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120Hz倍速は間違え!UPQとDMMが4K 65/50型モニター仕様を誤ったワケ。対応に差、背景に景表法の新ルール【詳報】(更新)

結局、購入者がどう感じるか? かなぁ

津田啓夢(Hiromu Tsuda) , @boobyn
2017年4月26日, 午前06:00 in 4K
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UPQとDMM.makeが販売したディスプレイの仕様に誤りが見つかり、双方が謝罪しその対応を発表しました。誤記載は「120Hzの倍速駆動」の箇所で、より滑らかに表示できるかに関わるところです。

UPQとDMM.makeの2社は、対応を明記していたにも関わらず倍速駆動に対応していないディスプレイを販売していたことになります。今回は誤記載の経緯とその対応、背景にあるものなどを掘り下げてまとめます。

追記(2017年4月26日20時30分):今回の問題の是非を問う記事の掲載を開始しました。リンクを追加いたします。

最初に、この記事に誤記がないことを祈るばかりです。もし誤記がありましたら、大変申し訳ありません(震え声)。Engadgetで掲載中の記事についてはすでに訂正をいれています。なお、今回の発表は4月12日にあったものです。ニュースとしては幾分旬が過ぎている気もするので、諸々の情報をまとめる形をとっています。

(訂正2017/4/26 9:03、11:44) 本文中で120MHzと記載していた部分を60Hzに訂正、その他誤字を修正しました。

UPQの誤記載


前述した通りですが、UPQではリフレッシュレートの表記が誤っていたとして、対象3モデルについて謝罪。当初、UPQの発表や販売店Webサイトなどで「120Hz」の倍速表示対応をうたっていましたが、正しくは「60Hz」だったとしています。



なお対象モデルは以下の3モデルです。
  • Q-display 4K50
  • Q-display 4K50X
  • Q-display 4K65 Limited model 2016/17
リフレッシュレートが高ければ、一般に残像感の少ない滑らかな映像になります。PCでFPSゲームなど動きのあるゲームをするユーザーなどは、ゲーミングモニターとして高リフレッシュレートのディスプレイを求める傾向にあり、4Kで144Hzのモニターなども発表されているところです。

UPQの4Kモニター第1弾となったQ-display 4K50の価格は税抜7万5000円です。ユーザー目線で言えば、高リフレッシュレートの50インチの4Kモニター、しかも、テレビチューナーを付ければテレビとしても使えて7.5万円〜ならお買い得! そう思った人も多かったはずです。

DMM.makeの誤記載


続いてDMM.makeの誤記について。なお、DMMの製品はUPQのODM製品で、対象モデルは以下の2製品となります。
  • DME-4K50D
  • DME-4K65D

さらっと流しましたが、ODMとは企画設計開発など製品投入のほぼ全てをUPQが請け負っているということです。わりと知られたOEMというのは、製品の企画設計開発などをDMMが手がけ、生産などを外注する形。

OEMは「発注元>発注先」の主従関係が強いですが、ODMの場合は企画製品開発をまるっと委託するため、より請負側の企画製品開発能力が問われます。委託元が委託先について生産能力以外もポテンシャルを買っている状態と言えます。



基本的に、UPQとDMM.makeの対象製品は同じものと言っていいです。誤記載についても「120Hz倍速駆動」が誤りで、正しくは未対応と同じもの。

DMMは誤記載の理由について、UPQの製品仕様書に120Hzと記載されていた点をあげています。DMMブランドで売ってはいるものの、あくまでもUPQがミスした形をとっているのはODMのためでしょう。

なぜ同じ製品で対応が違う?


しかし、対象5製品へのUPQとDMMの対応は、大きく異なっています。

UPQの対応は、お詫びの意味を込めて2000円分のAmazonギフト券を対象のユーザーに配るというもの。一方のDMMは、購入者からの返金希望を受け付けるというものです。両社の手続きについては、各案内を確認ください。
なお、UPQ製品に関していうと、今回の誤記載について販売店舗によって案内の仕方が異なるとしています。すでにダイレクトメールなどで購入者に案内しているところもあれば、これからそういった対応をとるか検討するところもある模様。いずれにせよ、そこは販売店の方針次第としています。

