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1万円を切る製品も、低価格が進むタブレットに未来はあるか(佐野正弘)

他ジャンルの製品に吸収される可能性

佐野正弘(Masahiro Sano)
2019年12月10日, 午後12:30
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多くの家庭に普及しているITデバイスといえば、一人一台は持っているであろうスマートフォンが挙げられるでしょうが、現在ではそれに並ぶくらい、一家に一台タブレットがあるという家庭も増えているのではないでしょうか。筆者もスマートフォンだけでなくタブレットを複数台所有しており、特に出張の際は飛行機内で動画や録画したテレビ番組などを視聴するなどして、活用しています。

今回はそんなメジャーなデバイスである、タブレットについて触れていきたいと思います。タブレットといえば、スマートフォンより大きなディスプレイを、スマートフォン同様タッチで操作できることが特徴的なデバイスですが、そのタブレットが一般に普及するきっかけとなったのは、アップルの「iPad」が2010年に登場したことが契機といえるでしょう。

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▲2010年5月にソフトバンクモバイル(現・ソフトバンク)がiPadを独占販売した当時の写真。当時同社の社長だった孫正義氏は、iPhoneとiPadを武士の小刀と大刀に例えるなどして販売に力を入れていた

もちろん、それ以前にも全面ディスプレイを採用したコンピューターデバイスはいくつか存在したのですが、その多くがペンによる操作が中心であったことから、その普及も業務用など一部にとどまっていました。ですがスマートフォンの操作性を大画面デバイスに取り入れたこと、そしてiPhoneを大ヒットさせたアップルが手掛けたデバイスということもあって、iPadも大ヒットを記録しました。

その後Android陣営からも、サムスン電子が7インチサイズの「GALAXY Tab」を投入。さらにグーグルも、2011年にタブレットに対応させた「Android 3.0 Honeycomb」を提供するなど、iPadの後に続く動きが加速したことで、タブレットはスマートフォン同様、市場が急拡大していくこととなります。

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▲2011年にKDDIが投入した、モトローラ・モビリティの「MOTOLORA XOOM」。タブレット専用の「Android 3.0」が搭載された初の端末でもある

ですが現在、スマートフォンとタブレットの動向を振り返ってみると、かなり差が付いているというのが正直な所ではないでしょうか。スマートフォンは市場が飽和傾向にあるとはいえ、現在も多くのメーカーが力を注いで最先端技術を導入した機種を開発するなど、その進化スピードは止まっていない状況です。

一方タブレットの動向を見ると、ベゼルが狭くなるなどデザインやサイズの面では進化が見られますが、一部を除けば7〜10インチというサイズ感は変わっていませんし、スマートフォンのように多数のカメラが搭載されるようになった訳でもありません。搭載されているチップセットも多くはミドルからローエンドクラスのものが主流であるなど、進化が止まってしまったようにも感じられます。

なぜ、スマートフォンとタブレットとで、メーカーの開発姿勢にこれだけの差が付いてしまったのかといえば、それはデバイスの使われ方にあるといえるでしょう。スマートフォンは常に持ち歩く最も身近なデバイスであることから、その上で利用できるサービスは拡大しており、SNSやゲームなど利用者の多いサービスに応じた機能強化がなされることで進化を遂げていることが分かります。

ですがタブレットは、自宅で映像サービスや電子書籍などを利用する、コンテンツビューアーとしての地位は確保できたものの、それ以上にあまり利用用途が拡大しておらず、スマートフォンの大画面化によってその地位も低下傾向にあります。用途が広がらなければ進化も求められないため、低価格の道をひたすら進んでいるといえそうです。

実際、タブレットの低価格化はとどまる所を知らないように感じます。最近発表されたタブレットの新機種として2019年11月に発売されたレノボの7インチタブレット「Lenovo Tab M7」の例を挙げますと、OSに「Android 9」の新興国向け軽量版「Go Edition」を採用し、RAMが1GBであるなど昨今ではロースペックといえる内容ですが、価格は1万1000円とかなり安価であることが分かります。


