的な性能はもちろんiPhoneのほうがはるかに上だ。しかし「フロントカメラ」「急速充電」に関していえば、iPhone 7はR9に「惨敗」なのである。

▲中国の大手家電量販店でもオッポを一押ししている

こうした製品の特長に加え、オッポは古くからオフライン=実店舗での販売も強化してきた。シャオミがネット販売で急激に成長を続けた2013-14年ころから、各メーカーも右に倣えとオンラインストアを開設していったが、オッポはそれと並行して国内の大都市だけではなく、地方都市まで店舗をくまなく広げていった。情報の入りにくい地方都市で、新製品や現行モデルの実機に触れることのできる実店舗はプロモーションの場として重要な存在だ。

実はこのオフライン展開のノウハウが、オッポの海外進出を強力に後押ししている。オッポは現在、東南アジアやインドなど新興国を中心に海外展開を行っている。しかし急に進出をしたオッポに対するそれぞれの国での印象は「中国の得体の知れないメーカー」というものだろう。だが店舗の作りや展示されている実機を見れば、有名メーカーに負けない製品を出していることがわかる。しかもセルフィーカメラや急速充電は大手メーカーを上回る性能なのだ。
▲ミャンマーヤンゴン市内にも多数の店を出店している

オッポはインドやフィリピン、シンガポールなどでシェア3位以内に入ることもあるなど、多くの新興国で大手メーカーの仲間入りを果たしている。タイやマレーシアではオッポを真っ先に選ぶという若い女性層の声も多く聞かれる。オッポを買うことが一つのステータスになっているのだ。

オッポの最新モデル、R9sとR9s PlusのデザインはどことなくiPhoneに似通っている。だが今ではメーカーのスマートフォンも外観は大きく変わらない。一方でフロントカメラ性能と充電周りの機能はiPhoneでは太刀打ちできないほど高性能だ。オッポが売れているのは決してiPhoneの劣化コピーだからではない。そこを見誤っては、オッポの急成長を理解することはできない。

▲6インチディスプレイモデルのR9 Plus

このように製品の良さと販売チャネルの拡大で世界シェア4位に食い込んできたオッポ。しかし出荷台数の大半を占める中国市場はスマートフォン普及率が100%に近づいており、新規購入より買い替え需要が高いという先進国と同じ市場構造となった。そのためオッポは今後さらに新興国へ販路を伸ばしていくだろう。アフリカへの進出も、中国の地方都市での販売店展開の経験が大いに役立つ。物流やオンラインペイメントなどのインフラが未整備な新興国では、オフライン販売に強いメーカーだけが成功できるだろう。

とはいえ新興国での競争は今後厳しさを増してくだろう。またオッポが得意とするスマートフォンの機能も、次のトレンドの波には乗れないかもしれない。例えば急速充電はクアルコムなどがより良いソリューションをこれから出してくるだろう。今の製品展開のまま、オッポの成長がこれからも続く保証は一切ない。

▲オッポが独自開発した急速充電技術VOOC

あと数年、「数」を追い求めるだけであれば新興国中心の展開も有効だが、今後も成長を求めるのであれば名前を見るだけで買ってもらえるメーカーになる必要がある。つまりブランド力の強化が急務だ。オッポはまだ中国の1企業としての認知度しかなく、しかも新興国でしか知られていない、ローカルメーカーに過ぎない。

数年後にサムスンやアップルと並ぶ、真のメジャーメーカーの仲間入りを果たすためには、まだ参入を果たしていない先進国市場へ出ていくことは必須だろう。先進国ではR9sなどの上位モデルだけを投入し、一定の販売数を確保できれば、認知度も高まりブランドを浸透させることができる。

一部の報道によれば、オッポは2017年中にアメリカ市場に参入するとのこと。キャリアの過度な端末割引販売が廃止され、消費者が製品の価値と価格にシビアになったアメリカならば、オッポの上位モデルは十分受け入れられる要素を持っている。そしてアメリカを足掛かりにヨーロッパへの展開を行えば、グローバル市場でファーウェイの後をぴたりと追いかける、競争力のあるメーカーとして存在感を高めていくだろう。数年後にはオッポのスマートフォンが日本で売られている時代がやってくるかもしれない。
関連キーワード: oppo, R9, smartphone, vooc
365 シェア
111
142
0
112

Sponsored Contents