では、どうして同じ製品なのに対応が異なるのか? 会社が違うから、といった面もありますが、実はここに法律が絡んでくるのです。その点も後述しますが、まずはその前に伝えるべきことをお伝えします。



販売台数と売上高:UPQ非公表、DMMは約1万台


対象5モデルのうち、UPQの3モデルについては生産数と販売台数のいずれも非公表となっています。一方、DMM.makeは現在までの販売台数を約1万台としています。

DMMの50インチモデルが税抜5万9900円、65インチモデルが税抜15万9900円ですから、仮に全て50インチモデルだった場合に5億9900万円、全て65インチモデルなら15億9900万円の売上げという計算になります。割合は定かじゃありませんが、単純計算で売上げ規模は6億弱〜16億弱といったところ。

ちなみに、販売数を公表していないUPQは、当然売上高も非公表です。しかしDMM.makeには及ばないものとみられます。それは後述。

景品表示法の新ルール、課徴金制度について


UPQとDMMで対応が異なるのはなぜか? それは消費者庁と関係する話です。

言うまでもありませんが、消費者庁は我々消費者を守り、啓発を行う行政機関です。ざっくり言うと「おい、モノ売るってレベルじゃねぇぞ!」というユーザーの声に耳をかたむけてくれる役所です。縦割り行政によって、溝ができていた消費者保護関連の施策を横断できる機関として生まれました。

比較的馴染みのあるところで言えば、景品表示法やJAS法、特定商取引法、特定電子メール法、製造物責任法、食品安全基本法などはここの所管。困ったときの相談窓口として知られる国民生活センターも消費者庁が後ろにいます。



そうした中で今回のUPQとDMMの事案に関わってくるのが、景品表示法(景表法)です。

2016年4月より景表法に新たに課徴金制度というルールが加わりました。これは優良誤認や有利誤認の商品に対して、追徴金を取るというもの。

もっと平易に言うと、他と比べてはっきりと良いというわけでもないのを、なんだかすごく良いもののように伝えて消費者が誤解したまま買っている、という状況ならば消費者庁がそれが売れた分だけ金を取りますよ、というルールです。具体的には、対象品の売上高に3%の乗せて金を取ります。

なお、この制度には減額措置などいろいろあります。行政側がやりたいのは金を取ることではなく、不当な表示を減らすことです。もしこの疑惑に該当する可能性があっても、いろいろ努力で免れる余地があります。

たとえば、不当表示を自ら報告すれば1/2の減額、手続きに従って返金措置をとれば課徴金を取らないといったものがそれ。加えて、この制度は課徴金が150万未満だった場合や、商品の売上が5000万円未満の場合にはお金を取れません。



DMMは今回のディスプレイの販売で、少なく見積もって5億円以上の売上がありました。つまり、5000万を超えた売上げ規模で、この制度に抵触する可能性があるというわけです。自ら申告し早期に返金措置をとらなければ、3%を乗せた追徴金が売れた分だけかかることにもなるので、すぐに返金対応をとる必要があったと想像できます。

前の方で販売台数について言及した際、UPQがDMMより販売数および売上高が少ないと書いたのはこのため。売上げ規模が大きければ、課徴金があるのでUPQも返金措置を積極的にとる必要があったはずです。いずれにしても、DMMがこの課徴金制度を命じられる可能性があるというだけで、現時点て命じられたわけではなく、黙っていたら命じられたのかというものでもありません。あくまでも自分たちで先に動いた形。



ちなみに、この景表法の追徴金制度、国内最初の納付命令は三菱自動車に出ました。記憶に新しいところだと思いますが、三菱自動車が2016年に燃費試験データの不正を働いたという話を覚えておいででしょうか。この件が優良誤認であるとし、消費者庁は2017年1月、4億8507万円の追徴金処分の命令を下しています。

また、直近で消費者庁の優良誤認事案としては、同庁は措置命令をフリーテルに出しています。これはフリーテルがうたう「業界最速」について、消費者庁は裏付けとするデータに、そこまで言うほどの根拠が認められないとしています。Engadgetでも記事にしています。