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▲レノボが日本市場向けに投入した最新タブレット「Lenovo Tab M7」。元々新興国向けに開発されたものということもあるが、値段は1万円台の前半とかなり安い

特定のプラットフォーム向けとなると、より安価に販売されている例もあります。実際、アマゾン・ドット・コムが提供するタブレット「Fire」シリーズなどは、最も高い「Fire HD 10」で1万5980円、最も安い「Fire 7」では5980円と、もはや高校生がお小遣いをちょっと貯めれば購入できてしまう値段です。

もちろんタブレットが安く買えることは消費者にとっては非常に喜ばしいことではありますが、メーカー側としてはここまで値段が下がってしまうと、よほどたくさん販売しないと利益が出ないので、提供したくない商品となってしまいます。それゆえかつてタブレットを提供していたスマートフォンメーカーの多くは実質的に撤退している所が多いですし、ハードに力を入れているはずのグーグルも2019年に、「Pixel Slate」(日本未発売)を最後にタブレットからの撤退を表明しています。

engadget▲かつて「Nexus」シリーズでタブレットにも力を入れていたグーグルだが、自社でのタブレット開発からは撤退を表明している

さらにタブレットの将来を不安にさせているのが「折り畳みスマホ」の登場です。先に、タブレットの停滞にはスマートフォンの大画面化が影響していると触れましたが、「Galaxy Fold」のようなディスプレイを折り畳めるスマートフォンが増え、その価格も普及価格帯に落ちてくるようであれば、タブレットの存在を大きく脅かすことになるでしょう。

また、スマートホームの核として注目される「スマートディスプレイ」の台頭も、タブレットの今後を不安にさせている要素の1つと言えます。スマートディスプレイが家庭でのコンテンツビューアーという立ち位置を確保すれば、いよいよタブレットの存在意義が失われてしまうかもません。

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▲最近ではグーグルの「Nest Hub」に代表されるスマートディスプレイも増えているが、家庭で利用する大画面デバイスという面で、タブレットとバッティングする部分が多い

コンテンツビューアーとしてのタブレットに今後大きな進化が期待できず、ビジネス面でもうまみがなくなっている現状、メーカー側もタブレットから撤退するか、別の進化を求めるかの二択が迫られているように感じます。そして後者を選んで生き残りを図ろうとしているのが、タブレットの開拓者でもあるアップルです。

アップルはタブレットでも高価格路線を取り続ける数少ないメーカーですが、やはりタブレット市場全体の低価格化と需要低下で、長らく販売台数を落としていたことが悩みの種となっていました。そこでアップルは2015年に「iPad Pro」シリーズを発表して以降、iPadをマイクロソフトの「Surface」などに対抗できるビジネスモバイルデバイスと位置付ける取り組みを加速しています。

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▲アップルはiPadの高付加価値路線を維持するべく、「iPad Pro」でビジネス・プロユースへと舵を切っており、アドビと連携してiPad版のPhotoshopを提供するなど、ツール面の開拓も積極化している

その流れを決定づけたのが、2019年にiPad向けのiOSを「iPadOS」として独立させたことではないでしょうか。従来iPhoneと同じiOSとして扱っていたiPadのOSを独立させ、ファイル管理機能を強化するなどパソコンに近い路線の進化を取ったことは、アップルがiPadのプロユース化を進め、ビジネス利用の強化を明確にする姿勢を示したといえます。

とはいえ、こうした路線の転換で成功できているのはアップルくらいなもので、他のメーカーは引き続き価格競争で苦しんでいるのが現状です。このままの状況が続けば、タブレットというジャンルそのものが、将来的にパソコンやスマートディスプレイなど他のデバイスに吸収される形で、姿を消してしまう可能性も十分あり得るのではないか?というのが筆者の見立てです。


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