ロシアの「火の玉」極超音速滑空兵器、数千℃に耐える炭素繊維調達に苦戦

プーチン大統領が自慢した6つの新兵器の1つ

Kiyoshi Tane
Kiyoshi Tane
2019年07月3日, 午後 12:13 in Hypersonic
0シェア
russia
YouTube

ロシアのプーチン大統領が自慢した6つの新兵器のうち、「隕石のような火の玉となって標的に飛ぶ」とされた極超音速滑空兵器「Avangard」が、製造に必要な炭素繊維材料の調達に苦労していると報じられています。Avangardは、プーチン氏が2018年3月の一般教書演説にて言及した「驚異の新兵器群」の1つ。音速の20倍で目標に到達して(極超音速=マッハ5以上のこと)「火の玉のように」攻撃できると標榜され、すでに量産に入っているとも主張。昨年末にも「2019年にも配備」と発表されていました

公開されている情報からは、Avangardはロケット(先の演説では新型大陸間弾道ミサイル「サルマト」に搭載するとアピール)で打ち上げられて加速し、大気が薄く空気抵抗が非常に低い高高度をグライダーとして滑空。そうして弾道ミサイルに匹敵する長射程を実現しながら巡航ミサイルに近い機動性を確保し、アメリカのミサイル防衛さえ突破できる画期的な能力を持つと推測されています。

しかし、ネックとなるのがまさに極超音速ゆえに、1600〜2000度にまで上がる機体表面温度にも耐えられる炭素繊維素材の調達です。現在の供給源では難しいため、ロシア政府が別の供給元を探していると昨年10月にも報じられていました

さらに米政府の諜報機関の報告によると、ロシア政府は1ヶ月前の時点では代わりとなる炭素繊維材料を調達できていなかったとのことです。米CNBCの匿名情報筋は「製造が高く付きすぎることは証明されているので、極超音速兵器は60個以下になると予想されている」と語っています。

それでも、ロシア政府はAvangard計画を優先しているため、2020年までには初期作戦能力(配備可能な最低限の状態)を達成する予定だと、米諜報機関の報告を直接知る人々は述べているそうです。

CNBCによると、ロシアは2016年内にアバンガードのテストに2回成功し、2017年に10月には目標到達前の数秒前にクラッシュして実験失敗したとのこと。ある核兵器の専門家は米Engadgetに「Avangardは明確な用途がないニッチな性能」だと語っていますが、それでも生産を急ぐところに、国威の発揚や米国へのけん制などプーチン大統領の政治的な意図が窺えるかもしれません。

TechCrunch 注目記事「新型コロナのソーシャルディスタンス(社会的距離戦略)を強力に支援するビデオチャットアプリ8選

関連キーワード: Hypersonic, missile, nuclearpower, Putin, russia, weapon
0シェア