スペックが違う! 発覚とその後の対応


話をUPQとDMMの方に戻します。ここで双方に取材した誤記載の発見、その後の対応までの経緯をざっくり時系列でまとめます。



3月、UPQは現在開発中の次期モデルの検証を実施。3月中旬、とあるブログにてカタログと実測値でスペックが異なるとの指摘がなされます。この投稿をDMMの担当者が発見し、UPQに確認を求めました。これが発端。

UPQは次のモデルの検証と同時に、現行モデルの検証を実施します。3週間の調査検証を経て、120Hzではなく60Hz、スペック値に誤差があることが判明しました。

なお、AV Watchの西川善司氏のレビューでは、2月の段階でDMM製品のリフレッシュレートについて言及していました。さすが西川さんです。
UPQとDMM、双方の回答によると、検証結果で事態が発覚したものの、一方でこの件について購入者からの問い合わせはそれまで一度もなかったそうです。それもあって事態の発覚後、UPQはまず消費者庁の表示対策課にこのスペックの誤記載について相談します。

消費者庁からは、消費者からの申告があってはじめて同庁が動ける旨が伝えられました。消費者からの申告はなかったため、消費者庁が動ける案件ではありません。このためUPQは、アドバイスを受けて自主申告の形を取ることを決めました。

UPQやDMMが言うとおり、事前に消費者からの申告がなかったとすれば、受ける先がないため自主申告になったと言えるかもしれません。そもそもUPQの規模では、追徴金制度の対象になり得ないからです。4月11日、UPQの自主申告を消費者庁が受理。翌12日にUPQはWebサイトでその旨発表しています。翌日になったのは、販売店との足並みを揃えたためとしています。

UPQでは消費者庁への相談の中で、過去の自己申告事例などを紹介されたそうです。それらを考慮しプレスリリースを行うべきか、2000円のギフト券を渡すべきかを判断したとコメントしています。UPQ側の言わんとしている意図をくむなら、自主申告の事案はあまりプレスリリースを出すようなものではないようです。



というのも、消費者庁との相談の中でWebでの案内やお詫び対応などについて、本当にやるのか問われたため。自主申告の場合、通常大ごとにしないことが多いようです。「逆効果」という言い方が正しいかわかりませんが、自ら動くことで消費者感情に火をつける場合だってあるからかもしれませんが、ニュアンスまでは取材ではわかりませんでした。

このほか、DMMのように返金措置をうたわない理由についても回答を求めました。上記のDMMの返金措置が制度回避の意味合いがある一方、UPQが返金返品を明示しないのは、事業規模の違いもありそうです。

UPQ側は「正直なところ、UPQには(返品を受けても)置く場所がありません。大きなモニターなので返品していただくにしてもコストがかかり、その面でも厳しいのが現状です」とコメント。また「代替品があれば違った対応も考えらえられますが、そういったラインナップもなく」と話しています。

なおUPQでは現状、行政指導には至らないものと認識しているとのことです。

開発時になにがあったのか?


では、そもそもなぜ、UPQは120Hzをうたったのでしょうか?

UPQやDMMが消費者を騙すつもりがあったとしたら、それは当然許せるものではないはずです。UPQはこちらの問いに「ほかの問題に手をやいてこともあり、工場との間で完全にコミュニケーションロスになっていた」と話しています。

UPQが4Kディスプレイ第1弾となるQ-display 4K50を発表した際、発売日を1カ月以上延期する事態がありました。予定通りに出荷できなければ、なんで予定通りにいかないのだ? となるわけです。クラウドファンディング型のハード開発が増えて以降、少し変わってきた感触はあるものの、大きなメーカーが自前工場で生産ラインを確保するのも計画通りに一定の数をそろえる必要があるためです。

UPQが抱えていた悩みも生産工場の問題でした。下は延期発表時の案内です。この中から注目すべきポイントを抜き出します。

生産を委託している工場からサンプル品を受領し、発見した不具合の修正対応などを行ない本製品の量産を開始しておりましたが、9月5日になり、別の大手メーカーからの注文があり、その優先のため本製品の量産は後回しにするという連絡がはいりました。急遽、工場を訪問して交渉した結果、本製品と同仕様での量産が可能な別の工場と新たに契約。9月8日より再度サンプル品の製造を開始しました。


今回の取材と過去の案内を照らし合わせると、UPQは当初予定していた工場で量産サンプル品を入手、その際は「120Hz対応製品だった」としています。不具合を修正しながら、量産を進める段階まで来ていましたが、ここで急転直下の事態が起こります。

当時の案内では、大手メーカーからの注文で後回しにされたことになっていますが、実はこれ、工場自体が日本でもよく知られるメーカーに買収されたためだったそうです。つまり、突然の買収によって、その工場で某大手メーカーのものしか製造できないことになり、(後回しという形で結果的に)約束を反故にされたということです。

UPQは生産可能な別の工場を探すことに奔走、新たに探しだした工場でサンプル品の製造から再びはじめることになります。これが発売延期の原因であり、今回の120Hz未対応とも関係する要因のようです。

サンプル品の製造は、ハードウェア開発もソフト開発も似たところがあります。仕様書からあがってきたものをチェックし、不具合や新たな修正を指摘。量産品製品化するために何度かこうした工程を経ていきます。

UPQによれば、当時の中国工場では4つのHDMIポート(2.0)を備えた製品が珍しく、新工場で出入力インターフェイスと画面の色チューニングにやりとりが必要だったそう。また、日本語化するのも手間どっており、これらのやりとりに注力した結果、120Hz駆動の仕様がすっぽり抜け落ちたと説明しています。

後の祭りではありますが、チェック体制が整っていればこうした事態は引き起こされなかったのかもしれません。それがUPQ側の言う「完全にコミュニケーションロスになっていた」という言葉の意味のようです。

なお、第1弾の製品以降、急場をしのいだ工場ではなく、それよりも生産体制のしっかりした大きな工場で生産を行っています。しかし、同じように120Hzの仕様が抜け落ちているから、今回の事態になっています。

これは最初の量産品をベースにQ-display 4K50Xなど以降のモデルを生産したためで、仕様がすっぽり抜けたまま気づかずにモデル開発を行った結果と言えます。

とはいえ釈然としないユーザーもいるんじゃないか


取材の中でUPQは、購入者に迷惑をかけた旨、謝罪の言葉を述べた上、事態が再発しないよう各所との関係見直しを図るとコメントしました。同様にDMM側も謝罪のコメントをしています。

とはいえ、なんだか釈然としない購入者もいるんじゃないでしょうか。期待して購入した製品であれば、単にその外観や機能、仕様といったものだけでなく、製品が持つ物語もあわせて購入する面があるからです。

開発秘話や開発背景といったものもそうでしょうか、製品のもつ存在感もそうです。家電の場合、自宅に設置された後の住空間などを想像して買うものだったりもしますよね。

単なるミスではあるかもしれませんが、それを引き金として自分が買った製品の物語が汚されてしまったような気がすれば、モヤモヤするのは当然とも言えます。芸能人の恋人発覚などで、わかってたはずなのになんだか落胆する気持ちになるのと似た感情かもしれません。完全に余談ですが、佐々木希さんの結婚は知らない方が良かった気がしています。

ブランドが弱く、製品ラインナップやマーケティング力に乏しいスタートアップや小規模事業者であればこそ、いかに製品にワクワク感を持ってもらえるかが重要です。今回の事態によって、UPQやDMMは今後の製品展開において、より購入者に夢を届けられる製品を打ち出さなければならなくなったのかもしれません。これまでよりも疑って見られる可能性だってあるからです。

UPQ中澤代表のコメント

UPQ限っていえば、代表の中澤氏個人にも注目が集まるところです。その注目される理由に、非常に珍しい複数製品をぶち上げる家電スタートアップの若き女性実業家という側面も少なからずあるでしょう。



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Engadget 日本版の場合、我々の手がける電子工作イベントをきっかけとして、中澤氏がモノ作りの世界に再びチャレンジする結果になりました。そういった面では関係が深いメディアとも言えます。取材の最後、中澤氏にメッセージを求めました。以下、同氏のメッセージです。

UPQ製品をお買い求めいただいているお客様には、常に心より感謝申し上げております。ベンチャーであり未だ不安定な私たちですが、たくさんのお客様に支えられ1年9カ月生き続けることができています。この度の不行き届きにつきまして心よりお詫びすると共に、製品を開発し販売し続けることができるよう最善を尽くして参ります。誠に申し訳ございませんでした。

関連キーワード: 4K, DMM.make, upq
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